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第31話 見捨てられた者は怨霊様の我儘に翻弄される

怨霊様はプカプカ浮いて完全に後ろ向きになりながら森の中の道を下っている。

しっかり前を向いてないと木に頭をぶつけるぞ。


「しずくさん、今の話は森の中の霊泉から俺の村に移り住むということだよね。

せっかく綺麗にした霊泉は放棄するのか。」


ニコニコして俺の方を向いている怨霊様。


「霊泉は私の力の源。

放棄なんてしないし、出来る訳はないよ。」

「そうだよね。

じゃぁ、昼間は森に出かけて霊泉の管理、夜は村に帰ってくるというような生活かな。

あっ、村に住むとなるとしずくさんはどこに住むつもりなの。

あては有るの。

まぁ、父さんとか母さんに頼んで俺の家に住んでもらっても良いけど。

今の寝室は俺と二人の妹で使っているけど、何とかもう一つベッドを入れれば寝床は確保できると思うし。

あぁぁぁぁぁっ、でも、うちは教会の敷地内、ぶっちゃけ、教会の社宅だからな。

怨霊様には居心地が悪いというか、下手すりゃ1週間で浄化されちゃうかもね。

あっ、教会を裏で支配しようとして勝手に黒ミサなんてしないでよ。

黒ミサにちょうど都合の良い施設だなんて思ってないよね。

バレたらばぁちゃん司祭様に怒られんのは俺だからね。」


「だからぁ、私は怨霊ちゃうわ。」


プンスカするしずくさん。


「マジで村に住むのか。

ほんと住まいはどうするつもりなの。

あとは村には教会の結界があるから怨霊様は結構辛いんじゃないの。

浄化されないでよね。

それに怨霊様と契約したなんてのがばあちゃん司祭様にばれたら・・・・・・」

「だから、私は怨霊じゃないって何度言ったら。

でも、もし、怨霊と契約していることがバレたらどうなるんだ、お前は。」

「悪魔祓いの黒ミサ?」

「結局、黒ミサするんか。

お前、どんだけ黒ミサの主役になりたいんだ。」


悪魔祓いだから黒ミサとは言わないか。


「兎に角、村に住むと言うことは怨霊様は浄化される危険と常に隣り合わせな訳で、そのリスクをちゃんと説明しないと不動産取引はできない訳で・・・・・」

「普通は逆じゃねぇのか。

怨霊に除霊されるリスクを説く不動産屋って・・・・・」

「取引相手が誰であろうとリスクを説明する義務を怠ってはいけません。」キッパリ

「だから、怨霊じゃねえって。

他にお前の村に住むに当たってのリスクはないのか。」


俺は村で不動産屋をやってるわけじゃないんだけど。

まぁ、しずくさんの頼みだからここは真剣に考えないとな。


俺がいろいろ考えているのを覗き込む怨霊様。

ちっ、近いんですけど、顔が。


「う~ん、村に住むに当たってのリスクねぇ。

リスクを考える前にまずは衣食住と仕事が確保されているかかな。

しずくさん、着る物はどうしているの。」

「魔力を纏って、それを衣類のように見せているから特に不自由することは無いな。」

「えっ、常にすっ裸、怨霊様は幼女痴女だっかぁぁぁぁ!!」


ばちこ~んっ


今までで一番見事な紅葉が出来ました。

音が山に木霊していました。


「裸、ちゃうわぁぁぁ。

シュウの弩エッチィィィ。

魔力の衣をまとっている言っただろぉがぁ。」


あっ、しずくさんの裸にはあまり興味がないから。

俺はどちらかというと出るところは出・・・・・


ばちこ~んっ。


目から火花が。

顎がずれて。


「てめぇ、シュウ、今すぐ人生最後の河を渡リたいんか。」


俺はほっぺにヒーリングを掛けた。

なぜがヒールだけはすっごくうまくなっているような気がする。


「わかりました。着る物の心配はいらないと。

ハダカデモキニシナイト、ムシロシュミ・・・・」


ギロッ


「次は食事ですね。

食事は人の生き血ですか。」

「私は吸血鬼じゃねぇぇぇぇぇっての。

食事はしなくても構わない。

周りに魔力があれば問題なし。」

「なるほど、魔力を啜って生きている・・・・・

おいちょっとぉ、俺の魔力を啜っているんじゃないよね。

それって、ほぼ吸血鬼だよね。

通りで俺と契約従ったわけだ。

あの契約は俺の体が目的だったんですね、ぽっ♡」

「だぁぁぁぁぁっ、その♡は何だぁ。

お前の体なんかいんねぇ。

霊泉に含まれている魔力で十分おつりがくるくらいだ。」

「あっ、ていうことは俺の生き血、というか俺の魔力はデザート?

効率的に啜るために黒ミサ? 」

「だからぁぁぁ、お前の魔力を啜りたいわけじゃねぇ。

それに黒ミサなんてやんないから。

そんなにやりたいならお前が黒ミサしろよ。」


俺が黒ミサやんのぅ、怨霊様のためにぃ。

それは避ける方向で。


「あぁぁっ、俺は魔力や生き血を啜って生きているわけじゃないから黒ミサはしなくても良いかな。

とっ、いうことで食事に関しては解決。

次は・・・・・・」

「ちょっとまてぇ、こらぁ。

このまま結論を出すと私の食事は黒ミサの祭壇で人の魔力と生き血を啜るってことになっちまうだろうがぁ。」

「違うのか。」

「黒ミサの祭壇は必要ないだろ。それに・・・・」

「じゃぁっ、お気に入りの場所で人の魔力と生き血を啜って下さい。

とっ、いうことで、食事に関しては解決。次は・・・・・・」

「じゃねぇ、人と生き血はいらねぇだろ。

私が吸血鬼のような誤解を与えんじゃねぇか。

私は水の大精霊だ。」

「もう、しずくさんは我儘なんだからぁぁぁ。

わかりました。

食事はお気に入りの場所で魔力を啜ると言うことですね。」

「あぁ~っ、ついでに啜るというエグイのも取り込むにご変更いただけたら幸甚です。」


どんだけ、我儘なんだ、まったく。


とっ、イラっとした瞬間に怨霊様に睨まれた。


あっ、黒ミサで生き血を啜るのだけはご勘弁を


「それでは食事は黒ミサで生き血を啜ると言うことで解決・・・・・

あっ、間違えました。

もう、食事の面は解決で良いですね、ややこしいから。」


"何に逆切れしたんだ、お前は。"


「次に住居ですね。

教会の結界が及ばないところとなると、う~ん、やはり森の中ですかね。」

「それだったら、引っ越す意味なくねぇ。」


確かに。


「と言うことで、引っ越しは中止。

今まで通りに森の奥深くでこのまま怨霊様として大活躍していてくださいね。」

「じゃねぇ。

私はお前の村に住むの。

そう決めたの。」

「そんなに村人の血が恋しいんですか。」

「がぁぁぁぁぁ、怒。

食事の話は解決したろうがぁ。」

「そうでしたね、食事は黒ミサで生き血を啜るということで解決したんでしたよね。」

「ちげぇから、怒。

兎に角、私は村に住むの。

その為に祠を復活させたんだからな。」


あの祠を復活させれば住居問題が解決するのか。


「ついでに魔力の補給もばっちりだ。」


祠の機能が復活すれば引っ越しした怨霊様の住居と食事の問題が解決すると。


「そうだ、一石二鳥と言うヤツだ。」

「確か祠の機能は常に湧き出ている霊泉を管理し、各地に散らばった泉に過剰な霊泉を供給するだったけかな。」

「弩阿呆なシュウが良く覚えたいたな。

それに今日一番感動したぞ。」

「俺の優秀さに感動したと、何をいまさら。」

「私と契約することで腐りきっていたお前の頭が活性化したということだな。」

「そんなに褒めなくても、照れるじゃないか。」

「やっぱ腐ったままだった。

一瞬でもシュウが賢くなったと勘違いした己が恥ずかしいわぁ。」


「でっ、祠の復活と黒ミサで人の生き血を啜ることにどんな関係が。」

「おまえ、どうしても私を吸血鬼にしたいんだな。」

「そういう訳じゃないんだけども、話の流れ的にそうなのかなぁって思って。」

「お前はもうしゃべるな、黙って俺の言うことを聞いておけ。」


お口チャックってやつですね。


「よし、それで良い。

俺の住居と祠の関係だったよな。

今説明してやる。

ところで、お前の村は何と呼ばれている。

正式な方じゃなくて、通り名の方な。」


・・・・・・・・


「おい。」


・・・・・・・・


「弩阿呆がぁ、自分の村が何て呼ばれているかも知らないのか。」


・・・・・・・・


ばきっ


いきなり脳天に拳骨を落とす怨霊様。


「わかるか、わかんないかも言えねぇのか、弩阿呆がぁ。」


・・・・・・・・


だって、さっきお口チャックって言ったよね、怨霊様。




活動報告に次回のタイトルを記載しています。

お話に興味がある方はお読みくださいね。


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