第十六話 撤退
ボロボロになったスヴァローグの機体はデュナミスに回収されていた。
「スヴァローグはどうした!?」
「今、コックピットから救出しています」
ダジボーグはブリッジを飛び出し格納庫へ急ぐ。
「スヴァローグ!しっかりしろ!」
「…」
「死ぬなよ!
…くそっ!」
スヴァローグは担架で運ばれていく。
「ダジボーグ様!至急ブリッジにお戻りください!」
アナウンスを聞き、顔を歪ませながらもどるダジボーグ。
「何があった?」
「アンノウンの戦艦が戦場に」
ブリッジのモニターにはシヴァルードが映し出されていた。
「何を始める気だ?」
するとシヴァルードの装甲に無数の砲台が現れる。
「まずは数を減らすかの」
砲台が輝き、細い無数の光りが戦場を埋めると同時にいくつもの爆発が戦場に広がっていく。
「なんだ今のは…被害状況は!?」
「待ってください!
…そんな!?我が軍の戦力は半数が壊滅、戦艦も五隻大破」
「半数が!?
確かに強力な兵器を持っていると聞いていたが、ここまで…。
アンノウンの技術はどれだけ進んでいるんだ…」
「ダジボーグ様、撤退を」
肩を落とすダジボーグに声をかけるシーマス。
「だが、敵はまだ」
「クルードの被害は分かるか?」
「おそらく我が軍と同じ位だと」
「あのアンノウンの戦艦はもう1つ強力な兵器を備えています。
これ以上の被害は…」
「艦長は経験しているんだったな。
…全軍に撤退命令を」
ハイド皇国軍は撤退を始める。
「大佐、ハイド軍が撤退します。
今の内に追撃を!」
「ダメだ。
確かに被害は同じ位だとはいえ、アンノウンの攻撃をかわしながらは不可能だ。
我々も撤退する」
クルード帝国軍も渋々撤退する事となった。
「両軍撤退。
どちらかを先に潰すか?
いや、まだ早いかの。
まずは可愛い孫でも迎えに行くとするか」
シヴァルードは姿を消し去っていく。
「ラウド、聞こえとるか?」
「ああ、まだ体が痺れてるけどな。
無茶するパイロットもいやがるとは…次は確実に破壊する」
「両国には刺激になったじゃろう。
そろそろ両国の限界が見えてくるはずじゃ」
「奴等の力が最高に高まった時、破壊が訪れる。
いや…滅びを運んでやる」
シヴァルードからワイヤーが二本伸び、ガルエンヴィを回収し飛び立つ。