13/13
誓約少年【Ⅰ】
────開話────
──神々廻家。
夜月は、己の無力さに打ちひしがれていた。契約を交わした瞬間から、何となく察してはいた。
「本当に、情けねぇな、俺は。」
いつもならここで皮肉を言ってくるであろう月読の姿は、今は無い。
自身の状態を察してか、部屋から出ているようだ。こちらとしては、ありがたい。
ふと、先ほど御嶽に言われた言葉が、彼の脳裏をよぎった。
「契約を切れば、元の生活に戻れる…か。ハハッ、確かにそうだよな…。」
元々両親からこの家の秘密について語られてすらない俺だ。期待もされてはいなかったのだろう。
不思議と、悔しさや怒りが湧いてくることはなかった。こう言う経験が初めてなわけではないし、何より彼は、自分に力が無かったせいで、両親を失ったのだ。
「もう、怒ることも悔しがることも疲れた。」
ため息を小さく漏らした後で、彼は立ち上がり、がチャリと扉を開いて部屋を出た。
────閉話────