第20節 総出のお買いもの
この回はおまけの様な回の為、少し短めの作成となっております。ご了承のうえで読んでください。
フォル二カを新たにメイドとして迎え入れた翌日、ジークはある事に付いて頭を悩ませていた。その内容とは至極簡単な物なのだ。先日にメイド達からこんなお願いが出された。
『お兄ちゃん!明日は皆と一緒にお買い物に行こう?ねぇ。』
フォル二カが来て少ししてからの夕食時に、メイド達からまるで計画されて練習も重ねていたかのようにピッタリのタイミングでみんなして買い物を強請って来た。最初はどちらでも良かったジークだが、メイド達のジークを見る目に押されたジークは暫くしてからやっとOKを出した。そして翌日の今に至っている。買い物できるお金は将軍家故に腐るほど充実している。メイド達も自分で買った物は自分で持つと言っている。しかし、問題点が幾つか出てきてしまった。まず、ジークは何を買おうか未だに迷っていると言う事。そして二つ目は、総出と言う事で館が開いてしまう事だった。
「・・話は聞かせて貰いました。兄上。」「留守は僕達が守ります」
ジークがモゴモゴと口を動かしながら困っていたが、その問題は直ぐに解決された。ジークの部屋に入って来たアダムとロミオが、自分から留守の警護を買って出てくれた。すると、アダムと一緒に来ていたイヴ、ロミオの手を握って隣に立っているジュリエットも自分から「アダムが残るなら!」「ロミオが残るなら!」と留守を買って出た。立候補する分には断る理由も特に無かったので、ジークは四人に留守を任せて自分の部屋を出た。
「よし・・後はみんなを・・・もう集まってるや。」
ジークは、一階に下りてメイド達を集めようとした。しかしジークが階段を降りるとそこにはヴィーナスを先頭としたメイド達が一列に整列していた。もちろんメイド達はメイド服姿だ。しかし、普段はシャツなどを来てお洒落をしている筈のヴィーナスまでもがメイド服を着ていた。
「さぁ!みんな行くわよ!」
ヴィーナスが、メイド達に号令をかけた。どうやら一番楽しみにしていたのはヴィーナスだったらしい。表情も明るい。因みにタナトスはヴィーナスが部屋を散らかしたらしく、その片付けに追われていて付いて来れそうになかった。なので変わりにあのトランスが一緒に居る。
「さぁみんなぁ?買い物・・・始めるぞぉ!」
ヴィーナスが号令を掛け、それに答えるようにメイド達が返事を返してそれぞれに商店街の店店に入って行った。暫くは商店街中央の噴水広場で腰掛けて待っていたジークだが、暫くするとクルスがジークを引っ張って人形店に連れ込んで、フォル二カと一緒にぬいぐるみ選びを任された。可愛らしい兎のぬいぐるみを見つけたジークは、それを教えてあげるとクルスは相当気に行ったのか、買った後もずっと抱きしめていた。その表情はニコニコしている。そしてまた噴水広場で休もうとしたジークだが、直ぐに今度はヴィーナスがジークを洋服店に引き込んだ。そして何着も試着した服の評価を聞かれて、これが良いと思えた服を見つけると、それをヴィーナスも気に行っていたのかとても喜んでいた。そして噴水広場に戻ったジークはまたもや誰かに此処へ、あの子に此処へといった具合にドンドン連れ回された。そして、全員で帰る頃には既にかなりの量の荷物になっていた。そしてジーク達は自分の館の扉を開けて帰って来た。