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ドラゴンだって弱いんです  作者: 留坂豪
マイマザー 後編
31/72

“職業大全”を読んでみた

 


 昼過ぎ、まだ夕方とはギリギリ言わないくらいの時間にアヴリルは帰ってきた。


 結局僕は魔素を操れて損は無いだろう、と魔素操作して時間を潰していた。

 今後の講義やらなんやらでシンシアさんに暇の潰し方は教わるとして。


「おかえりー」


「ただいま、本、色々借りてみたよ」


「色々?」


「うん、ジョブ以外にも世界地図とか魔法やスキル一覧とか」


 おお!

 さすがアヴリル気が利く!


「どれから見る?」


 むむ。

 どれから、ねぇ。


 大本命のジョブは楽しみに最後に取っておくか?

 でも魔法とかスキルの一覧って見るの時間かかるよな。

 そしたらジョブが明日に繰り越されるかもだし。


 そしたらまずは。


「ジョブ一覧見たい!」


「うん、わかった。じゃあ、これか」


 背負っていたリュックから一冊の本が出てくる。

 タイトルは“職業大全”。

 そこそこの厚さだ。


「他のもここに置いとくね」


 と、部屋の隅に本が積まれる。


 それぞれ“魔法大全”“技術大全”“世界地図”。


 明日の暇つぶしには事欠かなそうだ。


「私はやること色々あるから、適当に見てて。あと、何か質問とかあったら言ってね」


「了解っす」


 オクトキューブについてはまた今度聞くか。

 忙しそうだし。


 そういやアヴリルが使ってるとこあんま見ないよなぁ。

 スマホみたいにたくさん機能があるわけじゃないのか?

 まぁいいや。


 さてさて!

 見せてもらおうじゃないか、ジョブ一覧!


 なんかドキドキする。

 攻略本開く気分だ。


 本を開けば前書き。

 からの目次。

 それからジョブ一つ一つについて詳しく書いてある。


 目次だけでも見てて面白いな。

 色んなジョブがある。


 まぁでも生産職は今回関係ないし、戦闘職について見ていこう。


 超初級は“幼体”。

 これ以外にないそうだ。


 初級は僕の場合“魔物”。


 他には“村人”“動物”“植物”とか。

 どれも補正が無いから“村人”は存在せず、人類はみな“動物”だと言う説もあるそうだ。


 まぁどうでもいい。

 補正ないし。


 その次の中級は生産職。

 これも関係無し、と。


 上級職!

 問題はここからだ。


 大全を見ていると、どうやら上級職は使う武器で変わるみたいだ。


 例えば片手剣で斬属性上級を使えば“剣士”だけど、同じく斬属性上級を使えるようになっても武器が短剣なら“暗殺者”になる。


 最上級職は上級職の上位版といった感じだ。


 アヴリルの“賢者”はいずれかの最上級魔法を四つ使えるようになることが条件なようだ。


 最上級職か……。

 僕はどれをとるかな。


 やっぱ魔法も使いたいし、これかな。


 最上級職“道化師”。

 習得条件、いずれかの最上級スキルといずれかの最上級魔法を使えるようにすること。

 ジョブスキル“トリック”。

 離れた場所にあるものを瞬時に手元に引き寄せることができる。


 習得条件はまだまだきついけど、やっぱ魔法も使うってなるとこれだよな。

 スキルも面白いし。


 相手の武器をかすめ取るとか出来たら強くない?


 ジョブスキルはあくまでスキルだから体内の魔素を使う。


 どうやら“トリック”は魔素をかければかけるほどより遠くから、より重い物を取れるようになるそうだ。

 魔素の少ない人間にはあまり人気がないらしい。


 これは僕の時代が来たんじゃなかろうか。


 え?

 まず魔法が使えないだろって?


 ……言うな。


 まぁそれは置いといて。


 ほとんどの人は最上級職が限度らしい。

 だから最上級って呼ばれてるんだが。


 つまり超大級職から極大級職は才能とか運とか色々必要で、努力だけじゃどうにもならない世界だ。


 例えばどんなのがあるのかというと。


 超大級職“魔王”。

 習得条件、全ての属性魔法を極大級まで使えるようになること。

 ジョブスキル“同時詠唱”。

 同時に魔法を複数行使する。


 ……いや、習得条件唐突に厳しすぎだろ。

 なるほどアヴリルが“賢者”から先に進めないわけだ。


 あとこんなジョブもある。


 超大級職“勇者”。

 習得条件、強大な相手に立ち向かうこと。

 ジョブスキル“起死回生”。

 身体が限界であればあるほど能力に補正がかかる。


 習得条件がまず具体的じゃない……。

 僕にとってはラージスネークは強大な相手ですよ?

 でもそんなジョブには就けてない。


 まぁパッと見、残念ながら僕が就けそうなジョブは無い。


 スキルに才能があるなら“達人”っていうジョブがあるけど、全属性スキル極大級は無理だろ。


 まぁこの先は諦めるとして、楽しく見よう。


 超大級職の次、特大級職。


 例えば。


 特大級職“天使”。

 習得条件、属性外魔法二つを極大級まで使えるようにすること。

 ジョブスキル“セイクリッドフォース”。

 全てを穿つ光の矢を放つ。


 特大級職“悪魔”。

 習得条件、生物を異常数殺すこと。

 ジョブスキル“デストロイ”。

 相手は死ぬ。


 規格外。

 ですね。


 ……いや、相手は死ぬってなんだよ。

 こっわ!

 理不尽すぎる。


 条件も意味わかんねぇ。


 属性外魔法二つ極大級?

 生物を異常数?


 厳しすぎませんかね。

 てか異常数って幾つだよ……。


 特大級職はこんなのばっかだ。


 そして最後、極大級職。

 これは一つしかない。


 極大級職“神”。

 習得条件、■■■■の■■■■■“■■”を■■■ようにすること。

 ジョブスキル“全知”。

 全ての事を知ることが出来る。


 ……読めねぇ!

 なんか文字にモザイクがかかってるんですけど!


「アヴリルさーん!“神”ってどうやったらなれるんですかー?」


 机に向かって何か書いてるアヴリルに声をかける。

 作業を中断させるのは悪いけどこれは聞くしかないだろ。


「ん?あぁ、やっぱりイアでも見れないのね」


 とすると皆見えないやつかー。

 何故に?


「“神”になる方法は誰にも伝えられないの。分かるのは“神”になった者自身だけ。諸説あるけど、最初に“神”になった人が“神”を増やさないためにそんな魔法をかけた、とか」


 魔法なのこれ?

 いや、魔法以外ありえないだろうけど……魔素の動きが全くないんだが。


「えっと、じゃあこれ書いた人は?」


「“神”だよ、もちろん」


 うわお。

 いるのかマジで。


「世界で一番有名な“神”だよ。“全知”を使って多くの富をもたらしたんだ。でも知識だけだからやっぱり限度があるからね。それに、なんか肝心なことはモザイクがかかっちゃうんだ」


 へー。

 同じ“神”でもモザイク取れないのか。

 “神”の中にも上から下までいるってことか。

 そりゃそうか。


「ちなみにその“神”ってどんな人?」


「どうなんだろう?表に出てこないから分からないよ」


 そっか。

 その人となりで条件分かんないかなとか思ったんだけど。


「“神”ってどれくらいいるの?」


「“神”は不老不死らしいし他の人と絶対的なレベルで差があるから殺されることもないし、同じ“神”に殺されるしか死なないとかなんとか。一回“神”になってしまえばそのままあり続けるらしいけど……。確か百人くらいだったかな」


 そんなに?

 いや、今まで生まれた全人類の中で百人だけか。

 少ないか。

 条件厳しいんだろうなぁ。


 まぁそんな雲の上の話は忘れて、次の本を手に取ることにしよう。





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