第30話:前後
ハーヴェイ達と別れて数時間、時計を持ってないから正確な時間はわからないけど4時間くらいか・・・
俺は悩んでいた
シルスやハーヴェイから森の中を歩かずに、ちゃんとした道を歩けば危険な動物とかには出会わないと聞いた。
だから俺は忠告通りに”道”を歩いてたわけだ。
だが、目の前には一匹のトラらしきものが居る。
トラ?なぜ道の真ん中にトラ? Why?
これはもう絶望的だ。この前襲われたときのホーンベアーよりは若干小さいが勝てる気がしない。
体が赤色で涎をたらして・・・
とてもじゃないが友好的な動物には見えない
唯一の救いはそのトラが今、眠っていることだ。
涎をたらしながら道の真ん中で眠ってるトラ・・・・
「ふっ、死亡フラグだな」
ここでトラを起こしたら終わる、主に俺の命が終わる。
ここで俺の選択肢はこうだ
横に避ける? or またぐ? or 飛び越える?
もちろん 横に避けるだ
飛び越えるなんて考えただけでもゾッとする
「ゆっくりとトラを起こさないように・・・」
誰の悪戯だよ、道の真ん中にトラを放置する奴。
トラを起こさないようにとゆっくりと歩き出す
4歩ほど歩いてトラすぐ近くに来たところで何かに気づく
何か変だ。トラの寝息が聞こえなくなった。
ゆっくりと首だけを動かしてトラの方向を見る。
なんとも眠たそうなあくびをしていた。
さあ、どーするショータ!
この絶望的な状況で・・・
すぐさま脳内会議を開始する
魔法を使う?
いやいや、腕輪を外して唯一使える魔法”fire arrow”でも唱えろと?
ファイ・・・ と叫んでるあたりでのあたりで俺はトラの胃の中だろう
クマと違ってトラだ、しかも目前。早いんだろうなぁ
そのまま無視して通る?
まてまて、このままトラの横を通るのは非常に危険だ。
それなら戦ったほうがましだ
このトラは友好的なのかもしれない、コミュニケーションをとろうぜ?
ちょっとお前は黙ってろ、ふざけてる場合じゃないんだよ!
このまま自然にバックしたらどうだ?
それだ!
とりあえず戦えるようにと腕輪をゆっくりと外してポケットにしまう。
そしてゆっくりと後退していく
よし、トラは眠ってるようだな・・・
危ない危ない、
「トラは無いよなぁ、いくらなんでもいきなりすぎるだろう」
あれ?
ふと後ろに気配を感じて振り向くと
ホーンベアーが仁王立ちをしていた
前門の虎、後門の狼
ならず前門のトラ、後門のクマだった