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第⑨説 謝罪

夜も更けた学院の中、ジークにくっついて離れない

ミリアとウラヌスを受け止めていたジークは

メイド達の様子が気になってびょう・・保健室へ足を運ぶ。


第⑨説 謝罪

風が少し冷たく感じられる中、ジーク達は嫌になる程にくっついて歩いていた。初見の人物がいたらこう呟いているだろう。「歩き辛いだろ・・・」と。


「フフフッ・・・ジークぅ!」

ミリアが満面の笑みを浮かばせて、掴んでいたジークの腕の力を強めた。これが男並みの力ならきっとジークの肩は砕けていたかも知れないが、やはりミリアも女の子だった。そこまで力が強いわけでもない。どっちかと言えばジークは別の場所を気にしていた。ミリアの胸は、ウラヌスよりも幾らか大きな形をしており、それがジークの腕に押しつけられた状態となっていた。こんな状況でドキドキしない馬鹿は鈍感では無い。死んでいるのだ。


「ジークぅ!こっちも見てよぉ!」

寂しそうな表情でジークを見つめたウラヌスも、掴んでいたジークの腕に力を込めた。そうしてまたもやウラヌスの胸が当たってジークが気にしてしまう。の連続だった。暫くその状況が続いていたが、やっとの思いで保健室にたどり着いた。


「さぁ・・入って・・って、もう入ってる・・」

先にミリアを保健室に入れようと思ったジークだったが、そんな気遣いは不要だった。ジークが気づいた頃にはもう既にミリアは保健室の中に行っていろんな人々に平謝りしていた。


「・・終わるまで待ちましょう?ねぇ?ジーク。」

珍しく大人しい口調で喋ったウラヌスだが、やはり他の目的があるのだろう。例えばジークと二人きりになっているとか、そんなところだろう。その証拠に、ウラヌスはミリアがジークの下を離れると同時に腕に力を込めて喜びを示していた。


「・・・・終わったみたいだな・・って!いきなり飛びつくな!」

暫く様子を見守っていたジークだが、全員に謝り終わったミリアはいきなりジークに飛びついた。それをみたウラヌスが必死にミリアを引き離そうとジークを引っぱり、それに対抗する形でミリアもジークを引っぱった。するとどうなる?そうさ!こうなるのはもはや必然だ。


「いててててて!ち・・千切れる!止めっ・・・ないかぁぁ!」

コントの様な動きが暫く続いていたが、遂にジークの堪忍袋の緒が切れてジークが怒鳴った。しかし、直後にヴァイス達に「大声出すな!」と注意を受けてしまったのは必然だ。


「全く・・二人とも・・・俺をなんだと思ってやがんだ・・・」

やっと離れてくれたウラヌス達は、しょぼんとした表情のまま壁に凭れかかってそのまま夢の世界へ逃避した。どうやらヴァイスの怒った表情が怖かったらしい。二人の目には涙が浮かんでいた。うっすらとでしかなかったが、ジークには十分に判断できた。


「・・・俺も寝るか・・・・ヴァイス・・あとは任せたぞ・・・・・・zzzz」

立っていた場所に座り込んだジークは、そのまま目を閉じて眠りに付いた。その間、僅か10秒。


「・・全く・・いつもこれだ・・みんな!片づけに移ろう!」

ため息をつきながらもヴァイスは助手に的確に指示を出していった。このあたりは流石は先生と言っておこう。


翌日~鳥の鳴き声は可愛いものだ。~


「ふあぁ~あ・・・よく寝れたよぉ・・・」

先ず最初に起きたのはウラヌスだった。もともとスヤスヤと寝ていたのだから当然だろう。ウラヌスが目を覚ますと、隣ではジークが壁にもたれて寝息を立てていた。その寝顔は可愛いもので、その表情を見ていると彼が将軍職に付いているなんて微塵も感じれなくなる。


「フフッ。ジーク・・・隙ありだよ・・・」

ジークが眠っているのをいいことに、ウラヌスはキスをしようとした。しかし、唇が触れる手前で動きが止まった。理由は色々ある。まず、こんなことをしてジークに万が一にでも起きられたら絶対に嫌われると考えてしまっていた。他にも、これがキスと言えるのかとか、こんなもので自分の心が満たされるのかなどの思いが交差した。


「・・・・〔やっぱり・・・止めとこう・・〕・・」

恐怖でたじろいでしまったウラヌスは、くっつきかけた唇を戻して行った。すると、暫くしてからジークが目を覚ました。しかし、ウラヌスの表情に気づく事は無かった。ウラヌスの表情は、どう表現すればまともに聞こえるか分からないが、とにかく失意の表情をしていた。


「・・うぅうん!・・はぁ!おはようご主人!」

元気よく挨拶したミリアだが、ジークはミリアの発した「ご主人」という言葉に違和感を持った。そして暫く時間を置いてメイド達が起き上がった。どうやら生死の境をさまようものは一人もいなかったらしい。それが分かったジークは一安心した。そして、メイド達全員を校舎に呼ぶようミリアに指示したジークは、一足先に校舎に来た。すると、そこには夕べに援護射撃を行ってくれたエカテリーぜの姿があった。どうやらジークの事を待っていたらしい。


「・・やっ!夕べは助かった。改めて礼を・「何なんですか?貴方は!」・・・えっ?」

謝罪と感謝を込めてジークが礼を言おうとしたが、エカテリーぜがそれを遮った。その表情はどこか泣きそうになっていた。所謂「涙目」だ。


「貴方は・・・一体どれだけの女性を誑かせば気が済むのです!昨夜にしてもそう!なんなんですか!あの女性は!あんな破廉恥な格好で私のジーク様に近づいて・・」

怒ったように話を進めていたエカテリーぜだったが、言葉の所々に誤解を生みそうな言葉が混入されていた。それを自分で言っておきながら思い返して恥ずかしくなったのか、エカテリーぜは強気だったのを一変させて逃げ出してしまった。


「・・・何だったんだ?あの娘・・まぁ、今はこっちの方が大事だな。」

そういって気分を切り替えたジークは、胸を張って・・とはいい難いが、とにかく校庭の中央に向かって歩き出した。その頃には、もうメイドの子供達も外に飛び出して来ていた。


きっと私たちは間違っていない!

そんな気持ちを逸らせて小説を書きたいところですが

此処でキャラクター紹介の分岐となります。


次回 第10説+断説 メンタリウル大図書館

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