第十八話 それぞれの想い
ハイド皇国月面基地ムーラスに戦艦が次々と収容されていく。
「大詰めか」
「スヴァローグ、ここにいたのか」
「ちょっと見ときたくてな」
「アルマーダか。
ハイド皇国の粋を集めた戦艦にメテオレイドを使った量産機のドグライトアーマー。
この戦いで決着が着くな」
「ああ。
ダジボーグ、アルファ達はどうした?」
「アウル様と共に地上に残ったそうだ」
「そうか」
「一緒に戦場に立てなくて寂しいのか?」
「んな訳ねぇだろ!
ただ、あいつの成長を間近で見るのも悪くねぇと思ってな」
「私もだよ」
「そこの老いぼれ二人!
黄昏てる暇があったら機体の整備でもしな!」
「てめぇだってヨボヨボのババアじゃねぇかよ!」
「ヨボヨボのババアか試してみるかい?」
睨み合うスヴァローグとペルーン。
「相変わらずだな。
殴り合うのも程ほどにな」
その頃、月から離れた隕石群にある巨大な隕石に戦艦が入っていく。
「何事もなく到着出来て良かった」
「アウル!」
戦艦から現れたアウルに抱きつくジェミー。
「ジェミー、待たせてごめんなさい」
「ううん!
いよいよね」
「必ず戦争を終わらせる。
さ、行きましょう!」
開けた場所に基地にいる全員が集まり、アウルとジェミーが手を繋ぎ現れた。
「皆さん、時が来ました。
長年続いた戦争を終わらせる為に、私達は祖国と戦います!」
場から歓声が上がり、次はジェミーが話し出す。
「私とアウルに賛同して下さりありがとうございます。
争いからは何も生まれない。
しかし、根深い争いを止めるには戦うしかありません。
とても激しく辛い戦いになるでしょう。
それでも未来の為に皆さんの命を私達に預けてください!
そして平和な未来を掴み取りましょう!」
繋いだ手を掲げるアウルとジェミーに全員が敬礼する。
「さてと…後は戦いが始まるのを待つだけだな」
「あの三人も出てくるわよね」
「はぁ…怒られるだろうなぁ」
「何落ち込んでんだよクイン。
子は親を超えるもんだぞ」
「お前達がやりにくいなら変わってやろうか?」
三人の側に近付くブレイド。
「俺達でやるに決まってるだろ!
お前だってエルドなんちゃらってのと戦うのが嫌なら俺達に任せろよ」
「悪いが私は楽しみな位だ。
エルドクロイツと我が黒狼騎士団、どちらが上か確かめられるからな」
「ま、お互い簡単には負けられねぇな」
「ああ」
アルファとブレイドは拳を突き合わせる。