第1説 始まり
今回から始まる物語。
それは幾百もの神々がそれぞれの思いを抱いて戦う物語
私達にその姿を見せることは無い者たちによって紡がれる
神々の争い。
私たち人間が、少なくとも科学を発展する前の事。その頃、人間達は魔法の力を手に入れようと躍起になったり、神から力を奪おうと考えていたり、自分が神に成り替わろうと考えたりしていた人間がいた時代だが、そんな世界とは別の、そう!いうなれば「神々の地球」の様な神聖な大地があった。そこでは、それなりに人間も住んでいた。が、その人間達は我々の世界の存在を知ること無く死んで、生まれていた。
「・・・」ここに黙りこんで座っている青年[ジークフリード・ドラグルス・ラ・ガルドバルド]もこの大地の住人だ。しかし、今この大地は穢れていた。東と西で大きく割れている二つの大国がある。この両国は、今は戦争の真っただ中だ。もともと平和主義を掲げていた東の大国[ユニバース]と、実力至上主義を掲げていた西の大国[ジェネレーション]が反発するようになったのがこの戦争[LAGNNALOK]の事の発端である。そして、ユニバースの若き将軍であるジークフリードもまた、戦争の巻き添えを食っていた。そして現在。
「将軍!このままではこの町は壊滅です!どうかご指示を!」
若い天使(我々の世界で言う所の兵士)が、苛立ちを隠そうともせずに長テーブルを殴りつけた。無理もない。もしもこのまま何も手を打たなかった場合、この町[レインバレー]は敵国の手に落ちてしまう。しかし、ジークフリードは何も喋らなかった。その手に持った自分の身長程もある大きな両刃剣[ゼロブレイカー(始まりと終わりを切り捨てる聖者)]を抱えたまま何も話さなかった。しかし、ジークフリードは怖かったのでは無い。確信を持っていたのだ。絶対に勝つという。その思惑は見事に成功した。何かを感じ取ったジークフリードは立ちあがって作戦テントを飛び出した。そこには、何人かの茶色い鎧をまとった天使がいた。鎧の色で分かることなのだが、この天使たちは敵国の天使だ。他にも羽の色が黒か白かで見分けるという方法もあるが、とにかくこの兵士は敵だった。
「・ひぃ・・」
味方の兵士が怖気づいて逃げようと少しずつ後ずさっていた。しかし、そんな恐怖も次の瞬間には全て消え失せていた。
「ぐわあぁぁ!」
奥の方から敵の物と思われる断末魔が聞こえてきた。その次の瞬間には次々と敵の兵士が倒されていた。
「・・ハァ・・やっぱり君か・・。」
ジークフリードが、ため息をつきながら頭を押さえた。その相手とは、目の前で敵を全て蹴散らした女性だった。その女性の名前は[ウラヌス・デ・フリジーデリヒ・クリスト]。ジークフリードと同じ、若くして将軍になった女性である。その少女が振り回している細身の長剣は[イクスカリバ(勝利と栄光を約束した聖剣)]といって、謎の多い剣なのだがウラヌスはきっちりと使いこなしていた。
「ジークぅ!終わったよぉ!」
全ての天使を切り捨てたウラヌスは、ジークの方を向いていきなり飛びついた。普通に考えると戦闘中に不謹慎だと思うが、彼女の場合は違った。彼女には軍隊と言うものがどういうものなのかは理解されていなかった。彼女からすれば、戦闘もジークの露払いの為と思っているのかもしれない。しかし、どちらにしてもウラヌスの知識は狭かった。
「ウフフ・・やっとジークに会えた!」
ニコニコと笑っているウラヌスを見て、気が抜けたのかジークの表情が緩んでいた。そして、二人を明るい日差しが照らしていた。
全ての敵をあっという間に撃破したウラヌスは、ジークを連れて無理矢理に王都である「グリーンホープ」へと帰還した。そこで二人は、色々な人と出会いながら王都へ向かって歩いて行く。
次回
LAGNNAROK 第2説 友人
最初からこんな仕上がりになっています。面白い!続きに期待!と言う方はお気に入り登録を、話がしたい!私のも読んで!な人は感想で声を掛けてもらえると嬉しいです。