HKOと箱庭の関係
付録文書②
「HKOと箱庭の関係」
文書識別番号:HKO-REF-02
分類:内部参考資料/極秘
閲覧権限:Σ7以上
改竄検知:有
備考:本資料は「箱庭(HKシリーズ)」の運用理念および管理構造を理解するための補足文書である。
■ 概要
HKO(Humanity Keeper Organization)は、
人類文明および知的生命圏の長期存続を目的として設立された観測・管理組織である。
HKOが管理・観測する「箱庭(HK-***)」とは、
文明の発生・成長・衰退・再構築を、外部から観測可能な形で内包した閉鎖型世界モデルを指す。
HK-015《箱庭リジェネシス》は、その中でも
極めて高い再現性と自律性を持つ実験区画である。
■ 箱庭(HKシリーズ)の定義
箱庭とは、以下の条件を満たす世界である。
1.外部世界と因果的に切断されている
2.内部において自律的な文明進化が発生する
3.観測者(HKO)は原則として直接介入しない
4.一定条件下でのみ、周期的リセットまたは修正が可能
箱庭は「シミュレーション」ではない。
内部に存在する生命、意識、文明はすべて実在である。
HKOは、それらを創造したが、
支配する権利を持たない。
■ 周期という概念
HK-015では、文明は「周期」と呼ばれる単位で管理されている。
•文明の発生
•社会構造の形成
•技術・神話・信仰体系の発展
•崩壊、または停滞
•リセット(再生成)
これら一連を一周期と定義する。
第十五周期は、
過去十四回と比較して、以下の点で異常が確認されている。
•観測耐性個体の出現
•因果干渉率の恒常的上昇
•外部由来と推定される未知影の侵入
•管理者権限・神性存在の不在にも関わらず、文明が継続している点
■ HKOの立場と制限
HKOは「管理者」ではあるが、「神」ではない。
原則として:
•文明への直接介入は禁止
•個体の生死・選択への強制的修正は禁止
•周期リセットはΣ7評議会の全体承認が必要
HKOが行えるのは、
観測・記録・最小限の因果補正のみである。
それ以上の介入は、
文明そのものの「意味」を破壊すると判断されている。
■ Σ7評議会の役割
Σ7評議会は、HKO内部における最高意思決定機関である。
彼らは以下を決定する権限を持つ。
•観測強度の変更
•異常存在の危険度評価
•局所的封鎖の承認
•周期リセットの可否判断
ただし、
Σ7自身も箱庭の内部に降りる権限を持たない。
それは意図的な制限であり、
「観測者が世界に干渉した瞬間、世界は箱庭ではなくなる」
という原則に基づいている。
■ 例外事項:未承認干渉について
近年、以下の事象が確認されている。
•管理権限を持たない存在による内部転移
•観測ログに記録されない因果改変
•Σ7の承認を経ない形での文明干渉
これらはすべて、
HKOの想定外であり、最優先の警戒対象である。
特に、
「箱庭を観測している第三者的存在」の兆候が
第十五周期において複数検出されている。
■ 補足:箱庭は誰のためのものか
本資料の最後に、
初期設計者の残したメモを引用する。
箱庭は、人類を救うためのものではない。
それでも、人類が
何度壊れても、何度でも選び直せるかを
見届けるための場所だ。
もし、そこに「意思」が芽生えたなら──
それは、我々の管理を超えた存在になる。
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文書終端
【内部文書参照番号:HK0-015/Σ7-Archive】
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