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第9話 見捨てられた者にしか見えないもの

"ふんっ、今に見てろよ。

まだまだ成長途中なんだからな。

これからボンッボンッとするんだからな。

そうなってから後悔しても遅いんだからね。"


まだ、成長途中と言い張るんだ。


"なにぃっ。"


再び目を逆三角にして、右手を後ろに振りかぶる貧祖な精霊様。


"貧祖いうなぁ、こんな絶世の美少女をつかまえて。"


「まぁ、俺はボンッボンッでも、洗濯板でも別に気にしないけど。」


再び顔を真っ赤にして、振り上げた手を今度は下げてぷるぷる震えている。


"せっ、せっ、洗濯板ぁぁぁぁぁ。

この世の水のすべてを支配する水の大精霊を洗濯板呼ばわりだとぉぉぉ。

もう許さん。

絶対に呪ってやる。

憑りついてやる。

洗濯板と言ったことを絶対に、永遠に後悔させてやる。"


「あっ、やっぱりドロドロのちんけな怨霊様が貧祖な精霊さんに化けていたと言うことで良いんだよね。

そして、ついに本性を現して俺に憑りつくと。」


"もう、絶対に後悔するまで、後悔しても死ぬまでお前に憑りついてやるからな。

覚悟しろ。"


「ええっと、ちょっといいですか貧祖な精霊様(疑惑有)。」


"なんだよ。

今更遅いからな、ずっと付きまとってやるからな。

お前が死ぬまで憑りついてやるからな。"


「まぁ、話の流れから言ってそれは諦めていますけど。

俺が死ぬまでその貧相なものはボンッボンッになりますかね。」


ばちんっ、バチンッ。


「今度は両方のほっぺが痛いです。

涙が止まりません、凶暴で貧祖な精霊様。

そんなに力があるなら自分で石をどかせば良いと思います。

第一俺にそんなことを頼まなければ貧祖な姿がばれずに済んだはずです。」


"うっさい。

自分であの石をどかせればとっくの昔、200年前にどかしとるわ。"


「涙が出るほどひっぱたく力が出せるなら石ぐらいだったらどかせられるよね。

誰も持ち上げろとは言ってないよ。

長い木と小さい石ころを持ってきて、テコのようにすればおっきな石でも転がせるはずだよ。

あっ、はぁぁぁぁん、もしかしてそんなことにも気が付かないあんぽんたんさんだったか。

まぁ、凶暴で貧祖なという所で薄々そうかとは思っていたけど・・・・ 」


ばちんっ、バチンッ。

ばちんっ、バチンッ。


くっ、今度は往復2連発だ。

顔が熱くなって腫れてきたみたいだ。

叩いた手が痛いのか手を振って熱を冷ましているあんぽんたんな精霊さん


そのバカ力の使いどころを間違えているんじゃないのか、凶暴なあんぽんたん、一部が特に貧祖な精霊さん。


"もう許さん。

憑りつくだけじゃなくて呪ってやる。"


「とうとう本性を現したな怨霊様。

おれの母さんは教会でパートの司祭をやっているんだぞ。

怨霊払いの術は何度か見て覚えているんだぞ。

あんぽんたんなちんけな怨霊なんて払ってやる。


「悪霊退散。

祓いたまえ、清めたまえ。

・・・・・・・

どうだ。」


"でっ。"


えっ、消えない。

そんなはずは。

これで悪霊は消えるはず・・・・・


ばちっ。


"目を覚ましな。

現実を見るんだよ。

そんなことで私の怒りが収まると思うなよ。

一生憑りついて呪っててやるからな。"


どうしよう。

祓えない。


"あきらめろ。"


仕方ないここは作戦変更だ。

ちんけな怨霊様かあんぽんたんで貧祖な精霊さんではあるが、外見だけは可憐な美少女に憑りつかれるのは、まぁ、悪くはない。

はっきり言えばありだ。

もっと言えば、見捨てられた者の俺にここまで構ってくれる奴がいるとはちょっとはうれしい。


"どうした。

急に懐いて、気色悪い奴だな。

まぁ、これまでさんざん失礼なことをほざいていたが、私の美しさと慈悲の心がゲスなお前の心を癒したんだな。"


でも、四六時中呪いの言葉を吐かれるのは勘弁だな。


"私の偉大さを認めて一生涯傅くなら家来にしてやらんことは無い。

くるしゅうないぞ、もっと褒め称えよ、もっと崇めよ。"


ちょっと下手に出て褒めるとこれだ。

あんぽんたん丸出し。


ばっちん、パッチン。


思い切って叩いて再び手が痛たくなったのかふうふう息を吹きかけているあんぽんたんさん


"いいから下僕は早く石を退けろ。"


「だからぁ、そんなに力があるなら自分で退けてよ、あんぽんたん精霊さん。」


"このぉぉぉ、人が下手に出て頼めば。"


何処が下手に出ただぁ。


"私は霊泉に触れないと実体化できないんだよ。

石や木の棒に触れようとしても手が素通りしちまうんだよ。"


えっ、実体がない。

見えているだけ。


「でっ、何でびんたされた俺のほっぺは痛いんだ。

何度も叩かれて熱をもって少し腫れているんだけど。」


"気のせいじゃない。

叩かれてしまいそうなシーンに遭遇して、実際に手が当たった気になって、腫れたような気がするだけよ。"


「叩いた後に手を振ったり、息を吹きかけて手を冷やしているのはなぜだ、あんぽんたん貧相精霊。」


"水の大精霊をつかまえて、あんぽんたんだの貧相だの言うなぁ、怒。

叩くぞ。"


やっぱり、痛いんだ。実態があるんだ。


"んっ、ちょっと待て。

・・・・・・・・・

そういえばなんで私の姿がお前には見えているんだ。"


「えっ。」


"だから何で霊泉で具現化していない私の姿がおまえに見えてるんだってぇの。

具現化しないと見えないはずなんだけど。"


知らんがな、(´・ω・`)


"なんで見えているんだ。

その上、叩くと手が痛いなんて実体化してるじゃん。"


「実体化している自覚があるのなら石を動かせるよね。

俺の手伝いはいらないよな。

と言うことで、この辺で帰らせていただきます。」


俺がもう役目が終わったから帰ろうとすると細い手を伸ばして俺の襟首をつかんできた。


「ちょっと待てぃや。

何で俺には関係ないとばかり一人で帰ろうとしているんだ。

仕事しろよ。

ちゃっちゃと石をどかして、帰りは私と一緒だろ。

憑りついたんだから。

私から逃れられると思うなよ。

一生涯憑りついて、呪ってやる約束だったよな。

ぶはははははっ。」


「鬼の首を取ったつもりになってるよ。

貧祖な精霊さん、どういう訳か分からないけどせっかく実体化出来たんだから自分で石をどかしてください。

俺の顔を腫らすだけの力があれば石なんて簡単にどけられますよね。」


不敵な笑いを浮かべる貧祖な精霊さん。


「まぁ、やりたくなければ別にいいんだけど。」

「良いんだ。

じゃぁ、このままそっとフェードアウトして村に帰らせて貰います。」

「もう遅いな。

これから一生涯、私はお前に憑りつくんだぞ。

憑りついて操る、傀儡化すれば良いんだからな。」

「おっ、俺は憑りつかれたからって体を自由にさせるやっすい奴じゃないぞ。

絶対に貧祖な精霊さんの思い通りには動か・・・・・・」


「ホレッ。」


貧祖な精霊さんが右手を上げる。

それに合わせるように右手を上げる俺。


「何が起こったぁぁぁ。」

「完全に憑りつかれたなwwwww。」

「ちょっと貧祖な精霊さん。

人と話すときに芝生を生やすなと教えられなかったのか。

失礼じゃないか。」


そんな俺の言葉に当然耳を傾ける訳もなく。

俺が話している途中で両手を頭の上で合わせ0の字に、同時に足もO脚にするおちゃめで貧祖な精霊さん。


「ホレホレ、こんなハズイ格好もさせられるんだぞ。」


ちなみに俺はまだいいけど自称絶世の美少女がそんな恰好をするのは見ている方が恥ずかしいんだけど。


「なっ・・・・・・・」


俺の指摘に反応して、自分の足を見て絶句する貧祖な精霊さん。


「私になんて格好させるのよぉぉ。」


そう叫ぶと内股になって、右手で洗濯板を左手でお股を隠す精霊さん。

当然、俺も同じ格好だぁ。


「ちょっとう、貧祖な精霊さん。

さっきよりもこっちの格好の方が俺としてはハズイんだけど。」


俺の言葉に目を光らせた。


「止めてほしかったら、さぁ、石を退けな。

逆らったら村の広場、いや、教会の祭壇の上で日曜日の礼拝中にずっとこの格好をさせるわよ。

あっ、ちなみにだけど。

恐らく村の皆には私のことは見えないから。

間抜けでやっすい君にしか私の実態が見えないから。

ぶははははははっ、ざまぁ。

ぶははははははっ。」


まぁ、おちゃめで貧祖な精霊さんは間抜けでやっすい見捨てられた俺ぐらいにしか気がついてもらえないってことだ。


"あ゛っ、怒。"


活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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