第43話:武器
二人してニコニコしながら入ったのは武器屋
壁には大小さまざまな剣が掛けられていた。
「ハーヴェイと市場で見たのより凄いなぁ」
周りを眺めてつぶやく
剣に槍に棍棒、弓まである。
店を一通り眺めてると
「ねぇねぇ、ショータおにいちゃん。どれが良いかなぁ♪」
ナイフが置いてある場所で目を輝かせて聞いてくる。
「どれがいいって聞かれても・・・そうだ、ティファは剣とか槍とかは使わないのかな?」
「うん、剣は使えないことも無いけどナイフのほうが使いやすいから」
「なるほど・・・でも、どれが良いって言われてもなぁ」
大小さまざまなナイフがそこにあった。刃の部分が10センチくらいの小さなナイフや短剣のような大きなナイフ。
反りが入っていたり、くねくね曲がってるナイフ。
武器のことなら俺よりもティファのほうがよっぽど詳しいだろう。
「お客さん、何かお探しかい?」
ふと後ろから声を掛けられた
後ろを振り向くと、そこにはターミネーターが居た。
いや、間違えた。ターミネーターのようなおじさんが立っていた。
「この子が使うナイフを探してるんだけど・・・中々決まらなくて」
そう言うとおじさんはティファの事を上から下まで眺めると
「ふむ、ならこれはどうかな?」
そう言って棚から大きなナイフを取り出した。
腕の半分くらいの長さのナイフだ。
それを鞘ごとティファに渡す。
ティファは鞘からナイフを抜いて手の中でクルクルと回す。
正面で2回ほど振って鞘に戻す
「うん、これが使いやすいよ。軽いし良く切れそうだね」
「私は人に武器を見繕うのは得意なんだよ」
ムキムキおじさんが笑顔で言う。
「ところで、お兄さんも何か買っていかないかい?」
「武器を持ってても使えないから要らないですよ。」
剣?そんな重いものを持って旅なんてしたら筋肉痛で参ってしまう。
槍?単純に長くて邪魔だ。
弓?これは絶望的だ。矢を飛ばすことが出来るかも怪しい
ナイフ?一応、威嚇程度なら出来るかもしれないけど俺がナイフなんて持ってても意味が無いことは数時間前の事件で痛感した。
「ふむ、ならこれはどうかな?」
渡されたのは剣の柄だった。
刃が付いていない。ただの棒。
しかし、棒にやたらと細かい装飾がしてある。
「これは?」
この小さな棒に何か仕掛けがあるのだろうか
「これはな、使う者の魔力を吸って氷の剣を作り出す代物だ。柄に描かれている魔術文字によって氷の刃を作り出すことが出来る。それに柄の内部にマジックボールが埋め込まれているから。持ち主の手を離れても数分は刃を維持できるぞ」
良く判らないけど、なんだか凄そうだ。
でも、それでも剣だ。ナイフ以上に扱えない。まず触ったことすらない。
それに魔法を使う時点でアウトだ。こんな物騒なものに俺が魔力を込めたら・・・・
もう、考えるんはやめよよう。
「・・・やめときます。」
渡された棒をムキムキおじさんに返す。
「魔術文字を扱える人間はごく少数で希少な武器なん・・・え?そうか・・・君にはこの武器が似合うと思ったんだがなぁ。」
残念そうにつぶやいている。
ムキムキおじさんはナイフの代金を受け取ってこう言った。
「またきてくれよ!この店は研ぎもやってるからな!」
やはりニコニコ笑顔のティファ
いい買い物をした そんな顔をしているな・・
それにしても
さっき見た柄に書いてあった魔術文字
どう見ても英語だったよなぁ・・