異世界転生
気が付くと、周りには何もない、ただただ白い空間が延々と広がっている場所にいた。
最後の記憶は目の前に迫るトラック。
(俺は死んだのか? ここはあの世か?)
何もなく誰もいない空間で途方に暮れていると、目の前に光が現れる。
最初は拳大の光がだんだん大きくなり、目も開けられないくらい眩しく広がり始めた。
(うわっ! なんだ!?)
光が消え目が慣れてくると、そこには1人の美しい女性の姿が。
(まさか女神!? ってことは最近ネットで流行りの異世界転生! よっしっ!チーレム無双だ!)
「こんにちは、〇〇だった魂よ」
女性の声は鈴を鳴らすような小さく可憐で、でもしっかりと聞こえる不思議な声だった。
「俺、チート能力もらって異世界転生出来るんですか!?」
俺は女神と思われる女性に大きな声で話しかける。
「取り敢えず、落ち着いて話を聞いてください」
興奮する俺をなだめる女性。
「まず、私は貴方の言うところの神の一柱に当たります。
これから貴方の処遇を決めるのですが、異世界転生を希望ですか?」
「出来るなら是非に! チート能力もお願いします!」
俺の言葉に女神は、目をつぶり軽く息を吐く。
「わかりました。私が与えられる能力は1つしかありません。
それは、不老不死です。貴方はこれから例え灰や塵になったとしても元の肉体に復活します」
(死ぬことを恐れずにレベリング出来るってことか! 時間はかかるけど上手くすれば強くなれるな)
「転生する先の世界はかなり荒れていますので頑張ってください」
(荒れてる世界、そこで力をつけて勇者になれってことか!)
「頑張ります!」
俺は力強く答える。
「では、今から転生します」
女神の手のひらが俺に向き、そこから光が溢れ出す。
「それでは良き異世界の生活を」
「え?」
女神の不穏な言葉が聞こえる。 聞き直そうとするも光に包まれ何も見えなくなる。
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何もない空間に1人残る女神。
「ふぅ」
思わずため息が漏れる。
(最近は人の顔を見るなり異世界転生だの、チート能力だのと言う人が増えましたね)
他の神と話をする限り、自分の担当地域だけではないみたいだ。
(異世界転生だか何だか知りませんが、自らトラックに飛び込んで他人の人生をダメにするような人が、例え他の世界があったとしても行ける訳がないのに)
「まぁ、地獄もある意味異世界ですからね。
死ねない身体で未来永劫苦しんでください」
ひとりごちる女神。
(さて次の方が来たみたいですね。次はまともな人だと良いのですが)
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