第40話:勝敗
奴隷の腕輪
この町に着いたとき、いつの間にかヒビが入ってた腕輪だ。
金属で出来ていてちょっとやそっとじゃ壊れないような腕輪、それがナイフの一撃で砕けた。
あの一撃が頭に当たっていたらただでは済まなかっただろう。
ナイフが腕輪に当たったことで男の手からナイフが飛んでいき男の足元に転がった。
「ん?なんだ安物の腕輪か、ひっひひ。命拾いしたなぁ。」
男は少し驚いた顔をするとナイフ拾おうと屈んだ
「せっかく友達に貰ったものなのに壊しやがって・・・」
「そんな腕輪の心配をするより自分の心配をしたほうが良いんじゃないかな?ひひひひひっひ」
しかしこの状況はショータにとって好都合だった。
男がナイフを拾ってる隙に足につけていた奴隷の腕輪を音を立てないように外す。
そしてポケットの中へ
そしてナイフを再び持った男と対峙する
「おお?もう逃げるのはあきらめたのかい。ひひひ。痛くないようにするからよ~」
ニヤニヤと笑いながらナイフを構える
その直後、男の後ろで見ていたヒゲの男が叫んだ
「お、おい。なんだよ。その魔力・・・。は、反則だろ。やばい!逃げるぞ!!化物だ!!」
「ああ?うるせぇよ。今、良いところなんだよ。邪魔すんじゃねぇ!」
男は後ろを振り返らずに叫び返す
「お、俺は逃げるぞ!勝てるわけがない。」
そう言うとヒゲの男は大柄な男に何かを耳打ちして走って逃げて行った。
そのあとに大柄な男が顔を真っ青にして逃げていく
出来ればここで3人とも逃げて欲しかった
でも、やっぱりこれだけじゃ無理だよなぁ
さっき腕輪でナイフを受けた右腕を構える。
腕輪のおかげできられることは無かったけど、衝撃でかなり痛い。
震える足を必死に止めて左足を下げる。
それと同時に男が足払いを仕掛ける
『fire arrow』
ショータが叫んだのと男のナイフが喉下触れるのは同時だった。
手の平からバシュンという大きな音と共にレーザーのような赤い光が・・・
いや、何もかもが違っていた。
手の平から出たのは極太のビーム
そしてバシュンのような可愛い音ではなくドゴォォという轟音
そしてまぶしい光
まるで右手が大砲になったような感覚だった。
え・・・また威力が・・・
予想外だけどこれも好都合だ。
ショータは右手から伝わる反動で後ろへと飛ばされビームは男の真上を飛んで行き何にも当たらず空へと消えていく
後ろに飛ばされたおかげでナイフ空を切り刺さらなかった。
男は驚いた顔をしていた
後ろで見ていた少女は口を開けて放心状態になっていた。
「あぶねぇなぁ、そんな隠し技があったなんてなぁ」
そして今の状況はというと
倒れたショータの上に馬乗りになって右手で首元にナイフの刃を押し付け
左手で両腕を押さえつけられた状態だ
「楽しかったぜぇ、ひっひ。残念だが俺の勝ちだなぁ、じゃあ最後の言葉を聴こうかなぁ?ひひひ」
最初のニヤニヤ顔が戻っていた。
さっきの魔法を見て逃げ出してくれる、そんな期待も裏切られた。
魔法を唱えようものならすぐにナイフが切り裂くだろう
両手は封じ込まれて身動きが取れない
少女は放心状態で後ろのほうに座ってる
どう見ても万事休すの状態だった
ショータはニヤリと笑って男の目を見てゆっくりと最後の言葉を言った。
「俺の、勝ちだ!」