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*ある日の小さな午後、ある日の暑い朝

読者の皆様へ。

初めての投稿で拙い部分もあるかとは思いますが、

楽しんでご覧ください。

私も楽しみです(´∪`)♪

*****


あ、蚊がいる。

嫌だな。蚊は嫌いなんだ。とてもキライ。あの音が駄目なんだ。動かなきゃ。かまれちゃうよ。めんどくさ。

「ブーン・・・」 

パチッ!!

「ゲットー!!!流石、私。」

『・・・お昼のニュースをお伝えしました。続きまして、今日の天気予報をお伝えします。今日は全国的に晴れることになるでしょう。昨日よりも』ブツッ。

「また晴れか。」ボリボリ。

あぁ、18歳になる女の子が短パンランニング姿でお尻を掻きながら横になっていいるなんて、、なんて見たくもない光景なんだろうか。。

いや、むしろ風流だ。


*****


『ピンポンパンポン。八時ちょうどをお伝えします。広報野田、広報野田です。今日は夏祭りが矢野川で行われます。みなさん、ぜひとも参加しましょう。広報野田でした。今日も一日元気にがんばりましょう。』


「う〜ん。。」 ピヨピヨ・・・

「うるさい!この広報はどうにかならんのか!?」と、一人怒鳴ってみる。

「夏祭りなんて行ってる暇なんてないんです!私は働くいたいけな18歳の少女なの。遊んでなんていられないのですよ。なにが今日も一日がんばりましょう、だ。こんなど田舎で遊ぶことなんて蝉取りくらいなんだよ。餓鬼は蝉取りしてりゃいいんだよ!!」

そういいながらも、しっかりと毎朝ど田舎にしかない広報ラジオで目を覚まさしてもらい、餓鬼と呼ばれるような彼女の幼少時代にはしっかりと夏祭りに行っていたという、このいい加減さ。

9時からは仕事がある。というかバイト。毎朝寝起きが悪いため、文句は言いながらもうかうかしてられない。1時間で仕事の用意をしなくちゃいけない。

ガタガタガタ・・

「うん?亀ちゃんかな?それにしてもうるさいなあ。」

この家には亀がいる。小さいころに夏祭りでとってきた亀だ。名前はまだない。というか、自由なんだ。飼い主様の気分によって名前がころころ変わる。そんないい加減な中でも、名前を呼ぶと、しっかりと反応をしめしてくれる。かわいいやつだ。

にしても、音がうるさい。

ガタッッ!!

「あ”〜!!すみません!」

外で人の声がする。それもなにやら落としたようだ。

私は電気を付けなくても明るい部屋の中をそっと歩き、台所のすぐ横にある玄関の穴から外を覗き込む。外には二人の作業着姿の男がいっぱいのダンボールを隣の部屋へ運んでいた。

今日は何の日だっけかなあ。あ、夏祭りの日だよね?作業着姿でするものじゃあないよね。。そういえば、安田のおばちゃんが何か言ってたような・・う〜ん。

もう一度のぞき穴から外を見る。いかにも古そうなこのボロアパートの下には引越しのトラックが止まっていた。

あぁ、そうだ!隣の部屋に誰か来るんだっけ、

そうだそうだ、と思っていたら、目の前が暗くなり、誰かが反対側からこちらを覗き込んでいるのだということを理解するのにしばらく時間がかかった。

え!?と思ってびっくりしながらも目をはなさなかった。すると、目の前の人がゆっくり目を離していき、一人の若い男が覗き穴から見えた。

誰だこの人・・・

その男はとくに、チャイムを鳴らすわけでもなく階段の下に下りていった。

あの人何がしたかったんだろう。変な人。もしかして隣の人じゃないよね。。

ってか、私が見てるのわかったのかなあ。反対側から見てたら真っ暗が見えただけだよね。ばれてたら恥ずかし!

ユメはふと、時計に目をやった。時計は八時半を越えようとしていた。

「やべ!遅れちゃう!!」

顔を洗うと、ご飯も食べずに用意と化粧をフルスピードで済ませ、急いでスニーカーを履く。ユメはラフな格好をしながらも、整った顔とスタイルがいいというだけでなにを着てもなんだかしっくりきちゃうのだ。だからではないけれど、いつも格好はスカートとか可愛らしいものではなくて、Tシャツ・ジーパン・スニーカー。

ニャーゴ!!

「おはな!行って来るね!!」

アパートの前に出るとさっきの男はどこにもいなくて、作業着姿の男たちだけがトラックにたかっていた。

「・・・今日も暑い。」

空からはまるで人間なんて気にならないかのようにさんさんと太陽の光が降り注ぐ。朝だというのに静けさなんてこれっぽっちもなかった。蝉の声が耳にまとわり付く。ついでに汗も私の体にいやらしくまとわり付いてくる。太陽は助けることもせず、無視を続ける。

もっと思いやりというものはないのか。誰かが耳元で蝉のように鳴く。

「もっと思いやりというものはないのか。太陽君。思いやりのないやつはモテないいんだぞ!」


私は、汗を拭きながらバイトへと急いだ。


*****


うー。外は暑い。中も暑い。涼しさというものはこの世からなくなってしまったんだろうか。

机の上においていた飲み干した麦茶の中の氷が、いつの間にか先を急ぐ少女達のように溶け出していく。その一つを口に含む。

にしても暑い。

クーラーなんでないんだよ。こうじっとしていたら頭がおかしくなりそうだ。

外に出ようか、、涼しいところへ行こう。っていってもお金ないし、部屋まだちらかったままだしなあ。めんどくさい。部屋片付けといてくれるメイドロボ欲しい。

とりあえず図書館に行こう。涼しいし、引っ越してきたばっかりでそこしか場所知らないし。

それで帰り道に風鈴買おう。クーラーは買えないから、せめても夏らしいものを。少しは涼しくなるかもしれないな。

それにクーラーより風鈴なんて、風流だ。


*****


「あー、そこにお願いします。あと適当に置いてください。めちゃくちゃ狭い部屋ですが、荷物少ないんで何とか入ると思います。」

「はい!わかりました!」

「あとは、運び終わったら麦茶とお昼用意してるんで。」

「ありがとうございます!」

作業着の男たちが、狭いアパートの階段を行き来する。


「しっかし、暑いですね。」

さっきから暑いしか言葉が出てこない。もっと気のきいた言葉が言えないのか。

言えないんだよな。だって、暑いんだ。

「今日は最高41度って言ってましたからね〜。昼からさらに暑くなるんじゃないですか?」

「まったく困りますね。こう暑いと。手に何もつかないですよ。」

ここによくありそうな会話を成し遂げているのは、大学4年になる僕ナルミと、作業着姿の引越しアルバイトの青年。年下だという彼は、僕よりもしっかりした体つきで、荷物なんかも軽々と運んでしまうほどだ。おまけにこのさわやかな笑顔。さわやかナンバー1で輝きだすのではないかと思えるほどだ。それに比べて僕は貧弱・華奢な体つき・色も白くて女みたい とよく言われるものだ。ついでに女みたいな可愛い顔をしているのだ。こうもかっこいい青年を前にしてみると、コンプレックスがえぐられるようだ。

お金がないのに引越しにしては少ないこの量の荷物を頼んだのは、一人じゃ無理だからだ。友達に頼めばよかったのだが、みんな卒業前で忙しいのだ、と言う。嫌、嘘だろ。

みんなこんな暑い日に、重労働がしたいというやつなんていなかったのだ。まぁ、僕ももそうだいからいいんだが。

「どうも、ありがとうございました!」

「いえ、こちらこそ、ありがとうございました。」


ブルルルルル・・・・・


トラックが行ってしまった。

あっという間だったな。むこうで運び出して、こっちに運び込むまでものの4時間程度。


唯一の窓の際に腰掛けていると、太陽にやられそうになる。

外では子供たちがはしゃぎまわっていた。浴衣を着た子供たちが結構いる。

今日は何かあるのかな?

煙草に火をつける。吐き出す煙までもが、なんだか熱くてぼやけて見える(当たり前)。

悪くないアパートだな。静かだし。隣に人は住んでいるのかなあ。覗いてみたけど真っ暗だったし。うるさかったら嫌だな。前はうるさかったからな。

さて、片付けるか。

金魚鉢の中のデメちゃんを覗き込むと、元気にしているようだった。

机をひっぱって窓際に持ってくる。麦茶を一杯飲み、横になる。

「後でいいや。」

窓からは涼しい風がこころなしか入ってきて、やさしげな午後を連れて来る。

あ、風鈴があればいいかも。

そんなことを思いながら眠りに入っていく。


小さな蚊が、窓からそよそよと入ってきていた。



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