第26話:偽善
宿屋に入ったまでは良かったけどそういえば俺は金が無かった。
全部マジックボールを買うのに使ったし今の俺の手持ちはゼロだった。
流石に野宿はしたくないなぁ
「ん?どうしたんだショータ?暗い顔して」
不思議そうにハーヴェイが聞いてくる、
「いやぁ、今気づいたんだけど。俺、金持ってなかった・・・」
「なんだ、そんなことか。そんなもの俺達が出してやるよ。」
なんだか物凄くあっさりと言われた
「いいのか!それは助かる」
「何を言ってるんだよ、ショータは俺達の恩人だぜ。俺達の全財産を渡しても足りない位だ。」
「ありがとう、ハーヴェイ・・・涙が出そうだ」
「ちょっとお客さん!これはいったいどういうことですか!」
ガヤガヤとうるさくなった宿屋のロビーで宿屋のオヤジが人ごみを掻き分けて来た
もう人の波に飲まれそうな勢いだ
「ああ、とりあえず1泊させてくれ」
そしてその親父に向かってハーヴェイが言った
「おい!ハーヴェイいったい何を言ってるんだ!早く仕事に・・・・って、腕輪はどうした?」
「へへへ、この腕輪はショータにはずs「いや、ゴードンさんって人が外していた!」」
ハーヴェイが危うく危ないことをいいそうになったので急いで遮る
ここで俺が腕輪を外したと明かしてしまうのは危険だ
というよりハーヴェイを俺が連れ出しておいて帰ってきたときに腕輪が外れていたら怪しすぎるだろう
もう全部ゴードンのやった事にしよう
なんだか可哀相な気もするが・・・
「ゴードンさんだって!まだ契約は終わってないというのに何をしているんだ!あの人は!!」
なんだかすごい怒っていらっしゃる
「まあまあ、今日は遅いんですし明日ゴードンさんに請求でもすればいいじゃないですか」
まあ、この町に奴隷はもう一人も居ないし奴隷にするような奴も居ないのだから金を請求することになるだろう
「さて、とりあえず部屋に行くか」
1部屋に2人で泊まることになったわけだが
俺の相部屋はやっぱりというかハーヴェイだった
「そういえばお前達はこれからどうするんだ?もう自由だし、どこにでも行けるんだぞ」
ふと疑問に思った、やっぱりこの町から離れたいのだろうか
「それがなぁ、この町で働くって奴も少しは居るし、隣町に行きたいって奴も居た。だけどほとんどの奴がショータに付いて行きたいって言ってたよ」
「え、なんでだよ。俺についてきても何の特にもならないぞ」
ただ図書館に行って調べのをするくらいだ
「それがショータの役に立ちたくて護衛がしたいって、まあ俺もその中の一人なんだが」
「ちなみに何人だ?」
「40人」
即答だった。
「まってくれ、俺はハーヴェイを助けるかって理由で皆を助けたようなものだ、ただの偽善者なんだよ。最初はハーヴェイ一人が助かればいいと思ってた、そんな奴の護衛をしたいなんて・・・」
本当に俺はただの偽善者だ
「でも結果は俺達は助けられた、原因とか過程とかは関係ないんだよ。ついでに助けられた、とかそんなことはどうでもいいんだ。」
「そうか・・・ありがとう。」
「でも、護衛は要らないよ。40人もの護衛は多すぎるし、まず護衛なんていらない。そこまで危険な旅じゃないだろうし」
宿屋までの道のりを思い出す、見られただけでおばあさんには奇声を上げられるし、おっさんには熱い視線をもらった
これは明日、みんなで話し合う必要がありそうだ