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第4話:国王

それは家というより小屋と行った方が近かった。

そりゃあ、マンションとかを思い浮かべてたわけじゃないけど100%木でできた家を見るのは初めてだった。


「ここがウエェスタの家か・・・なんだかスゴイな」


「え、そうですか?、ありがとうございます、さあ、中はいってください」


「あ、どうも」


なんだか映画の中にから出てきたような家だ。期待を裏切らないところがいいね


「そういえばショータさんはどうして森の中にいたんですか?あ、お茶をどうぞ」


もっともな質問だ、ここで「異世界から来ました」なんて言えば怪しまれるだろうし・・・

とりあえず近くの椅子にかけてお茶を啜る。苦い・・・



「ん〜、水溜りを踏んだらいつのまにか森の中に居たんだ」


これは考えてもしょうがない。記憶喪失だとか言っても嘘を突き通す自信が無い!


「そうですか・・・、たしかチキュウってところから来たんですよね。旅をしてらっしゃるんですね!」


「まあ、そういうことにしとこう。そういえばここはセト王国って言ってたけど、やっぱり国王とかいるの?」


いい人っぽかったら保護を求めたいんだけどなぁ


「今は国王様はいないんですよ」


「国王はいないのか・・・なんか残念だな、って今は?」



「あ、この国のことは知らないんですね、セト王国では召喚魔術で異世界から呼び出した人を国王様にするんですよ、魔術師が何百人と集まってですね・・・・」


「ん?、ちょっとまってくれ。今、すごく嫌なことが聞こえた。もう一度言ってくれないか?」


「あ、この国のことは知らないんですね?」


「いや、もうちょっと先」


「セト王国では召喚魔術で異世界から呼び出した人を国王様にするんですよ?」


「よーく分かった、俺、泣いていい?」



何の冗談だよ・・・俺は元の世界に帰りたいというのに、異世界で国王になってどうするんだよ!

いや、待てよ。国王になってからもとの世界に帰りたいと言えばいいんじゃないか?

いや、待て。国王ってそんなに簡単に辞めれるものなのか?

いや・・・・

秘密にしたほうがいいな



「あの〜、大丈夫ですか?、なんでも異世界の文化を取り入れるとかで昔からそうなってるんです」


「あ、ああ。その国王ってやっぱり偉いのか?」


「ええ、国王の命令は絶対服従とまで言われてますから。逆らったら死刑なんです。あ、ちょっと待ってくださいね」


「たしかここに地図が・・・」


ごそごそと棚をあさるウェスタ、お世辞にも整理されてるとはいえない棚だ


「これがセト王国です。」


ウェスタが指差したのは地図の真ん中にある大きな大陸。大陸の周りに小さな島国があるがこの世界には大陸が一つしかないようだ。


「これ全部、セト王国か・・・」


ふと親友の言葉が脳裏に浮かぶ

『もし異世界に行けたらまず何をする?』

『そうだなぁ、世界征服!』

喜べ正規!、異世界に来て数時間でこの世界の大半は俺のものになったぞ(泣)


「ちょっと待てよ、異世界に来た人間は国王になるんだろ、それなら悪人が来たときはどうするんだ?」


「悪人が来ても善人が来ても国王ですよ、私たちは異世界から来る人を選べませんし、異世界から来た人は魔力が桁違いなので逆らう人も居ないんです。

たしか、召喚の際に魔力量のたくさんある人しか召喚できないらしいです。召喚する人の魔力を使って召喚するらしいので。私たちが出来るのは良い人が国王になることを祈ることだけですね」


「なるほど、でも、国王を異世界から召喚したときどうやって国王を見つけるんだ?、召喚場所を選べないんだろう?」


だって俺、森の中に召喚されたからなぁ、国王を森の中に意図的に召喚する奴が居るのなら別だが・・・


「ええ、よく知ってますね。召喚場所は選べないそうです。しかし、異世界から来た人は魔力量がスゴイのですぐ見つかるそうですよ。

ちなみに黒髪で黒目の方が多いそうですよ」



「へー、もし、国王が元の世界に帰りたいといったら?」


「その命令だけは聞けないそうです、異世界から来た人はセト王国を発展させていく義務がありますから」


「ふむ・・・」


ちょっと頭の整理をしよう


俺がなんだかよくわからんが国王らしい

俺は魔力量がスゴイらしいけど召喚のときに魔力を使われたわけだ

だから、魔力からすぐには俺を見つけることが出来ない

国王の命令で元の世界に帰ることは出来ない・・・


なんだ、足枷が増えただけか・・・

やはり、自力で帰るしかないんだな


「ありがとう、ウェスタ!。この国のことが大体分かったよ」


「いえいえ、ショータさん、分からないことがあれば何でも聞いてくださいね。あ、今日は泊まっていってください。お疲れでしょう?」


「ありがとう、でも親とかは大丈夫?」


「あ、私の親は居ないんです」

場の空気が沈んだ気がした


「あ、ごめん。悪いこと聞いちまった」


「いえいえ、もう数年前のことですから。とにかく今日は泊まっていってくださいね!」


「あ、ああ。そうさせてもらうよ」


とりあえず寝床は確保


はぁ・・・・


これから俺は国王になることを避けつつ現実世界に戻らなくてはならない

しかも俺の魔力回復という時間制限付きだ。


考えることは山ほどありそうだな。



持っていたお茶を一気に飲み干す。


やっぱり苦い・・・

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