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そうしてお姫様は、

泡のカタチに細胞分裂

作者: 東亭和子

 これは魔法の薬。

 最後に選んだときに使いなさい。

 お前が愛しい男を殺すことが出来るなら、使いなさい。

 この薬を男に飲ませて一緒に海に入るのよ。

 そうするとお前は泡にならずに海に戻れるわ。

 私たちの元へ帰って来れるのよ。

 可愛い可愛い私達の妹。

 いつでも海へ帰っておいで。

 私達は待っているよ。

 

 美しい声は美しい足になった。

 私は海を捨て、陸へあがった。

 それは人間に恋をしたから。

 姉達は反対したけれど、私は諦める事が出来なかった。

 人がどんな生き物なのか知らなかった。

 愛している、と言葉でいいながら態度で裏切る。

 そんなことを平気でする生き物だなんて…!

 私は愛されると思った。

 ずっと一緒にいれると思った。


 姉さん、それは過ちでした。

 私は今日、薬を使います。


 こっそりと紅茶に薬を入れた。

 もう未練はなかった。

 私は海へ帰るのだ。

 家族の元へ帰るのだ。

 彼を甲板へ誘い出し、私は渾身の力で突き飛ばす。

 呆然とした顔を見下ろして、私も海へと飛び込んだ。


 私の足が鱗へと変化する。

 美しい自慢の声が戻ってくる。

 彼は泡となって消えていった。

 自分の身に何が起こったか分からないままに消えていった。

 私は歌った。

 歓喜の歌を。

 そうして姉達の元へと急いで泳いで行った。


人は簡単に裏切る。

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