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魔法に満ちた世界で  作者: ray
9/20

図書館Ⅳ

「れ、レイ!大丈夫なのか?」



暗がりの中からオルクの声が聞こえた



「オルク!そっちこそ大丈夫?」



なんとか立ち上がり、本に埋もれて倒れている女の人の横を足を引きずりながらオルクの声のする方へ近づく



「………レイ!後ろ!」



「……え?………ウッッ!!」



首元に衝撃がはしった



またたく間にしびれが全身に広がり、そこに倒れ込んだ



カシャリと音をたてて衝撃で吹っ飛んだネックレスが前に落ちる



…………留め具が破壊されたんだ



「はあ…ほーんとに面倒な子たちねえ…」



「れ、レイ!しっかりしろ!」



後ろからあの人の声が聞こえる…やっぱりこれぐらいじゃ倒せない…か…



「はじめから大人しく渡しておけばこんなことしなくてよかったのに…全く世話がやけるわ」



女の人はため息をつきながらめんどくさそうにネックレスに手を伸ばした



………………取られるわけには…



その時、真上を炎が通過した



「お、オルク!」



「あー…もう…ほーんとにめんどくさいわねえ…」



女の人は面倒くさそうに舌打ちをすると伸ばした手を引っ込め、私の横を通過してオルクの前に立った



「本当は今すぐ消してしまいたいんだけど残念ながらそういうわけにはいかないのよね…こうなったら死にたいと思うほどの生き地獄を味わせてあげるわ」



女の人が指を鳴らすと大きな魔法陣が足元に現れた



「この魔法はちょっと強すぎるかしら…まあいいわよね」



女の人が魔力を魔法陣に注ぎ始めたとき、はっとした



あの時の魔法陣と一緒だ…



だったら……これも…



視点をネックレスにうつすとやっぱり輝いていた



やっぱり……これはこの人たちの魔力に反応してるんだ



だったら…今回も…



そう思ってネックレスに手を伸ばした



パシュッ…………



その瞬間、ネックレスを黄色い閃光が貫いた



反射で手を引っ込める



「ふうん…報告どおりね…」



女の人は手をこちらに向けたままニヤリとした笑みを浮かべてこちらを振り返った



「確かに報告どおりね…この魔法に反応しているみたい…」



「……報告どおり…だと?じゃあお前は!」



「本当なら持って帰りたかったのだけどこうなっては仕方ないわ。安心して、『あなたは』殺さないわ」



女の人はオルクに向き直るとそう静かに告げた



「お、おい…どういうことだそれは…」



オルクが思わず問いかけるが女の人は無視して続けた



「大丈夫。先にあなたには一度眠ってもらわないといけないから……その後は…」



女の人は一瞬こちらをちらりと振り返ったが、すぐにオルクに向き直った



私は割れたネックレスの前でただ呆然としていることしかできなかった



どうしよう…どうしよう、どうしよう…



おそらくこのままいけばほぼ間違いなく私は殺される…



オルクのことは殺さないみたいだけど、何か狙ってるみたいだ…



逃げようにも全身のしびれはまだ直らないし、何より右足が痛い



…………唯一救いになってくれそうなのは飾りが見事に壊れてもう光を放っていないネックレス



ネックレスを破壊したことで満足したのか、女の人はこっちを見向きもせず、オルクに何か呪文をかけようとしていた



…………オルクは呪文破りもうまかったはず



そう簡単にはやられないだろう…



……………私に何か…できることは



そっと壊れた飾りを両手で包み込んで胸に当てた



ひいおじいちゃん……助けて…力を貸して…



…………私はあまりに無力すぎる



家族、友だち、そしてオルク



これまで何度いろんな人に守られてきたのかわからない



…もう守られてばっかりなのは嫌なんだ



自分のために傷つく人を見たくない



無力なままで生きたくない



だから………お願い…



私に…



「………………守らせて…」



そう小さくつぶやいた途端、手の中からまばゆいばかりの光が溢れだした



「…………なに…これ…」



「な、何なの?!」



「レイ!?」



欠片たちが前回の比にならないほど光り輝いていた



そしてそのかけらたちはひとかたまりの光となって



.....ふわりと私の胸へと吸い込まれていった



「え………何が起き…て…」



その途端、座り込んでいた場所からブワッと風が巻き起こった



「!!!!!」



「きゃあ!何なのよ……アレは破壊したはずなのに…」



「!!!レイ……マジ…かよ…」



吹き荒れる暴風はどんどんと本を巻き上げていく



「クッ、ここは1回引いたほうが良さそうね…」



そう言ってあの人は本棚の影へと消えた



しばらくあっけにとられてぼーっとしていた



女の人の影が消えた瞬間力が抜け、目の前が真っ暗になった














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