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ドラゴンだって弱いんです  作者: 留坂豪
珍獣の楽園
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 堕天属性魔法。

 簡単に言うと、デバフ魔法だ。

 能力の低下や、状態異常の付与をする魔法。

 雷の上位属性である。


 雷竜の加護を得たので、雷と堕天の適性が上昇した。

 ついでに言うなら、ここ雷竜の里は黄色い魔素が豊富なので、その二つの属性は練習しやすいのだ。


 つまるところ本来の目的、強くなる、に丁度いい機会なのだ……!


「教えるって……お前、使えないの?」


「雷は上級。堕天は初級」


「お前、えぇ……?普通、自分と違う属性でも属性外魔法は人間のいう最上級まで使えるだろ。自属性ならもっと使えるっつーの」


 ドラゴンの常識なんて説かれましても。

 そもそも無属性だし。


 こうして聞くとアレだよね。

 もしかしたら僕強いんじゃねっていうの、ほんとに無いんだなぁって思う。

 得意属性ないの致命的だよな。


 いや、ドラゴンってだけでそこそこの能力持てるから、そりゃあそこそこは強くなれるけど。


「使えないものは使えないんです」


 ルーファスも匙を投げてました。

 だから一人旅に出てるんだけどさ。


「ゲルトは、今どれくらい使えるんだ?」


「おぉ、聞いて驚け。雷は特大級、他の属性は超大級。堕天は最上級、他の属性外は上級だ」


「おぉ……!って、属性外は上級じゃん」


「何言ってんだよ、まだ九歳だぞ」


 それ言ったら僕は六歳だぞ。


 まぁそれは置いといて。

 ドラゴンにとっての大人認定は十五だ。

 それまでに属性外を全部最上級……?

 無理だな。

 ほんとに属性外は難易度が跳ね上がるのだ。


 ってあれアヴリルさん、並のドラゴンより魔法のポテンシャル高い……?

 杖の性能もあるだろうけどさ。

 いや、そんな優秀な家系だからこそあんな杖があるのか。


「そんなわけで教えてください」


「まぁいいけどさ、俺でいいの?」


「ほかに知り合いいないし」


 あと、変に優秀な人に教わって、無属性ってのがバレるのが怖い。


 基礎を教わるのに下手な人だと云々ってのはあるけど、そこら辺はルーファスに教わってるし。

 なんとかなるだろ、多分。


「ちょっと……そうだな、堕天をせめて中級使えるようになるまででいいから!」


「まあ、いいか。よし、それなら俺の寝床に来いよ!みっちり鍛えてやる!」


「あざーっす!」


「おう、じゃあまたひとっ飛びだ。加護の感覚を掴むのにもいいだろ」


 どうやらゲルトは外から来るやつに積極的に話を聞くために、最初に会ったとこの近くに住んでいるらしい。


「今度は二時間で行けるかな」


「多分行けるだろ。お前元々わりと速いし」


 おっ。

 いいこと聞いた。

 加護含めれば雷竜の平均より速いのか。

 まぁそりゃ逃げる技術磨いてるんだから速いけどさ。

 あぁ、でもそれなら大抵のやつから逃げ切れるってことだよな。

 よしよし。


 ……でもゲルトより遅いんだよな。


 二匹で揃って飛び立つ。

 うーん、やっぱゲルトのほうが上手い。


 と、そこで周りを見渡して違和感。


 あれ?

 僕が速いってのは同年代の話か?

 普通に皆さん僕より速いじゃん。


 ……頑張ろう。


「そういや、ここのドラゴンって契約とかどうしてるの?」


「は?契約?なんでそんなことするの?」


「え?」


「え?」


 えーっと?


 詳しく話を聞くと。


 ドラゴンにとって、契約はまるで利益がない。

 そもそも契約は互いの使える魔素の共有なのだ。

 ドラゴンに比べたら人の操れる量なんてたかが知れてる。

 なのに勝手にあっちはこっちの魔素を使うとか、煩わしいだけなのだ。

 よっぽどドラゴンよりも人のほうが魔素の操作が上手ければ契約するけど、普通はそんなことはない。


 だそうだ。


 やっぱ僕とアヴリルの関係は理想だったのか……。

 なんかまた悲しくなってきた。


 落ち着け。

 切り替えよう。


「えっと、じゃあ飯とかどうしてんの?」


「毎日人間が捧げてくるじゃん。え、外はそうじゃないの?」


 そうじゃねぇよ。


 って、あぁ、そうか。

 里の民は雷竜の信者だもんな。

 そりゃ捧げてくるだろうよ。


「そっか、だからいつも外から来たやつはここを天国だなんだっていうのか」


 ん?

 あぁ、僕以外にも外から来た純血雷竜と話した時のことか。


「捧げられるって、どんな感じなんだ?」


「近くの草原に頭おかしいくらい大量に食べ物が置かれるんだ」


 おぉ、すげぇ。


 基本的に信者は傭兵や冒険者などが引退した後、脅威の象徴としてそれぞれ信仰するようになるそうだ。

 命を賭ける職業、つまりほとんどが金持ちである。

 そして竜の里は、その土地のほとんどを牧場や農場にしているとか。


「むしろ外じゃ飯はどうすんの?」


「最近は大型ペット用フードを買ってた」


 もう少し前は普通のやつ。

 これがまた案外美味いんだわ。


「なにそれ……?」


 まぁ、信者に捧げられてるお前らのほうがタダで良い飯食ってるだろうよ。

 アヴリルお金持ちだったから僕も結構良いものを食べてたけど。


 でも、ここにいる間はその捧げられるものにありつけるわけだ。

 お金の節約にもなる。


 おぉ……。

 もうここを永住の地としてもいいんじゃないか?


 いやいや落ち着け。

 いつまた第七組織が来るか分からねぇんだ。

 もっと強くならないと、だ。




 ただ、飯はほんとに美味かった、とだけ言っておく。



なんか見返したらちゃんと書いてない気がするので。


魔法、技術スキル、職業の区分、八段階。

超初級<初級<中級<上級<最上級<超大級<特大級<極大級

です。

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