表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

『向こう側の小宇宙』より。

クイ

作者: 砥眞 芳矩

ねえ、聴いておられます?

世の中、色んな方が居るじゃないですか。

若い方やお年を召した方、男の方や女の方。

太った方、痩せた方。挙げ始めたらキリがありませんよね。


中でも美しい方というのは、絶大の人気を誇っているようなのですが、これには疑問を呈さずにはいられないんですよね。


なんでかって?考えてもご覧なさいな。

見せ掛けは綺麗に繕っても中身は吐き気がするほどに汚い。


この一言に尽きると思います。


え?いえいえ。性格の問題ではございませんよ?もっと根本的問題。物理的問題とでもいうのでしょうか。


ところで、アナタは九相図、というのをご存知かしら?


あら、知りませんか。


これはですね、お亡くなりになった方を屋外に打ち捨てて朽ちていく過程というものを画に描いたものなんですが、えぇえぇ、人間、どんなに美しかろうと死すれば同じ、美醜関係なく、腐ちて逝き、軈ては土に返る。それを現した画なんですよ。


どんなに惑わされようと、素を辿れば同じモノ。逝き付く先は皆同じ。


ふふふ、実に無常ですよね。

今アナタもこうしている間にも、刻一刻とその瞬間に進んでいるのですよ。


え?なんでしょうか?聞き取れませんでしたわ。もう少しハッキリと言っていただけませんか?

あ、お食事中にするような話ではございませんでしたね。マナー違反でしたわ。ごめんなさいね。

そうではない?

あら、痛かったのかしらね。ごめんなさいね。


優雅に咲き誇った花、芳醇な果実。

仄甘さが広がり新たなる境地へと誘う。

なんて詩的に言ってみましたが。ふふふ、やっぱり鮮度は大切ですわね。


数多は誰かの死を糧に輪となって連なっていっているのですよ。

中身が皆、等しく汚くとも生きるためにいかされている。

だから、だからこそ、その命を無駄にしないように精一杯に生きて逝くべきなのではないでしょうか。


あらあら、ちょっと話に夢中になりすぎて、静かになっていたことに全然気がつきませんでしたわ。


ふふふふふ。


それでは


ご馳走様。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ