第七話「キチガイ、来襲」
俺がこの世界が異世界だと悟ってからーーー三時間が過ぎた!!
「で、あるからして俺たちは帝国の脅威にさらされているわけだ。」
この男、名をバドルスと言ったか。彼が懇切丁寧に無知な俺に色々叩き込んでくれたからだんだん事情が飲み込めてきた。
彼らは侵略国家オルガゼイブ帝国から民衆を救うために立ち上がったレジスタンス【 自由 の風】の一員らしい。この監獄にいるのはどの人も被征服民の奴隷なのだそうだが、囚人達を逃がす際、失敗して自分達も(察し。
「して、これからどうするつもりだ?」
このバドルスと言う男、最初こそ脳筋だと思ったが、捕まってはいそうですか、で終わるとは思えない。何か策があると感じた。女の方はヒステリックに喚いているだけだが。「何よ!言いたいことがあったらはっきり言ったらどうなの!?」
すると、バドルスは不敵に笑う。
「当然だ。万一失敗したときの対策はしてある。俺たちの連絡が取れなくなって24時間経過したら仲間が突入に来る手筈だ。」
成る程。救援が来るから余裕を保っていられるのか。
「きいいいぃぃぃいっ!!あんた達二人揃って私を無視して!!ここから出たらギッタギタのボッコボコよ!!」
あっ、そんな大声を出すと……
「うるさいうるさいうるさい!!」
ほら、妹が起きてしまったじゃん。
もう一回説明しなければならないのか。
「あなた、先程からうるさいです。お兄ちゃんが困ってるのが分かりませんか?ん?」
流石エリナちゃん。俺たちに出来ないことを平然とやってのける。そこに痺れる、憧れルゥッ!
「困ったらジョジ○ネタに走るのはやめろ。」
「ん?誰か何か言った?」
「いや、誰も。お前しか聞こえていないのならそれは天の声かもしれんな。」
バドルスが答える。また電波言ってるのこの人。でも天の声だか、助言か知りませんけどジョジ○ネタは今のところ譲るつもりはないのですよ。フヒッ
おっと、今はそれどころじゃない。
俺は レ イラ=ドラゴスブルグことキチガイに目をやる。
見ると、血管がはち切れんばかりに額に浮き出ており、息をフシューフシュー言わせた後、大きく息を吸い込んだ。これはあかん。
「ぬわぁんどぅえっすてぃぃぃっ!?あたしが悪いわけぬゎいのよ!!悪いのはア・ナ・タ達!アタシに謝罪はないの?」
うわぁ……ここまで重度だとは……
「お前ら!何の騒ぎだ!?」
ほら、看守まで来ちゃったじゃん。何やってんの本当に。
「罰として鞭打ち100回の刑な。」
俺たち他の3人もやられました。
連帯責任って怖いね。