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第六節「そして雨雲を夢見」
目を閉ざしたまま、少年は少女を安置した、もう一人の少女の隣を手探りで探し出して、そして其処に優しく彼女を寝かせた。彼女を安置する前に森や洞窟の黒を見てしまって人の心をまた失う事の無いように、目を閉じてこの洞窟に辿り着いた為に少年の体は彼方此方が痛んでいた、だが少年はいまだ瞳閉ざしているので自分の体がどんな風になっているのか分からない。只分かっているのは、この疵が彼女の体を守り続けた為に出来た栄誉有る疵であると言うことだ。
瞳閉ざした少年の視界には、ずっと灰色が映っていた、灰色、それはそんなに悪い色ではない、晴れの予感を含む色だ、その静寂は次に来る光の合唱を期待させる。ただ、それはその灰色が雨雲の物であった場合だ、晴れない事を宣誓している死神達の涎が降るこの世界の物では無く。今自分の瞳に見えている灰色が、その雨雲の物だったらいいな、そう思いながら少年は、黒の真ん中で、殺意を太陽光だと信じて、目を開いた。彼の雨雲は、綺麗な雨を二つ流していた。




