第47話:髭男
結局、ティファの笑いは10分も続いていた。
何が面白かったのだろう?そこまで笑える話なのかなぁ
「次はどうするかな、先に宿屋でも探しておくか」
「うん、そうだね。宿屋は何処だろう・・・」
そう言ってキョロキョロと辺りを見回している。
5分後
「なぁ、俺たちって宿屋を探してるんだよなぁ」
「うん・・・」
宿屋を探しつつ適当に彷徨っていたら、だんだん人通りの少ない道に来ていた。
「それにしても此処は人が少ないなぁ、さっきまで物凄い人だったのにこの通りだけ少ないのは何故だろう?」
辺りを見回しても人が3人くらいしか見当たらない。
ちゃんと店も出てるし、他の通りと変わらないのにこの通りだけ何故だろう?
「あ、多分。お店が原因なんだと思うよ」
「お店が?」
「うん。ここ、お墓を売ってるお店が並んでるから・・」
「納得だ、さすが商業都市と言うべきかなんでも売ってる・・・って宿屋を探してるんだよね!」
「・・・」
「戻ろうか」
「うん、戻ろう」
こんなところに居ても仕方がない
この世界に来て迷子と方向音痴の才能が目覚めてしまったのだろうか
ため息を尽きつつさっきの通りに戻ろうとすると後ろから声がかかった
「ちょっと待ってよ、そこのお前!」
後ろを振り返ると何処かで見たような顔があった。
裏路地で3人組に襲われた時に居たヒゲの男だ。
「ショータおにいちゃん、知り合い?」
「いや、俺に襲ってきた人だよ」
そういった瞬間、ティファがナイフに手をかけて男を睨んだ。
うあぁ、物凄く怖い。
「おいおい、喧嘩をしに来たんじゃないんだよ。あんたに俺が勝てる訳がないのは良く判ってる。
俺はさっき会った時に気づいたと思うが感知型だ。魔力はほとんどないんだよ。それに強そうな護衛が居るじゃないか」
「で、いったい俺に何のようだ?」
「まあ、ちょっとした復讐をしようと思ってさ。さっき騎士たちに捕まった男は俺の兄貴分でさ、いい奴だったのに・・・」
そう言ってヒゲ男がゆっくりと剣を抜いた。
復讐?さっき勝てないって言ったのに何で剣を抜くんだ?
魔力はほとんどないと言ってた。これは嘘じゃないだろう。それにこの状況だと2対1だ。流石に分が悪いはずだ。
何故?
そして、男はその剣で自分の腕を切りつけた。
腕からポタポタと血が流れる
剣についた血は服でふき取って鞘に収めて遠くに放り投げてる。
「おい!なにやってるんだよ。」
やってることの意味がぜんぜん分からない。おかしくなってしまったのだろうか
「いいから見てろよ。今からお前等に復讐するんだからな。」
そして男はポケットから何かを取り出した。
ビー玉のような・・・ああ、マジックボールか。
そしてもう片方のポケットから・・・あれは銀貨と銅貨だな。数枚握り締めて持ってる。
「ショータおにいちゃん、どうする?」
「なんだか良く判らないけど逃げたほうがいいみたいだな」
「はは!遅い。お前達は終わりだ!!」
そういってマジックボールを地面に転がしてヒゲ男はこう叫んだ。
「explosion」