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二人ノ俺  作者: 灰色のネズミ
半裂迷宮
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ボッチの佐々木一次

 いわゆるボッチである。

 この俺、佐々木一次はある日を境に人との関わり合いが苦手になり、それからずっとコソコソと隅っこで学校生活を送っていた。

 無害でいたい、それが俺のスタンスだ。


「今度の学校行事はダンジョン探索になった。他校との合同授業だ。服装は学生服で、必ず動きやすい靴を履いてくるように。まあ特段危険なことにはならないから、気楽に集まってくれ」


 放課後前のホームルームで担任からそう伝えられた。

 ダンジョン探索が普及化してもう何年なんだろう。俺が生まれた時にはもう、ダンジョンは誰もが知るアトラクションになっていた。

 歴史の教科書にはダンジョンが現れた当初は大騒ぎになったみたいだが、今ではそんな気配は一切ない。担任教師の話をみんな呑気に聞いている。

 ホームルームが終わり先生が教室から出て行った後も、クラスはなごやかムード。


「ダンジョンだってよー、どうせ安全なとこだよな」


「学校行事だしそりゃそうだ」


「危険な場所には行けないだろう。近場で言うと、おじゃほこの迷宮かなぁ」


「はんざぎ迷宮かもよ」


「えー、あそこ泥臭いし水っ気多くて汗かきやすいから苦手なんだよな」


 みんな口々に話している傍で、俺は内心ガッカリしていた。

 なぜなら俺はダンジョン探索が苦手なのだ。嫌いなのではなく、苦手。ここ重要。

 理由は一つ。


「なあ佐々木、お前誰と行動する?」


 数人で集まって話していた男子達のうちの1人が、こちらに話を振ってきた。

 そう言うの困る!


「え? えー、と、まあぼちぼち」


「そ」


 それだけ聞いて相手はすぐに俺から興味をなくした。

 適当に答えすぎたかな。

 けど他に答えようがなかった。だって誰かと行動するとか苦手だから。多分当日の行事でも1人で隅っこにコソコソしているはずだ。


(はあ、憂鬱)


 誰も話しかけないで欲しいと言う思いから、モンスターの詳しい分析が書かれている書籍を開く。

 佐々木一次、将来の夢は学者。

 ダンジョン探索が活発化した社会において俺は、その輪から自ら身を引く。理由はやはり、他人と関わるのが苦手だから。

 普通ダンジョンには仲間と行動する。その方が生存確率が上がるからだ。ダンジョンが現れる以前から、登山とか洞窟探検などは集団で行われていた。それと同じでダンジョンには仲間が必要だ。


 その必要な仲間を、俺は作れない。

 だからダンジョンからは遠ざかるしかない。

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