第27話:説得
朝起きてまず驚いたのが筋肉痛だ
「あれだけ走ったら筋肉痛にもなるよな・・・」
何度も言うが俺は体育の補習を受けるほど運動ができない
ああ、こんな毎日が続いたらムキムキになるかもしれない
いや、その前に倒れてしまだろう
今、現に体中が痛い
「ショータ、大丈夫か?」
先に起きていたハーヴェイが聞いてきた
ベッドの上で体をミシミシと言わせながら起き上がる
「ああ、ただの筋肉痛だ。ハーヴェイは大丈夫なのか?」
「俺は毎日、宿屋で力仕事をしてたからな」
そういって力コブを作ってみせる
そして短い沈黙
いや、頑張って見せてるけど力コブできてないからね
「さて、メシを食いに行くか。ついでに説得も」
この宿屋には食堂があってそこで食事を取ることになってる。
みんな食堂で食べてるだろうからそこで説得だ
食堂で朝メシを受け取って空いてる席を探そうとしていると、知っている顔が手で「ここが空いてる」と教えてくれた。
みんなが固まって座ってるようだ、これは話すのに都合がいいな
一通り食べ終わってゆっくりと立ち上がる
ちなみに朝御飯の内容は”パンのようなもの”だった。
やべぇ、まだ腰がミシミシ言ってる・・・
「なあ、みんな聞いてくれ。俺の護衛がしたいって聞いたんだけど」
そう聞くと向かいの席の一人が答えた
「ああ、俺たちは助けてもらって何のお返しもできないから、旅の護衛くらいならできると思ったんだ。盗賊とか騎士とか危険な動物とかからの護衛ならできる」
「別にお礼なんていらないよ、護衛も必要ない。みんな自由なんだ、自分の好きに生きれば良いじゃないか。それに40人も護衛が居たら目立ちすぎる」
本当に護衛してくれるというのは嬉しいけど大事な時間を俺なんかに使うことは無い。
「でも・・・」
「気持ちだけ貰っておくよ、ありがとう。」
「お金はヤシムに渡したマジックボールを売れば結構な金になるだろう。これでも国王が魔法を込めたマジックボールだ。
それにハーヴェイには金貨十枚に化ける契約書を持たせてある。
それで、幸せに生きるんだ。それが俺の願いだよ」
そして、数秒悩んだ顔をしてこう言った
「ショータがそう言うのなら、俺はあきらめるよ」
なんだかすごく残念そうな顔だ。
これでみんな納得してくれたようだ、本当にありがたいんだけど俺の旅は異世界に帰った時点で終わってしまうんだ。
俺が帰ってしまった後には何も残らない、俺の護衛なんてただ無駄な時間をすごしただけになってしまう。
それなら、俺なんかにかまってないで幸せに生きる努力をしたほうが有益だ
「ショータに困ったことがあったら、いつでも助けに行くからね。この町宛に手紙をくれればいいから」
隣に居た女の子が言った。
いや、顔が近い。顔が・・・
「ああ、ありがとう。手紙か・・・」
この世界にも郵便局のようなものがあるんだろう。電話が普及してないのだから手紙なんだろうな・・・
ん、手紙?
ふと大事なことを思い出した
あ、そうだ!忘れてた。
ローブのポケットに手を突っ込んで小さな封筒を取り出す。
ある命の恩人に託された手紙だ。
とりあえずここで聞いてみるか・・・
「なあ、ウェスタって子を知らないか?」
かなり間が空いてしまってすみません
大学受験でいろいろと忙しくなってきました・・・
(言い訳ですね、ごめんなさい)
このままノロノロと書き続けていく予定です。