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魔法に満ちた世界で  作者: ray
7/20

図書館Ⅱ

「………はあ…まだ気にしてるのか。アイツに言われたこと」



オルクが突然ため息をついてあきれたように言った



「え、あ…いや…」



「気にすんな。お前は何があろうとお前だ。魔力なんざ初期ステータスに他ならない。大事なのはどういう風に経験値を積んでいくか、ってことだろ?」



「………」



「まあオレから言えるのはそれだけだ。あとは自分で考えたほうがいいさ。オレはお前じゃないからな、下手なアドバイスはできない」



「…………うん…」



「さ、帰るぞ。もう日が暮れる」



オルクは机に大量に積んであった本の山の1つを抱えるともとの場所に戻し始めた



…………オルクに嘘やごまかしは通用しない



反論したり、ぼかしたりするごとにすぐに隠していることがバレてしまう



昔はよく焦ってごまかそうとしていたが、このことに気づいてからは黙ってやり過ごすことが多くなった



…味気ないやり方だが、一番使い勝手がいい



下手に強がったり、そうじゃないといえばオルクは必死で慰めようとするだろう



………それが一番ツライ



多分オルクもそれを分かってるんだと思う



そうでなければあんなこと言ったりしないだろうから



………………自分で考える…か…



それで答えが出たら苦労しないんだけどね



.....とにかく今はこのネックレスの謎を解くことに集中しよう



それが今私がやりたいことだから







「よいしょっと…これで全部だな」



「うん…ありがとうオルク」



「どーいたしまして…と。さ、帰るか。どーせお前のことだから明日提出の数学の宿題やってないんだろ?」



………………ギクリ



「い、今から高速でやったらちゃんと終わるはず……明日の3限目までには…」



「それを間に合ってない、って言うんだろ?ほら、さっさと帰って宿題、宿題」



オルクはそう言うと、ズボンのポケットに手を突っ込んで歩き出した



「はあーい…」



なーんでこう便利な時代にこんなめんどくさいものやらなきゃいけないんだか…



よりにもよって魔法を使えない人の試験には必須なんだよね…これ…



肩を落としながらオルクの後ろをついていく



その時…



ギギイイイイ………バタン



きしんだ音をたてて、閲覧室とエントランスホールとを隔てていた扉が突然閉まった



「「!!!!!」」



………まだ閉館時間ではない



何か嫌な予感がしていつも司書さんたちがいるカウンターに駆け寄る



「!!オルク…これ…」



カウンターを覗き込むと、何人もの人が倒れていた



……………この図書館の司書さんで間違いないだろう



「どうした?………っ!!」



一瞬凍りついたオルクだったが、すばやくカウンターを乗り越えて、一人の首筋に手を当てた



「…………脈はある…気絶してるだけみたいだな…おそらく他の人も」



「よ、良かった……。でもどうして…」



「その答えが知りたい?」



後ろから見知らぬ女性の声が聞こえた



「誰だ!?」



「そうねえ…どうしても知りたいと言うのなら……」



オルクの問いを無視してカツカツとヒールの音が後ろから迫ってくる



…………………恐怖で動けない…



「レイ!」



はっとして逃げようと足を踏み出した瞬間



突然ぽんっ、と肩に手が置かれた



………足音はまだ後ろで聞こえていたはずなのに…



「はーい、この子が大事ならボクはそこでおとなしくしててねえ…ああそう、さっきの続きだけど…あなたの持つ『それ』と引き換えって言うのはどうから……」



肩に乗せられた手がぎゅっと握られるのを感じた






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