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もう恋なんてしないなんて  作者: リリー・アルフレッド
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愛する人に本当のことを言われるよりも、だまされているほうがまだ幸せなときがある。

仕事も順調に終わらせ、ジムへと急いだ。

「ね〜、最近痩せたね〜。」

うちの課の美人だけど意地悪顏の烏谷希美(ユキの中の勝手なアダ名・カラス美)が机の上の資料を片付けてる時に何か言いたげに話しかけて来たけど、

「そうですか?」

と素っ気なく答えて早々に会社を出た。


「何あれ〜。痩せたって、ブスはブスなくせに〜。」

って声が聞こえて来たけど、今は気にしない。



だってだって、爽やかイケメン細マッチョ馬並みクンが待ってるんだもの!!


今日は絶対にメアドを聞き出してやるんだ!それか、このわたしのメアドを書いたメモを渡してやる!!


わたしの意気込みは半端なかった。

だって、あの馬並みを味わえるかもしれないチャンスがわたしにも到来してるかも知れないんだもの!

一生に一度かもしれない、このワンチャンス、絶対に逃さないとジムに向かう途中に心に深く刻み込んだ。


「はいっ、これわたしのメアド!」

「えっ、嬉しいな、僕から聞き出そうと思ってたのに、先越されちゃったな。」

「えっ、やだぁ、そんな、恥ずかしい。」

「僕の手取り足取りなトレーニングを受けてくれますか、ユキさんっ!」

「あゝ〜ん、イヤだ、わたし、そんなつもりじゃ〜…。」

「もう逃がしませんよ、ユキさんっ、僕の熱いマグマを受け取ってくださぁぁぁいっ!!」

「いやぁぁぁんっ!馬並みぃぃぃん!」




ガタンッ!




ロッカーの向こう側の扉を閉める音でハッとした。



いけない、妄想してた…、ハハッ。

そんなにわたし欲求不満なのかしら…。


少し戸惑いながら、ジム用のTシャツとハーフパンツに着替える。


…最後にエッチしたの、ケイジと別れる2年半前だったっけ。

ずっとわたしたちセックスレスだったもん。




そりゃさすがの女のわたしでも、


溜まるわ。



まず、お尻のマシンで悩ましく彼にアプローチ。

そのあと、Eカップを惜しげもなくアピールできるように、背筋のマシンをするの。

あとは、脚の内転筋のマシン。脚をプルプルさせながら、パカパカするのよ。



その計画を実行している間、爽やかイケメン細マッチョ馬並みクンをチラチラと目で追っていた。

爽やかイケメン細マッチョ馬並みクンは、わたしと目が合うたびに、顔が赤らみ恥ずかしそうに戸惑いがちにうつむいた。


ヤダ、これホントに脈あり??


鏡にふと写る自分の姿に目をやると、たしかに、少し痩せてグラマラスに近いカラダになっている気がしないでもない。


この、ムチムチ加減が男の人はたまんないって言うわけね!?


走るときの胸が上下に揺れる間も、馬並みの彼を探した。

そんなわたしの目は、女豹みたいな肉食獣そのものだった。



「あのっ、黒沢さん!」

「ハイッ!」

ついに来たと思った。

彼が急に近づいて来て顔を赤らめながら、でも意を決したように話しかけて来たから。


本当はわたしから話しかける予定だったのに…キュンッ。


なんて、ときめいていたら、




「あっ、あのっ、トレーニングしながらチラチラ見られると仕事に集中できませんし、黒沢さんも危ないんでトレーニングに集中してもらえますか!?」


わたしは、メアドを書いたメモを汗だくのハーフパンツのポケットから取り出して渡した。

メモ用紙を開けて中身を確認した馬並みな彼は、すぐさまわたしに突っ返して、


「ぼくっ、彼女いますので!こういうのっ、困りますっ!」



そのまま去って行った。





わたしの恋心は、あっという間に終わった…。




何がイケナイの?


別に付き合ってとか、言ってないじゃないのさッ!

ただ、その馬並みを拝見したかっただけなのォッ!

いや、うまくいけば、味わいたかったのォッ!




わたしは、スタスタとロッカーへ向かうしかなかった。





恋なんてしない、恋なんてしないんだから!




恋なんてしないけど、いつか見返してやるんだから!!!













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