第三十話 破壊者再臨
月面基地ムーラス内に警報が鳴り響く。
「姫様、海賊船は沈黙したままです」
「私が陣頭指揮を執るから、基地の守備は任せます。
アウル隊出ます!」
アウルを乗せたルシフェールと共にネオアーマー数機が飛び立つ。
「頭、なんか来ましたよ?」
「無視しろ。
座標はあってるんだろうな?」
「はい」
「さてと…野郎共!
戦の始まりだ!」
イスから立ち上がり右手を突き出すガイス。
「海賊船から何機も出撃してる。
また戦争が…」
その頃、地上に海賊船からデータが送られていた。
「一体何の騒ぎだ?」
「クルード陛下!
宇宙に海賊船が現れ、部隊を展開。
それとこのようなデータが送られてきました」
ネスタの前にあるモニターにガルエンヴィの設計図が映し出される。
「ガル…エンヴィ…あのアンノウンか。
ん? 音声データ?」
「あーあー、初めまして諸君。
わしは天才科学者のマッド・ウィラー。
諸君らにわし達の目的を話そう」
それから数分、マッドの話を聞いたネスタ達は言葉を失う。
「…この男が言っている事は事実か?」
「…はい」
「そうか…宙域の部隊を後退させ、海賊船の後方に全戦力を集結させろ!」
ネスタの指令はすぐにアウルの元に届いた。
「後退!? どうして…みんなは下がって」
「姫様は?」
「念の為に残るわ」
「しかし」
「大丈夫」
「わかりました」
アウルを残し部隊が引いていく。
「頭、撤退し始めたみたいです」
「じいさんの仕業か?」
「まあ信じたという事じゃろう」
マッドの声がブリッジに響く。
「そろそろいいか?」
「ああ、待たせたな。
暴れてこい!」
「ガルエンヴィオメガ、全てを破壊する!」
「また一機出てきた…この機体!?
似てるけど少し違う…」
ルシフェールのコックピットに通信が入る。
「よう、お姫様」
「どう…して…」
「手足は機械になったがまだ生きてる。
目的を果たすまで死ねないからな」
「ラウド、あなたの目的は何!?」
「言っただろ全てを破壊する…父さんと母さんの眠りを妨げる全てを!」
「あなたには戦いしかないのね」
アウルへライフルを向けるラウド。