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第6話 土の大精霊にも憑りつかれた男は旅の締めくくりに王都に行くのか


「王都に興味がないなら仕方ないよね。」


おぉぉぉっ、その口ぶりは俺が王都に行かなくてもかまわねぇっつうことだよな。

やったぁ、なんちゃらロードが早くも消滅だぁ♪

数あるなんちゃらロードの中で最短でつぶれたんじゃねぇか。


'王都よりももっと悲惨な地に導かれるかもしれんというに暢気な奴じゃ。

いや、哀れな奴じゃと言った方が的確かのぉ。'


"こりゃぁぁぁぁぁぁ、ちんけなあんぽんたぁぁぁぁぁん。

そんなに簡単に引き下がんなよぉ。

ぜってえシュウを王宮に引きずって行くっていう気概を見せろやぁぁぁぁぁ。"


まさに怒れる大悪霊の様な形相でちんけな詐欺師さんに食らいつく、怨霊様。


「それじゃ、王都よりもっと先はどうかな。」

「えっ、王都の先ですか? 」

「そっ、王国の一番東側。」


にやけ顔がより一層崩れた顔でそう話す、ちんけな詐欺師さん。


'なるほどのぉ。

王都ではなくてこの国の東の端っこにお前をやりたいようじゃな、このちんけな疫病紙としては。

気持ち悪いにやけ顔はそのままじゃが、目に少し力が入っとった。'


"そんな王国の東の外れまでなんてわざわざ行かなくていいんだよ。

シュウの旅先はそのずっと手前の王都にある王宮で決まりなんだよ。

それがシュウが生まれたときからの定めなんだよぉ。"


あくまでもんなんちゃらロードの真っ赤な絨毯の上を俺に歩ませようとする、怨霊様。

何と言われようとそれだけにはぜってぇ乗んねぇからな。


「王国の東端と言うとちなみに何があるんでしたっけ。」

「キレピトイ山脈があるでしょ。」

「つまり、王国の東端にある山々を見に行ったらどうかということですか。」

「まぁ、そういうこと。」


相変わらずにやけ顔をしながら俺の言葉に頷いた、ちんけな詐欺師さん。


"その山に王国の西端にあるここから行けっていうことは、当然、王都を通るのが一番はぇよな、王国の東西をつなぐ大街道の途中に王都があるんだし。

そうかぁ、そういうことかぁ。

残念だな、シュウ。"


一転、怨霊様もちんけな詐欺師さん同様ににやにやしながらそう言い放った。


何が残念なんだ。


'ちんけな疫病神が言う目的地の王国の東端、キレピトイ山脈までは到底たどり着けないとしずくは言いたいのじゃろ。'


そうなの?


"あったりめぇだぁ。

東西をつなぐ大街道を進んだら当然、王都にたどり着くだろ。

王都に着いたら王宮で国王と対面、そして、後はわかるよな。

なっ、キレピトイ山脈になんてとてもとてもたどり着けねぇって。

わかったかぁぁぁぁwwwwwww。"


雑草を生やすことでにやにや度をさらに高めた、怨霊様


治療院の花壇を雑草だらけにすんじゃねぇ。


いかねぇ、ぜってぇ東端になんて行かねぇ。

行くにしてもぜってぇ王都には近づかねぇ。


"行かねぇなんて無理だって。

今回の旅の誘いも暗に大公家からの大事への対応依頼にちげぇねぇだろ。

いくら国家権力から一線を画すと言われる教会関係者だからと言って、大公家の意向に無下に歯向かえないって。"


'まぁ、そうじゃな。

表向きは大公家からの慰安で骨休みを勧められておるのじゃからな。

大公家の益になるような仕事の依頼ではないじゃろ。

断る理由はないしのぉ。

どうしても断るのじゃったらこれの可能性もあるのじゃ。'


茶色い子さんはそう言って、親指を立てて、自分の首のあたりを横にすっと動かした。


うぁぁぁぁぁ、大公家の暗部に首ちょんされるっていうのぉ。


大きくうなずく、茶色い子さんと怨霊様。


"だからもう行くしかねぇって。

逆らってヅビリッフェンの街から動かないでいたら屋台の串焼きを食っているところを後ろから秘かに首チョンされるか、素直に旅に出て王都の王宮で豪華な晩餐をいただき、そのあと国王と対決して華々しく散るのとどっちを選ぶがのちげぇだけだ。

そうすっと当然、なんちゃらロードの王道を選ぶよな。"


どっちも嫌だぁぁぁぁ。


'定めじゃ、あきらめることじゃな。'


なっ、なんで茶色い子さんもそのセリフを。


'仕様じゃ。'


くっ。


ぜってぇ、なんちゃらロードを回避してやる。


「エレクさん、ちなみにそのキレピトイ山脈に向かうのに王都に寄る必要はありますか。」

「う~ん、特にその必要はないんじゃないかな。

ただ、せっかく時間をかけて王国を横断する旅に出るんだから通り道の王都には寄るのが常道じゃないのかい。

宿を取って二、三日はゆっくりと王都を観光するってのが良いと思うけど。

行ったことがないんでしょ。

それに王都に入らないってことは東西の大街道を迂回するっていうことになって、ただの時間の無駄っていうことにならないかい。」


俺の唐突な質問に首を傾げながら応える、ちんけな詐欺師さん。


「あっ、いえ、俺は教会関係者ですから寄るなら古都の方が良いかなぁ。

以前お世話になったオットカル教会の方にも久しぶりに顔を見せたいし。」

「なるほどねぇ、途中で旧街道に入り古都を通れば、確かに王都に寄らずに済む道もあるかぁ。

それに古都と王都の両方に滞在するとなると数日は必要になるなぁ。

そうすると目的地のキレピトイ山脈に行くのが遅くなってしまうか。」


"いいんだよ、それで。

古都に行って世話になったドルカ助祭を押し倒して、大事に育ててきたDをすっぱりと捨てて未練を断ち切ってから心置きなく王都に行けばいいんだよ。

そこでお前の旅はいっきに方向転換、王宮経由、無間地獄行きにすればよぉ。

Dも捨てられるんだ、この世になにも思い残すことはあんめぇ。"


だからぁ、王都には絶対に行かないって。

それに押し倒さないし、Dなんてものを大事に育ててなんていねぇし。

ちんけな詐欺師さん、しいては大公家としても俺が王都に行く必要はないと言ってくれてんだしさぁ。


"まさかおめぇ、青髭おねぇ・・・・・"


がぁぁぁぁぁ、やめれぇぇぇぇ。

その話を引っ張り出してくんなぁぁぁぁぁ、怨霊様。

俺はそんなんじゃねぇと、何度言ったら。


'まぁ、行きは王都に寄らずとも帰りに寄れば済むのじゃ。'


"なるほど、良いこと言うじゃねぇか、茶色い子。

行きは古都に寄ってドルカ助祭の奴を押し倒し、Dを卒業して。

帰りは王都に寄ってけってということだな。

せっかく遠く旅に出んだ、両方をすっきりこなせよ、シュウ。"


怒れる大悪魔からようやく納得顔に代わった、怨霊様。


だからぁ、押し倒さねぇって、それに帰りも古都経由だっつうの。


"おめぇ、やけに古都に行きたがるじゃねぇか。

まさか、古都のどこぞに青髭のおねぇを囲っ・・・・・・・"


何を世間様に誤解を与えて俺を社会的に抹殺する企みを巡らしてんだぁぁぁ、怨霊様。

俺はそんなものを囲ってねぇって。

そんな噂がちらっとでも立ったならもうこの国で俺は生きていけねぇぞ。


'それは一旦置いといて、後で追及するにしてじゃな。

大公家はなぜフンをキレピトイ山脈なんぞに行ってほしいのか、探ってみた方が良いのではないかのぉ。'


一旦置いとかないでそのまま捨てて亡きものにして、茶色い子さん。


"そうだな、キレピトイ山脈なんちゅうド田舎で、大公家はシュウに何を

させてぇんだが気になるな。

まぁ、どうせ行きつく先は王都の王宮からのぉぉぉぉ、無間地獄の入り口っていうのは曲げようのない未来図だけどよぉwwwwww。"


だからぁ、治療院の庭に雑草を生やすんじゃねぇぇぇって。


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