第三十一話 力の改革
「…下がってろ」
「え?」
「もうあんた達の相手は終わりだ」
「それって」
その時、アウルに通信が入る。
「姫様!」
「スヴェル将軍、どうしました?」
「海賊から送られてきたデータです!」
「データ?」
コックピットのモニターに様々な資料が映し出された。
「これは…ラウド!」
「届いたか?
もうじきメテオレイドの隕石郡やってくる」
「そんな!? メテオレイドが地上に落ちたら」
「だから俺達はここにいる」
「いつから…いつから分かってたの?」
「だいぶ前だな」
「ならどうしてあんな戦いを起こしたの!?
これを世界に公表してみんなで協力すれば!」
「公表して誰が信じる?
敵国の策略か頭のおかしい奴の寝言で終わる。
それにあんた達の科学力じゃ無理だった」
「じゃあマッド博士の力で」
「名も無き科学者の言葉を誰が聞く?
だから俺達は実力行使に出た」
「それが戦争の激化…」
「人間は何かが起こってからしか全力を出さない。
備えていればそこで満足し歩みを止める。
知能が高いのに今の備えより更に上をなぜ見ない?
物事に完全なんてありはしない。
だからこそ上を目指し続ける為にその知能を使うべきだ」
「それは…じゃあなぜ科学者達を殺したの!」
「奴等は自分を越える才能を潰していた。
下の科学者が新たな技術を思い付いても、上の奴が自分の地位を守るために握り潰す。
現にそいつらを殺した結果、兵器の技術力は一気に飛躍しただろ?」
「でも、大勢の血を流させる必要なんてないはず!」
「元から争っていたのによく言えるな。
俺はあんたらがどれだけ死のうが関係ない。
ただ両親が眠る星を…愛した星を守るだけだ。
だから俺は悪魔にでも悪党にでも…破壊者にでもなってやる!」
「ラウド…」
「分かったらさっさと下がれ。
あんたの役目は他にある」
「死ぬ気なの?」
「さあな…運が良ければ生きてれるかもな」
「ラウド、そろそろ来るぞ」
「分かってる、おじさん」
「おじさんて言うなって言ってんだろ!」
アウルに背を向け去っていくラウド。
「必ず生きて…それがあなたの償いだから」
「さあ、来たぞ!
野郎共、根性入れろ!」
海賊船のモニターに無数の隕石が映し出されていた。