第34話:決裂
さて、ここで状況を整理してみよう
俺はホーンベーアー(長いのでこれよりクマと呼ぶこととする)にお姫様抱っこをされている
クマは俺に恋してる
クマはオスだ
状況整理終わり
なんとか説得できないものだろうか、さすがにクマを連れ歩くには目立ちすぎる
「なあ、何度も言うけど俺はクマと婚約できない。」
クマの腕の中で見上げる形になるが、はっきりと言った。
とたんにクマの顔が
いや、そんな寂しそうな顔をしなくても・・・
なんとか理由をつけて断らなければならない。これは譲歩できない問題だ
たとえ、クマが突然、話し出して「私の人生だもの!」とか言われても断固拒否する。
さすがにクマは許容範囲外だ
「クマよ・・・何故ダメかって言うとだな」
「グォ?」
すこし首をかしげる
「それは・・・そう!、弱いからだ。 アレくらいのトラは簡単に倒してもらわないと困る。だからお前じゃだめなんだ。」
苦しい言い訳だった。
何かを考えるようにクマがうつむく
そして
「グォォ・・・グォ!」
そういうとゆっくりと俺を地面に降ろす。
そしてノソノソと森へ向かって歩いてく
なんだか背中がかわいそうな気もするが・・・
そして、遠く離れたところでクマが振り返って雄たけびを上げた。
「グォーーーーーーー!!!」
そのクマの目にははっきりと何かを決意したようにみえた。
「なぁ、ティファなんか簡単に帰っちゃったけど大丈夫かな」
案外あっさり帰っていったのにビックリだ
「たぶんショータおにいちゃんが言った弱いって言葉が響いたんだと思うよ。ホーンベーアーにとっては力が全てだから。この森では力が無いものは襲われるし。そして力があるものと婚約するから。弱いといわれたのがショックだったんだと思うよ」
なんか悪いことをしたような気がしてきた。
でも、クマはなぁ・・・
「さて、そろそろ行くか!」
「うん!」
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道と呼べるのかは分からないが地図を見ながら歩いて数時間
小さな小動物には出会ったが、危険な動物には会わずに進んでこれた。
「なぁ、なんで俺の周りには動物が寄ってくるんだ?」
召還されてからすぐにもであったし、道を歩けばトラも出て来る。そしてこの数時間でウサギに似た動物や
なかなかの大きさのネズミにも出会った。
これらは凶暴というより友好的で、足に擦り寄ってきたりもした。
「たぶん好かれてるんじゃないかな、魔力がすごい人は動物に好かれるらしいよ。」
なるほど・・・
あれ?
「でも、俺は奴隷の腕輪をしてるから魔力が無いことになってるんだけど・・・」
ちゃんと、足と腕に腕輪をしていることを確認する
「動物だから直感的に分かるんだと思うよ」
魔力がすごい人は動物にプロポーズされることが頻繁にあるのだろうか・・・
いつかそんな人に出会ったら聞いてみたいものだ