第35話:理由
「そろそろ町が見えてくるはずなんだけどなぁ」
歩いて数時間、体力的にも限界だった。「数時間で疲れるなんて、なんて体力がないんだ!」と思ったそこの君、
俺はただの高校生であって、そして都会っ子だった。子供のころは友達と走り回るよりテレビゲームをしていた少年だ。
これが16年間グータラに過ごして来た結果だ。
「なあ、ティファ。ティファは元気そうだけど疲れないの?」
ニコニコ笑顔で横を歩いてる
「ぜんぜんだよ。ショータおにいちゃんは疲れたの?」
どんな体力をしてるんだよ、年下のしかも女の子に体力で負けてるとは・・・
へこみそうだ
「ティファは凄いなぁ、体力もあるしクマも倒せるし」
少し間をおいてティファが言った
「私はね、4歳の時に森に捨てられたの。」
いきなり衝撃の事実を告げられた。
「いつも通りにベットで寝て朝起きたら見知らぬ森の中だった。
森にはいろんな動物が居て、遊んでくれる動物も居たけど襲ってくる動物がほとんどで・・・。
私はどうしても死にたくなかったから。だから強くなろうと決めたの。危険な動物が襲ってこない時は必死に体を鍛えて、
食べれる食料を探して、勝てない動物は逃げて。そして死に物狂いで戦ったの。強くならなきゃ死んでしまうから。
どうしても生きてお父さんとお母さんに何故捨てたのか聞きたかったから・・・
そして4年が過ぎた頃に森にゴードンって人が来て私のところで働かないか?って聞いてきたの」
そしてゴードンについていった結果、奴隷として働かされていたのか
「実はショータおにいちゃんの旅についていくのも、もしかしたら旅の途中でお父さんとお母さんに会えるかもしれないから・・・」
ティファがこの年で物凄く強かった理由と旅にどうしても付いて来たかった理由が分かった気がした。
親に捨てられて、一人で森をさまよって、誰も頼れる相手が居なくて、強くなるしかなくて・・・
辛かっただろうな
だから・・・
「会えるさ」
「え?」
立ち止まって俯いてたティファが顔を上げる
「俺の元の世界に帰る旅は長くなるだろうし、きっと旅の途中で会えるさ。探すのを一緒に協力するよ。」
「うん!」
ティファが鼻をすすって
大きな声で返事をした
いつの間に道が下り坂になってる。あ、やっと見えてきた。
「ほら、町が見えてきた。」
やけに疲れると思ったらゆるい坂道を登っていたらしい、この場所からは町が一望できた。
「この町、さっきの町より大きいな。なんだか雰囲気も違う気がする」
「確かここは・・・商業都市ダラス、いろんなものが手に入る場所だって聞いたことがあるよ」
なるほど、商業都市。商業都市ならいろんな人が集まってくるだろうし。いろんなことが聞けそうだ。そこなら図書館に行く前にいろいろと知ることが出来そうだ。
あと、移動用に自転車くらいは欲しい気もするが、有るだろうか。
「いまのところ自転車や自動車、も見たことないからなぁ」
いや、もしかしたら移動するための魔法があって
自動車とか自転車が不要なのかもしれない
なんだか急にワクワクして来た
「よし!行くぞ!!!」
そう言ってさっきの疲れがうそだったように走り出す
急にテンションが上がったショータを見てティファ少し驚いてた。