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ドラゴンだって弱いんです  作者: 留坂豪
マイマザー 後編
34/72

こいつかよ!

 


 ……空気中の魔素がない。


 そりゃそうだ、極大級魔法やれば無くなるわな。

 教授はなんだ、俺は強いぞとでも言いたかったのか。


 という訳で今日できるのは十人といったところらしい。

 全体の約半分が一回最上級魔法を練習できる程度。

 ここの立地はどうも魔素の回復が速いんだとか。

 普通は一度極大級魔法を使えば三十分は誰も魔法が使えなくなる。

 そもそも極大級魔法が撃てるほど魔素が無いこともあるんだそうだ。


 で、今日は早速やってみようって話なんだが。


「それでは成績順に前へ出てやってもらおう。レイナーさん、前へ」


 はぁ?

 一番最初っすか。

 やめろよ、せめて他の奴の手本くらい見せてくれ。

 お前のは凄すぎて参考になってないから!


「ほら、行くよイア」


「お、おう……」


 アヴリルに急かされた。


 逃げ道は無いか。

 皆の前に出るとか辛い。


 まぁいい、気分を切り替えていこう。


「それで、魔法は何使うの?」


 アヴリルは今どこまで使えるんだっけ?

 確か、属性魔法は最上級、ものによっては超大級だよな。

 属性外はどうだっけ?

 ほとんどが中級、何個か上級だったかな。


「今日は精神魔法の“気絶”にする」


「あれ?それ前使えてなかったっけ?」


「イアが何もできなくなるでしょ?」


 はいそうです。


 いや言うても精神魔法とか難易度高いんですけど。

 ほとんどアヴリルがやるからいいのか。


「それで、誰か相手がいると良いんですけど」


「そうですね。では次席のカルムさん、前へ」


 それに応え、すっと立ったのは……。


 イケメン。


 滅びてしまえ。


 っとミスった、つい本音が。


 ふぅん、次席ねぇ。

 どんなもんなのかね。


 と、そういや契約した魔獣は誰なんだろ?


 目線を後ろへずらせば。


 大狼じゃないですかやだー。

 初日隣の檻にいたやつじゃん。

 相変わらずギラギラとした目を向けてくるんですが。


「カルムさんはレイナーさんの魔法を防いでみましょう」


「分かりました」


 え?

 防ぐ?


「防ぐって何するの?」


「消滅魔法とか、同じように精神魔法で自分を守るとかだよ」


 なるほど。


 え、待て待て。


「どっちのほうが魔法上手いかって話?」


「そうだね」


 マジか。

 僕は戦力外だから……。


 二対一じゃん。

 ごめんアヴリル、これ負けたわ。


「狙うのはどっちですか?」


「そうですね……。実際の戦闘の時は魔獣から潰すのかを基本ですので、魔獣に魔法を向けましょう」


 実戦で真っ先に狙われるの俺ですかそうですか。

 え、なにそれこわい。


「では、始め!」


 回復した魔素を根こそぎ白く染めていく。

 僕が誇れるのはせいぜい多く魔素を操れるくらい。

 維持するのはアヴリルがやってくれる。


 あちらは……どうやら消滅魔法みたいだ。


 と、こちらの魔法が完成した。


 “気絶”ではなく“念話”だが。


『イア、相手の様子は?』


『消滅魔法で前方に壁作ってる』


 目の前が真っ赤だ。


『大きさと、狼との距離は?』


『狼の一メートル前、半径十メートルの円形』


 結構広いな。


『了解』


 あと僕にできるのは、相手の隙を見つけること。

 魔素が見れるって結構有利だな。


 壁が所々薄いのも分かる。


 ……あれ?


『待って、狼とやつ全身に魔法纏ってる』


『厚さは?』


『よく分かんないけど、薄い。パッと見気づかなかったから』


『うーん、まぁ薄いなら大丈夫かな』


 僕は“念話”の維持をしている。

 既に完成した魔法を維持するくらいならできなくはない。


 “気絶”の魔法はアヴリルに任せた。


 魔素が流れる。

 敵の背後の方で魔法が構築されていく。


 普通前から魔法飛んでくると思うよな。

 ざまぁみろ。


 スカしたイケメンも狼も全員寝てしまえ。

 当てるのは狼だけか、無念。

 僕も早く上達しなきゃな!


 “気絶”の魔法が完成した。


 アヴリルの思うままそれは背後から狼に当たり。

 薄い消滅魔法の鎧は意味をなさずに。


 どさりと狼は倒れた。


 おぉー、という声が観客から上がるが、魔素は普通見えない。

 ほとんどの人は普通に火力勝負で僕らが勝ったと思ってるんだろうな。


 魔法を制御していたイケメンと狼は、前方の壁を突き抜けていないことは分かるんだろうか?


「ん?あぁ、分かると思うよ。操っている魔素が乱れるのが本当なら伝わるはずだからね」


 なるほど。

 でも、妖狐とかも魔素見えるはずだから分かってるんだろうな。


 まぁ楽勝だったな!

 次席も大したことないな!


 という訳で僕らは下がりまして。

 次の人が前に出る。

 三席は妖狐とその契約者みたいだ。


 っていうか狼、気絶したまま放置でいいのか?

 みんな放置してるし……いいのか?

 雑だな、扱い。


 まぁいいか、狼だし。


 妖狐のコンビは凄いな、時間魔法の“停止”。

 それもかなりの広範囲だ。


 さすがだな。


 魔素が切れて、魔法が終わる。


 次は三毛猫とその契約者だ。


 ……え?

 三毛猫さん優秀ですね……。


 いやまぁこの成績順って契約者の成績順なんだけどさ。


 猫の魔素操作量も多い。


 体内の魔石の大きさで操れる量は大体決まるらしいけど、あの猫の体内にそんなデカいのあるのかな……。

 結構スリムだよな。

 猫の種類とか良くわかんないけど。


 と、三毛猫達は空間魔法の“扉”を使った。

 うわぉマジか。

 皆属性外魔法かよ、レベル高すぎません?




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