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もう恋なんてしないなんて  作者: リリー・アルフレッド
3/6

恋愛は、美的生活の最も美わしきものの一つか。

取り急ぎ、わたしは家に一番近いスポーツジムの会員になった。


まずは、この醜い体をどうにかしなきゃ。


いつも食べてた、ファミリーサイズのキットカットを買うのを辞めることにする。お菓子は小袋。基本食べない。食べるならその分動く。

ご飯はお茶碗2杯だったのをお茶碗八分目に。炭水化物は摂り過ぎると太るけど、脳の栄養分だから無いと頭働かない。抜いちゃダメみたい。

野菜を最初にたくさん食べて、炭酸水と共に。まずはカロリーが少ないものでお腹を満たす。炭酸水は、お腹が膨れる。

お肉は極力鶏のササミかムネ肉。タンパク質で作られる筋肉は脂肪を燃やしてくれる。植物性なら、納豆か豆腐。

麺類は蕎麦にすること。ラーメンなんて糞食らえ。

和食を作る。やっぱり日本食がヘルシー。

カフェラテは、豆乳で。イソフラボン、タンパク質。


こうして、ネットや雑誌や女子の噂話から予備知識を学んだわたし。

ジムでは檻の中のハムスターのようにマシンでランニング、気合い入れてマシンの筋トレを開始したの。


あるジムの日、汗だくでゼェハァ言って休憩してると、


「おねえさん、痩せたいんですか?」


制服の青色のポロシャツを着た爽やかトレーナーが話しかけて来た。


痩せたい以外に何があるのよっ


と、キッと見上げると、


少し長めの髪を外ハネなんかさせちゃって、やや色黒細マッチョな男の子。


「あっ、はいっ!痩せたいですっ!」

声なんて1オクターブ上がっちゃったわよ。

その子は優しく微笑み、

「やっぱり。一生懸命だったんで、そうだろうなって。

効率良く痩せたいなら、筋トレ20分してから走ってくださいね。がんばって!」

そう言うと、スッと定位置に戻って行った。



なんなんだ、あのイケメントレーナーは…救世主なの…?


汗が引いてきたので、またトレーニングすることにした。


筋トレ20分、そのあとランニング、ね。


途中の全身鏡に写る、Tシャツとハーフパンツ姿のわたし、やっぱりイケてない。

まだまだ恋なんてとてもじゃないし、そんな価値もない。


でも、諦めないんだから。

恋なんてもうしてやらないけど、わたしが走る姿を指さして笑ってた鶏ガラみたいに痩せた女と、筋肉モリモリのナルシスト男たちをギャフンと言わせてやるんだ。



ついでに、元カレのケイジも…。



アイツ、Twitterの画像を新彼女との2ショット(それもほっぺにチューというほのぼの系!)に変えやがってぇぇぇぇ。





…新彼女、細くってやたら可愛かったなぁ。

言い過ぎだけど、柴咲コウみたいなしなやかな猫みたいな顔付きで。

言い過ぎだけど…。


この、どろぼうネコ!!って言ってやれば良かった。



頭からその二人の画像が離れなくて、頭を振って振り払おうとしたら、



「くっ黒沢さんッッッッ!!」



マシンの上で足を踏み外して、豪快に後ろ向きに流れて転けた。


ものすごい笑い声の中、あの爽やかイケメン細マッチョトレーナーだけが、汗臭いはずのわたしに駆け寄り


「だっ、大丈夫ですかっ!???」


と急いで抱き起こしたの。






も、もう、恋なんてしないんだから…。


神様のイジワル…。














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