第51話:情報
「それでは、ショータさんは残りの18日間。この酒場で情報を集めてください。」
「この酒場で?残りの日にちを全部使って!?病院とかをできるだけたくさん回った方がいいんじゃないか?」
(ガシャン!)
「無理ですよ。残りの日にちを全部使っても、ほんのわずかの病院しか回ることは出来ません。それに病院で治療を受けているとは限りません。」
シルスが笑いながら手を振って答えた。
(ドカッ)
「それに、情報を集めるならまず此処が一番です。酒場はいろんな人が利用するので情報が集まりやすいんですよ。
旅行客に商業人、都市に住んでる人、盗人まで・・・いろんな人が居ます。この都市にいたのなら絶対に誰かが見ているはずです。
」
「そうか・・・、闇雲に動き回るよりも情報が集まるここで調べたほうが早いわけだ」
(おい!酒だ!酒を持ってこーい!)
「・・・そうです。私は違う酒場で情報を集めてみます。あ、別に聞き込みを行わなくても勝手に情報は入ってきますよ。」
「それってどういう・・・」
「今に分かりますよ」
シルスはにやりと笑って店を出て行った。
どういうことだろう、情報が勝手に入ってくる?
(おらぁ!なめてんじゃねぇぞ!)
さて、後ろから何かが割れる音や打撲音、ガラの悪そうな人たちが騒いでるわけだが・・・
どうやって情報収集するんだよ・・・
「よぉ!ソコの兄ちゃん。寂しい顔して!何か悪いことでもあったのかい?」
横から見知らぬ声が掛けられた。
隣の席を見ると、アフロ頭のお兄さんが座っていた。小さい子供が見たら逃げ出すような風体だった。
お酒の匂いがプンプンする。これは酔ってるな・・
この世界にアフロなんてヘアースタイルがあることが驚きだ。
「ええ、ちょっと友達が大変なことになって・・・友達を助けようと頑張ってるんですよ」
「おおー!そうか、そうか!」
そう言うと、お酒の入ったコップを手に持ってイスの上に立ってこう言った。
「おい、聴いてくれ。この兄ちゃんは友達のために頑張ってるんだとよ!」
(おおー!友達思いの若者に、かんぱーい!)
(いいぞー!がんばれー!)
(うるせぇぞ、アフロ燃やすぞ!)
周りから怒声やら応援の言葉が一斉に発せられた。
「ははは!で、その友達がどうしたって?」
「それが・・・」
ショータはゆっくりと話し始めた。
情報が勝手に入ってる、なんとなく意味が分かった気がした。