表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/52

第37話:迷子


歩いてみて分かったのがこの都市には店の数が物凄い。

中に入って数時間だというのに右を見れば店、左を見れば店、どこを見ても店ばかりだ。

前の町の市場もすごかったけれど比べ物にならないほどだ。


「なあティファ、アレはなんだ!?いや、アレは!?」


ある果物屋らしき店の前で止まって言う。こんな不思議な果物が並べられていて好奇心おさえろと?

ショータには出来るはずがなかった。

大きさはタマゴくらいのもので色が紫色、なんだか美味しそうな果物を指差す



「それはシュラミスの実だよ、ちなみに毒があるよ?食べると三日三晩、腹痛と酷い吐き気に襲われるんだよ」


笑顔で答えるティファ


青ざめるショータ



近づいてみていた顔を勢いよく引っ込める。


「おいおい、なんで毒なんて売ってるんだよ。物騒だなぁ」


なんだか美味しそうな感じのオーラがでてたのに


「たぶん魔法の研究とかで使うんだとおもうよ」



なるほど・・・

魔法のことは良く判らないけど、そういわれると納得できてしまう



「おっと、寄り道してる場合じゃない武器屋に行くぞ!」


そう言って放していた手を急いで繋ぎなおす。



「そういえば腕輪にヒビが入ってるんだったな、これも修理できるのだろうか・・・」


一つくらい壊れても魔力は抑えれるらしいけど二つあったほうが安心できる

一つなら万一奴隷の腕輪だとばれてしまった場合、ごまかすのが難しいけど

二つならばれても誤魔化せるし、しかも感知型の魔法使いにまったく怪しまれない。

しかも元の世界では魔法とは無縁だったから別に魔法が使えなくても不便じゃないんだよなぁ・・・



「なぁ、ティファ。武器屋に言ったら修理屋に寄ろうと思うんだけ・・・」


ショータの言葉は最後まで続かなかった。

手を繋いでる左手を見て絶句したからだ。



なぜか自分の左手を握ってるのは、見知らぬお婆さんだったからだ。


「え?」


理解できずに硬直する



「お兄さんや、わしゃをどこに連れて行く気だい?」


お婆さんがゆっくりとした口調で聞いてきた。


あれ?なんで・・・



固まったままでは仕方ない


「ああ、なんだかすみません。連れ回してしまったみたいで・・・」


とりあえず謝る。


「まあ、楽しかったからいいよ。」


ニコニコ顔のお婆さんはそう言って杖をつきながらゆっくりと去っていった。


しゃがみこんで両手で頭を抑える

何時だ!いつはぐれた!

あの時か!あの手を繋ぎなおした時の!

そして俺、迷子かよ・・・


この広い都市のど真ん中で迷子、泣きそうだよティファ。



あれだけティファの迷子の心配をしておきながら結果はどうだ。


果物屋らしきものを見つけて興奮して、見知らぬお婆さんを連れ回して・・・挙句の果てには自分が迷子になってる。


「とにかく探さなくちゃなぁ・・・」


そう言ってUターン。そして前進


それにしても人が多いなぁ、見つけるのは難しいだろうなぁ


ふと横を見ると暗い横道があった。幅が狭い路地。


「お、人が居ないし、近道っぽい」


迷わず路地に入って進む。どうせ迷子だし迷ったらもと来た道を戻れば良いし・・・

この選択が吉と出るか、凶と出るか・・・


鼻歌を歌いながらずんずん進む



するとふと横から声が聞こえた。


「おいおい、お譲ちゃん。おとなしく金を出せばなんにもしないよ~。なあに金が無いって?なら身包み全部おいてって貰おうかな~」



路地の真ん中あたりから横道があって見たところ行き止まり。

その行き止まりで1人の女の子が3人の男に囲まれている


なんだかお決まりの状況だった。


首だけを動かしてその状況を見たショータ。

そして数秒停止


ショータは関わらないほうが良いと直感的に感じる。

そして脳内の危険センサーが赤色に光った。


それと同時にその女の子と目が合う。


助けて!というきつい目線

無理!という視線で返してやった。


どう考えても無理だ。漫画やアニメのヒーローと違ってこっちはただの高校生だ。

こんな状況で助けに入れる勇気は俺には無いんだよ。

無茶を言ってはいけないよ。本当にゴメン、俺は非力なんだ。自力で何とかしてくれ・・・


そう願いを込めた後、歩き出そうと一歩踏む出した瞬間。


「ぬしは、妾を見捨てるのか!」


女の子にしては古風なしゃべり方だ。

いや、そんなことよりも

まってー、呼び止めないで・・・


その瞬間、3人の男が同時に振り返った。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ