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第13説 出陣命令 番外編 ウラヌスの日常

ロミオの修行の日々を続けて早3日

上達の兆しすら見えないロミオに、ジークは少々苛立っていた。

そんな中、兵士が使いでやってきてジークに一通の手紙を渡す。

その内容は、ジークの怒りを買うことになる。

一方、ウラヌスは自分の屋敷で大人しくしていた。


LAGNNALOK 開始

小鳥の鳴き声が聞こえてくる頃、日の光を浴びてロミオは目を覚ました。ジークに分配してもらった自室のベッドの上で目を覚ました。しかし、直ぐには起き上がらずに物思いに耽っていた。


「ジュリエット・・・無事でいてくれよ・・・」

右手を無意味に天井に向かって伸ばしてそう呟いたロミオだが、握り拳を作ると同時にベッドから起き上がって着替えを始めた。その頃、ジーク達はリビングルームで一斉に食事を取っていた。本来なら使用人が主人と一緒に食事を取ることは業務上有り得ないらしいのだが、ここでは少し違っていて皆が楽しくお喋りしながら食事をしたいと言うジークの計らいで皆が一緒になっているのだ。


「・・でね。私たちの中でも力をつけなくちゃと思って、皆で一緒に稽古付けて貰いたいなぁと思って・・・ダメかな・・」

語りを絶やすことなく喋り続けていたイグニスだったが、急に稽古を付けてほしいと言いだしてやっとマシンガントークに終わりが来た。勿論、ジークがそんなことを許すわけが無かった。事もあろうに子供が戦場に出て学生時代のあの目になることは自分の身を呈してでも避けたかった。しかし、きっと断った所で誰も諦めたりはしないだろう。行動だけ見ていれば戦闘狂の仲間入りを目指しているようにも見えるが、この子たちはきっと純粋にジークの役に立ちたいのだろう。それが分かっているジークだったが、断ろうにもどのように説明すればいいのか分からなかった。下手に説明すれば誤解の海を築き上げかねない。しかも、メイド達は皆が一様にジークに願いの眼差しをぶつけている。これでは断るに断れない。「う~ん・・」とだけ唸って悩んでいたジークだが、唐突に一枚の紙をアダムから渡された。


「兄上。この人数がいれば屋敷の担当を割り振ることが出来るようになりました。なのでそれぞれの役割配置の方の指示を2日以内にお願いします。」

それだけ言うと、アダムは何処から取り出したのか分からない懐中時計を確認してその場を去った。少しばかりは話をしてもいいのだがと思ったジークだったが、その前にメイド達の視線があった。仕方なく思ったジークは、簡単な役割だけ決めようとペンを握った。しかし、門に備え付けた呼び出しベルが鳴ったのを聞くとペンを置いて屋敷から出てしまった。かなり不服そうに頬を膨らましたり、無意味に床を蹴ったりしていたメイド達は、仕方なく食事の後片付けを始めた。そして、ジークが門を開くとそこには一人の少年が立っていた。学院で指定されている制服を着ている所を見るとどうやら使いで来た生徒のようだった。この所は学院の制服を良く見かけていたので良く分かった。


「王室からこのようなものを預かって参りました。どうぞ、お受取りを・・」

そう言って少年は制服の裏ポケットから一通の書状を取りだした。その書状には確かに王室の目印である焼き印が付けられていた。それを受け取ったジークは、その封を破る前に少年に帰るよう言って少年を帰らせた。そして、帰るのを見送った後に封を破って中身の書状を取りだした。


「これは・・・『ジークフリート殿、貴方の力を貸して頂きたくこの書状をお送りした次第です。この度は、苦戦を強いられている国境の町である風吹く谷へと赴き敵兵を一掃していただきたいのです。この戦いでは、人員不足が発生してしまったために貴方に軍の兵士を分け与えることが困難になっています。この状態で辛いとは思いますが、自力で兵力を集めて戦地へ赴いてください。  第15代国王 アリス王女』・・・ふざけるなっ!」

自然と音読してしまったジークは、書状の内容を見て怒りに燃えた。これでは無駄死にして来いと言っているようなものだ。多分憶測の域を出ないのだが、兵力だって有り余っているはずだ。こんなことでは出陣した所で自分一人か寄せ集めの軍隊になってしまう。そんな状態で勝利できるかと聞かれれば必ず答えは出来るわけがないの一言だろう。しかし、その書状の裏にはもう一通の手紙があった。それを読んだジークには、本格的にアリスの心境が分からなくなっていた。


『こちらの文書は私個人の物です。仕事に支障が出るようでしたら即刻燃やしてください。最近、貴方の事を考えると何故か頭が痛くなってしまいます。このままでは貴方と出会うたびに私の脳には傷が増えて行きそうなのです。この気持ちを、私はどのようにして受け止めれば良いのでしょうか。急な事なのは分かっています。このような命令は、貴方の様な強力な方だから出来ると思っております。故に貴方にしか文書をお送りしておりません。私からのお願いです。どうか素敵に舞って帰還してください。』


「・・・なんだ?まるで恋文じゃないか・・・まさか、アリスちゃんが俺みたいな将軍職の男の事を好きだなんてことは・・・《あはは、こいつは面白い。自分の事も分からなくなったのかい?》!誰だ!」

恋文にも似た文書を読み終えたジークだったが、唐突に頭の中に声が響いた。その声は高さ的に女性の物だろう。しかし、ジークに声の心当たりは無かった。すると、唐突に聞こえた声は唐突に消えた。


「・・・・なんだったんだ?今の・・それより、これを皆に・・皆・・」

ジークが考えに耽るより先に屋敷に戻ろうと後ろを振り返った。すると、そこにはメイド達が肩を並べてジークを睨みつけていた。仕方がないだろう。この様子だと彼女たちはジークが手紙を読み始めた頃から立っていたのだろうから。


『お兄ちゃん・・・・私達も行く!』

一斉に声を揃えて言ったメイド達だが、ジークが許すわけがないと分かり切っていた。すると、案の定ジークが「ダメだ!」と声を上げたが、唐突にチェリスが色々な武器を取りだしたのを見ると、彼女達がどれほどまでしてジークを助けてやりたいのかが伝わってきた。きっとジークが死体で帰って来た日には皆が肩を並べて自分の腹を斬るだろう。それほどまで、皆はジークが好きなのだ。


「・・・・・よし!それなら、皆に一つだけお兄ちゃんと約束してくれ!」

そう言ってジークは皆と視線が同じになるようにしゃがみ込んだ。良く見ればクルスやイリア等は涙が目じりに浮かんでいた。怖いのだろう。しかし、怒らなかったジークに安心したのか皆の目には闘志が宿っていた。宿らない方が安全なのだが。


「簡単な事さ!ただ一つ・・・死ぬな!これだけは守ってくれ!」

そう言って皆の頭を撫でて回った。すると、皆の心に一つの団結が生まれた。『死ぬな!』この事を彼女たちは後にこう呼ぶこととなる。 『誠実(ギアス)』と。


一方その頃、ウラヌスは自分の屋敷でぐったりしていた。別に風邪をこじらせているわけではない。妹や使用人たちから外出禁止状態にされているのだ。


「なんでみんな私に冷たいのぉ?・・・・・はぁ、早く会いたいよ・・・ジーク・・」

天井に向かってジークに気持ちを伝えたい一心になっていたウラヌスだが、そこに誰かが扉を開いてやってきた。それに驚いたウラヌスは慌てて寝転がる体制から起きあがった。見るとそれはウラヌスの妹のリリスだった。まだまだ12才と幼いながらもこの屋敷の次期当主だ。そして、姉の何倍もませているかなりの精神の持ち主。


「おねぇちゃん・・・・ここから出してあげようか?」

その言葉に驚いたウラヌスは、思わず飛び上がった。そして、恥ずかしそうに自分の頭を掻いているリリスを改めて見つめることにした。別段何かを企んでいるようにも見えないが、なにか裏がありそうな気がしていたウラヌスは警戒を強めた。すると、それを裏付ける発言をリリスが口にした。


「出してあげるから・・今度こそジークさんの子どもを貰ってきなよ?この幸せ者!」

その言葉を聞いたウラヌスは、顔を真っ赤に染めてしまった。このままだと、やかんを置いただけで湯が湧きそうだ。そして、動揺しか頭の中に入らなくなったウラヌスは、必死に抵抗の意思を伝えようとするが、呂律が回らずに言葉を聞き取ることが出来なかった。その様子を見たリリスは、腹を抱えて笑っていたが、下から使用人に呼ばれてあっさりと顔を元に戻して部屋を去っていった。


「全く・・・リリスったら・・・ジークがそこまで大胆・・・だったら嬉しいかな・・・」

そんなことを考えながら一日は更けていった。そんな時、ウラヌスに一筋の光が見えた。見ると、そこには人一人がやっと通れるくらいの穴が開いていた。その傍にはリリスの愛用しているドリルが置いてあった。そして、リリスに感謝しながらウラヌスはジークの下に駆けて行った。

出陣命令が出た次の日、全員で武装して戦地に赴いたジーク達は

殺伐とした平地で敵軍と出会うこととなる。

その中には、ロミオの視線を一人占めにした少女がいた。

戦地でロミオが見た少女とは一体。

そして、ジークにはライバルが登場する。


次回、LAGNNALOK 第14説 対立 お楽しみに

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