第21話:成功
「さて、そろそろ全員集まるな」
あとはゴードンの屋敷から脱出してくる数十名だけだ。
しかし、今この場に居る人数だけでも40人近く居るわけだ。
「ハーヴェイ、全員いるか?」
「ああ、あとはードンの屋敷に居る奴だけだ。ショータ、本当に大丈夫なのか?」
「た、多分。俺の予想ではもうすぐ来るはずなんだけどなぁ」
これでも国王が込めたマジックボールを渡したんだ。それを使って町でであった感知型の魔法使いが気付かない訳がない。
気付いてくれれば後は簡単に逃げれる
「そういえば、最初にゴードンを完全に潰すって言ってたけどそれはどうやってだ?もう教えてくれてもいいだろ」
「ああ、ゴードンはもうすごいダメージを受けたさ」
ハーヴェイが首をかしげる
「まず、ここに40人はゴードンが貸し出した奴隷として働いて居たんだよな。それが働いている途中に居なくなったら誰が賠償すると思う?」
「ああ!」
何かに気付いたように声をあげる
「俺が借りに言ったとき1人の値段が1週間で銀貨一枚と聞いたから、
たとえば1人の契約期間が軽く見積もって半年程度だとして・・・金貨2枚と銀貨4枚だ。それが40人だと金貨96枚だ。
ハーヴェイが働いていた宿屋で考えると金貨一枚で1ヶ月過ごせるほどの価値だから、まあ贅沢しなければ8年間は働かなくても生きていける。
仕事の途中で奴隷が逃げ出した。しかも奴隷の腕輪を外して逃げた。
確実にゴードンは返金を求められるだろう。しかも中途半端で投げ出された仕事の賠償まで・・・」
まあ、これは少なく見積もっての計算だ。ハーヴェイが居た宿屋なんて1年間の契約だったのだから。
「それじゃあゴードンは・・・」
「大変な事になってるだろうな。しかもだ、さっき町で会った感知型の魔法使いと騎士。ゴードンの屋敷から逃げるために渡したキャンセレーションのマジックボールを使った時点で
きっとゴードンの屋敷に向うだろうから、ハーヴェイの仲間達がゴードンの屋敷を逃げ出す前に騎士が到着した場合。一般市に危害を加えようとしているゴードンが居るわけだ
それを騎士が見ていたのなら、ただで済むことはないだろうな」
たとえ貴族でもここまですれば潰れてしまうだろう。さすがにやりすぎたような気もするが
50人のこれからの人生とゴードン1人の人生を天秤に掛けた結果だ
「なんだかゴードンを騙したような気もするけど、まあ人を売り物にしたらダメだよなぁ」
「ゴードンはそれ位の罰を受けて当然さ。おっと最後の12人が来たみたいだぜ」
ゴードンが指を指す方向を見るとちゃんと12人いる。
「よし、全員救出できた!」
一番心配だったゴードンの屋敷からの脱出も成功しいる。完璧だ。
「自己紹介が遅れたけど、俺の名前はショータ、一応この計画の発案者だ。」
簡単に自己紹介すると皆自己紹介を始めた。
12人の簡単な自己紹介が終わるとヤシムと名乗った少年が尋ねた
「なあ、ショータは一体何者なんだ?強力な魔法が込められたマジックボールを沢山もってたし、ここにいる全員を助けたんだろ?どうやって・・・ってセラナどうした?」
震えながらヤシムの袖を引っ張っる
「こ、このひとの魔力が・・・」
セラナが震えているのを見たハーヴェイが気付いたように言う
「ああ、セラナは感知型だったけ?さすがにショータの魔力は普通の人より桁違いだからなぁ」
「実は俺、国王なんだ。」
想像してた通り場の空気が凍りつく。同時にそれを聞いた12人も同時に凍りつく
「まあ、俺たちも聞いたときはびっくりしたよなぁ」
ハーヴェイの後ろにいた数人が笑っている
「ショータが国王・・・様・・・。も、申し訳ございませんでした!数々のご無礼を・・・」
凍り付いて数秒、最初居に動いたのはヤシムだった。
「ストップ!もう、やめてくれ。それは聞き飽きたし、若干トラウマになってきてるんだ。
ということで後ろで震えてるセラナ、俺は人畜無害だからそんなに怯えないでくれよ。
俺は国王になんてなりたくないんだけど勝手にそんな称号が着いてただけなんだ。
ちなみに元の世界に戻るために現在奮闘中さ」
「ああ、だからゴードンの屋敷で騎士にマジックボールのこととか聞かれなかったのか、おかしいと思ったんだよ。」
ふと誰かが呟いた
「え?、何も聞かれなかった?適当に話をごまかしてきたんじゃ・・・」
何も聞かれないのはおかしい、
国王を見なかったか?とか
このマジックボールはどうしたんだ?とか
ゴードンとの関係は?とか・・・
「いや、なんだか隊長さんがこのマジックボールを見た後、解放しろ!って叫んでさ」
何か嫌な予感がした、計画外の出来事
そして背筋にぞっとくる寒気・・・
まさか!
急いで辺りを見回す。あたりは少し暗くなっていたが何人かの人影が見えた。
その数十人の騎士が俺を囲むように距離をつめていた
「ゴードンの屋敷からずっと騎士につけられてたんだ、俺は逃げ・・・・って囲まれてるじゃないか・・・」
騎士はもう数十メートルの位置に居る
逃げ道は無さそうだ、走っても無理だろうなぁ
そして見覚えのある顔が俺の前にやってきた
そう、市場で追いかけてきたあの女性だ
そして方膝を立てて俺の前にしゃがんで言った
「私の名前はセト王国防衛部隊2番隊隊長ヘンリーロット・ルセイユ、貴方お迎えに上がりました。国王様。」