第7話:騎士
町の入り口に人が立っていた。
別に入り口をふさいでるのではないが近寄りがたかった
その町の入り口に立っていたのは見るからに騎士っぽい格好の男だ。
腰には大きな剣と甲冑の鎧
これで一般人と言われても信じれないだろう
これはスルーさせてくれないんだろうな・・・
町を避けて行く方法もあるが森の中で野宿なんてごめんだ、こっちはすでに2度ほど襲われてるんだぞ
自分が異世界から来たということを気付かれないことを祈りつつ
騎士の横を通り過ぎた
1歩、2歩、3歩
「おい、ちょっと待て兄ちゃん」
やっぱり、すんなりとは通してくれないのか
「はい?、何か用ですか?」
振り向いたら目の前に騎士の顔が目の前にあった。上から下までじろじろと見られる
「こんなやつが国王様なわけ無いか・・・、いや、すまん。最近、召喚の儀式を行って国王がまだ見つかって無いんだ。この近くで強力な魔法が使われた形跡があったと報告があったのでな・・・」
数時間前に魔法を使った記憶がある。こんなに探知されるのが早いのなら魔法は滅多に使えないな・・・
「はあ、そうなんですか。この近くに・・・。国王様を見つけたらどうするんです?」
「そりゃあ保護するにきまってるだろう、いまごろ国王様は何をなさっているのやら」
騎士がハハハと笑う
同じくショータも笑う
まあ、笑っている理由は違うのだが
「ん?そういえば黒目で黒髪だな・・・もしかして異世界から来たなんて言わないよな?」
「ははは、まさか・・・。俺が国王にみえます?」
「それもそうだな、黒髪で黒目の奴は珍しいが居ないってわけでもないし、必ず国王ってわけでもないからな・・・」
そう言ってまた笑い出す。悪い奴ではなさそうだ
「俺の名前はショータ、あんたの名前は?見たところ騎士様のようだが」
「ああ、名乗るのが遅れてしまった。俺の名前はウルス。セト王国防衛部隊2番隊副隊長ウルスだ。国王を見つけたら報告してくれよ。この近くにいるらしいからな」
「分かった、見つけたら報告するよ」
内心どきどきのショータだったが、なんとか勘違いしてくれたようだ。俺には国王の威厳とかそんなものは微塵も無いらしい
さて、まずは宿だな・・・
図書館までは遠いのでいくつか町を経由していかなければならない。
ちょっと待て、俺この世界の金を持ってない・・・
「はぁ、こりゃあ本当に野宿を考えなくちゃならないな・・・」
そう言いながらフードをかぶって手をポケットに入れる
元の世界でこんな格好の奴がいたら不審者として補導されそうな格好だが、この世界ではRPGゲームから引っ張り出してきたような格好の奴がごろごろと居るので別に怪しまれない
「ん?ポケットに何か・・・」
ポケットに入ってたものを引っ張り出す
折りたたんである小さな紙と銀色のコインが三枚入っていた
多分この世界の通貨だろう
紙を広げて読んでみる
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ショータさん、このお金、少ないですが宿代にでも当ててください
普通に渡しても断られると思いましたのでポケットに入れておきました
ウェスタ
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やさしすぎるよウェスタ、何でこんなに親切なんだ・・・
もしかして俺が国王ってばれていたかな?
いや、ウェスタが親切なだけか
いつか返しに行かなくちゃな
「よし、まずは宿屋を見つけなくちゃな」
自分にしか聞こえない小さな声だが元気が出てきた
宿屋は結構簡単に見つかった。
看板が見るからに宿屋だ。
すみません、実は人に聞きました
「さて、昼だけど歩き疲れたからひと休みするか・・・」
宿屋のドアに手をかけたとき、ドアの向こうから怒声が聞こえてきた
「さっさと仕事しろ!いつもいつもダラダラしやがって!奴隷の癖に休んでんじゃねぇ!」