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第3説 妖精

悔しさを心に宿しながら階段を下りていた3人の前に

一人の少女が現れる。

少女は、その純粋な心で皆を癒す力となる


LAGNNALOK 始動

失意の念を胸に秘め、どんよりとした空気の中で3人は階段を下りていた。


「はぁ・・・。」

不意にため息をついたジークだが、突っ込んでくれる相手は存在しなかった。しかし、階段を降り切るとそこには一人の少女が立っていた。その少女を、ジーク達は知っていた。


「・・・ルイズか?」

そこにいた少女[ルイズ・ウォルター]は妖精である。属性は七曜の水だ。水はこの世界では癒しと感情の象徴とされている。そんな彼女なのだが、見た目からすれば少女である。しかし、妖精なのでそれなりに年齢を重ねている。しかし、妖精に年は関係ないのだ。


「・・!ジークだ!ジークだ!ワーーー!ジークーー!」

まるで幼い少女のようにジークに飛びついたルイズだが、ウラヌスがルイズを引っぺがそうと躍起になっていた。その内、それも止めてジークに抱きついていた。これではジークが身動きが取れない。しかも運の悪いことに、ウラヌスの胸がジークの腕をがっちりと包んでいた。戦場で同じことをされても、鎧を着ているので平気なのだが、今は薄手のシャツ一枚のみとなっている。馬車を降りる前に熱いという理由で脱いでいたのだ。その所為でジークの顔は真っ赤になってきた。


「おいおい!羨ましい限りだぞ!ハハハ!」

嫉妬の念も込めているであろうヴァイスが、腹を抱えながら大笑いしていた。どうやら先程の空気は一掃していたらしい。流石水の妖精。空気を良い意味でぶち壊していた。


「ところで、後ろのそいつらは?」

何とか話題を逸らそうと、ジークがルイズを見守っているように見える少女達を見た。すると、ジークの腕に抱きついていたルイズは、ジークの腕にキスをして離れた。それに少々戸惑ったジークだったが、それ以上にウラヌスが何やらキーキーわめいていた。


「紹介するよ。私のお友達さ!まずはエカテちゃん。」


「宜しくお願いいたしますわ。私、エカテリーぜ・ブレテル・イリアと申します。」

丁寧に自己紹介をした少女は、どことなく笑っているような気がした。なんだか陰で高笑いとかしてそうなタイプだとジークは印象付けた。年はルイズより上そうだ。


「次にプレシアちゃん・・・何してるの?」

ルイズの奥で、プレシアと呼ばれた少女がルイズの服を掴んで震えていた。暫くその状態が続いたが、やっと観念したのかプレシアがルイズの後ろから這いだして来た。


「・・・あ・・あの・・私・・・プレシア・・・プレシア・エリーズ・レシテアです!・・言えた。」

やっと口を開いた彼女だったが、人見知りなのか直ぐにルイズの影に隠れてしまった。年はルイズよりも下に見える。と言うより見た目がまんま小学生の低学年だ。


「・・っとまあ、一通り挨拶も済んだし、まぁた私はこ・・ウギギ・・」

ニヤニヤしながら、ジークに近づいていたルイズはチャンスと思ってジークに飛び込もうとした。しかし、それを読んでいたジークは頭を見事にキャッチしてそれを阻止した。悔しかったのか、顔を押さえられているのにも関わらずルイズは腕を、届かないのにジタバタさせていた。グルグル回っているのを見ていると、とても面白い。


「・・・とりあえず、帰らせてくれないか?」

見ると、ウラヌスが抱きついたままになっていた上に、ルイズも解放した途端にまた抱きついて来て、それに釣られるようにして妖精の皆も抱きついていた。此処まで来ると、ヴァイスからはジークの姿が見つけづらかった。それよりも助けてくれよと内心思ったジークだったが、息が出来なくて喋れなかった。


「おいおい!皆!ジークの顔色が悪くなってるぜ?・・・しゃ~ねぇ・・おりゃ!」

ジークの表情が芳しく無くなってきたのを警告しようとしたヴァイスだったが、全員が耳を傾けなかったので、ヴァイスは皆につぼを押した。すると、途端に全員がへにゃへにゃと崩れ落ちた。


「今のつぼは、性欲が痛覚にフィードバックされるつぼだ。皆エロい事考えてたんだな・・・」

その説明を受けた全員が体をうつぶせにしたままビクッと震えた。どうやら図星らしい。しかしヴァイスにはたまげた。こんなつぼまで知っているとは。流石、女たらしは格が違った。


「助かったぜ。ヴァイス。」

礼を言ったジークは、ウラヌスを背負った。その時、ウラヌスから喘ぎ声らしきものが聞こえた気がしたが、ジークは無視した。そして、ジークはウラヌスを連れたまま自宅への帰路をたどって行った。


「どうしようかねぇ・・これ・・」

あとに残されたヴァイスは困り果てていた。ヴァイスの周りには、合計三人の妖精が転がっており、そのどれもが体が動けないでいた。


「しゃ~ねぇ・・・連れて帰るか。」

三人を軽々と持ち上げたヴァイスは、そのまま学院の中へ入って行った。

数週間ぶりに自宅[と言っても大きな屋敷]に帰還したジークは

背負っていたウラヌスをベットに降ろす。

しかし、ジークはこの光景を見て嫌な記憶を思い出す。

次回 第4説 記憶 乞うご期待!

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