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ドラゴンだって弱いんです  作者: 留坂豪
混血の現在
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vsゲルト



 斬属性中級スキル“豪剣”!


 僕らの間にある木ごと、ゲルトを切り裂く。

 ……が、当然のようにウロコを使った護属性スキルで弾かれた。


 ……今更だけど、怪我とかどうするんだろ?

 覚醒魔法に回復は……あるな、自然治癒力向上とかそんなやつ。

 テクラが多分そこら辺やって……くれてるよな?

 まだあの竜のことをよく分かってないんだよな。どれくらい信頼していいものか。

 まぁいいや、トドメは寸止めでなんとかしよう。


 さて、ゲルトについて。

 粗方の魔法はできる上、雷属性は特大級、他の属性でも超大級。属性外だって最低でも中級。

 よって、こっちに隙があると。


 目の前で緑色の魔素が光る。

 魔素量から分かる、中級の覚醒魔法だ。

 この時点で初級の覚醒魔法をちょっと上手く使える程度では、強化に差が出る。

 とはいえこちらには“風竜の加護”がある。

 まだこちらの方が身体能力では勝るだろう。


 だからゲルトは堕天魔法を撃ってくる。

 予測済み。


 こちらも初級覚醒魔法で強化しながら、堕天魔法を躱していく。

 うん、やっぱ“青の世界”って卑怯だな。

 みんなは見えないから当然だけど、魔法は真っ直ぐ飛ばしても当たる。

 属性魔法なら物理現象を伴うけど属性外はそれすらないし。

 それが見えるんだからズルだよ、ほんと。


 とはいえ、躱し続けるのも辛いんだけど……!

 光剣の刃が魔素でできているから、魔法を弾くこともできるのがせめてもの救い。他の武器じゃできないから、使う武器も縛られてしまうけど。

 距離的には銃で押し切れるならそうしたいところ。

 それに、光剣を使い続けるのも体内の魔素量的に不安。

 魔素が尽きてしまえば、僕より魔法の上手いゲルトに勝てなくなる。

 剣の間合いまで攻めに出ないとだ。


 今なら木が切り倒されて視界は取れるから、攻めやすい。

 これ以上覚醒魔法で強化されたりしても不利。

 ならば。


 速攻!

 翼を広げ、一気に空気を叩く!


 一度突進すれば地面を滑空するように駆け抜けていく。

 飛んでくる魔法を躱し弾き突き進む。

 薄く広げた魔法でさえも光剣の火力を上げることで切り裂いていく。


 そして。

 届く。

 剣の間合い。

 魔法よりも剣で斬る方が早い距離感。


 押しきれる!

 鋭い踏み込みとともに袈裟斬りを放つ。

 だが、それは予想通りと躱される。


 そこからその伸ばしきった腕を、掴まれた。

 掴まれた?

 ゲルトが掴み技なんてしたっけって……。


 ……は?


 世界が一回転する。


 何を……いや、これは投げ技系統の体術スキル!?

 嘘だろ、ゲルトが体術スキル使えただなんて!


 ゲルトが体術スキルを使えたなんて話、聞いたことは無い。

 てことはこの一週間で誰かに教わったってことか?

 剣の間合いに入って油断した!


 いや、そんなことはどうでもいい。


 完全に体勢を崩された……ということは強力な追撃が来る。

 体術スキル他の大技を使うための繋ぎのスキルとして使われることが多いのだ。


 案の定、雷属性魔法が僕を襲う。

 それを僕は強引に身体を捻り、光剣で弾く。


 が、さらに体勢は崩れ、そこを狙われ右手を蹴り飛ばされる。

 剣が、手から離れていく。


 しかし、ここにきて。

 僕に一番有利な条件になった。


 お互い拳の間合いで交差する。

 拳が届くのが一番早い距離。


 となれば。


 僕に付け焼き刃の体術で勝てると思うなよ!


 更に襲ってきたゲルトの蹴りを読みきり受け流し、かえしに一撃、追撃追撃!

 不意打ちでトドメを刺しきれなかった、ゲルトの負けだ!


 形勢が逆転して、防戦一方のゲルトを攻め立てる。


 体術スキルを重ねた先、蹴りが重くゲルトの胸に突き刺さった隙をつき、“道化師”職業スキル“トリック”で転がっていた剣を一瞬で回収。


 これで終わりだ!

 護属性で防がれないように最後は大技で。

 寸止めはするけど!


 僕は光剣を高らかに掲げて振りかぶり……。


 それを見た、ゲルトがニヤリと笑った。


「俺の勝ちだ!!!」


 ……え?

 あ。


 背後で魔素が揺れた……が、気付いた頃にはもう遅かった。

 一対一の大詰めで、後ろを警戒するのも魔法を使われることも忘れていた。

 やられた。

 大振りしていた剣は、もう戻せない。


 チラリと見えた黄色い魔素。

 属性外じゃないな……雷属性魔法か。

 発動が早いのをちゃんと選んでいるあたり、作戦負けを感じる。


 とか、一瞬の思考の後。


「っづあぁっ!?」


 弾けた電流が僕の身体を蹂躙し、駆け抜けていく。

 そのあまりの威力に僕の意識は飛んでいく。


 あぁ、くそ、負けたのかぁ……。


 遠のいていく意識の中で……。


「あ、やべぇやりすぎた」


 ……おい。

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