#4 月の光に魅入られて
やっぱ他の人と比べるとまだまだですなぁ、精進精進。
科学者に連れられ歩くこと10と数分、とある建物にたどり着く。店名は、、、「月光書店」
「あの、、、科学者さん」
「なに?侍」
「ここは?」
「僕の職場」
「なるほどこの下で夜な夜な猟奇的な実験が繰り広げられているわけか」
「まぁ今日の被験体は活が良さそうだからね、少しは楽しめるかもねぇ?」
「マジごめん許して」
「報酬20%で手を打とうか」
「20%カットじゃなく20%!?」
やはりこいつマッドの類か。不覚ッ!あれ?
「俺ここで働くのか?」
「まぁ強制じゃないけどね、ほぼ確定みたいなもの。」
マジ?ただでさえ能力関連で連れてこられたのが本屋ってだけで混乱するのに強制就職とかもうわけわからん。まぁうちの学校バイトOKだし問題はないが。それに推しへの施しにすべてを投じたからなぁ。うう、懐が寒い。
「戻ったよ」
「あら、お早いお戻りですね。」
月光書店は閉店準備だったのだろうか。ほとんど人がいない。内装は木を基調とした和風建築で、奥の方には畳なんかも見える。紬が入ると、中で品出し作業を行っていたのだろう、何冊かの文庫本を持った少女が出迎えていた。少女は緑色のエプロンを着ておりどちらかというと服装はカフェ店員に近い。が見た目は文学少女なので相殺されている。
「後ろの方は?」
「侍。」
おいもうちょっと詳細に説明しろや科学者。科学は万人に理解されるべきだろうが。ん?何?科学の点数?、、、世の中知らないほうがいいこともある。
「若月春樹。こいつのクラスメイトで能力持ち。」
「これはご丁寧に。私は冬峰桜。紬さんの同僚で能力持ちです。」
なるほど只者ではない
「で?科学者さん。何故ここに連れてきた?割りのいいバイト紹介ってわけじゃないだろ?」
「まぁ三割はバイト紹介だね。残り七割は、、、」
「勧誘、ですね。」
勧誘。恐らく月光書店が能力持ちの団体か何かであり、それに誘っていると。もしくはただの人手不足か。
「まあ立ち話も何ですし、こちらへどうぞ。」
俺はカウンターに案内され、椅子に座らされた。おっと、いい座り心地。まぁそれはさておき。
「質問三つ。OK?」
「許可する。」
「何様だこいつ。まあいい。一つ目、月光書店は何だ?」
「見た目通りのただの書店です。」
「じゃあなぜ従業員全員が能力持ちなんだ?」
「…」
黙秘か。これで月光書店自体が能力者集団であるというある種の確証を得る。
「二つ目、いや三つめか。能力ってなんだ?原理もほかの具体例も知らないんだ。詳細な説明を頼む。」
「それは提案に乗ってくれるなら話しましょう。」
「そう来るか、まあいい。いずれにせよ金欠だったんだ。割のいいいバイトとなれば拒否する理由もないね。」
事実今俺の財布の中身は紙より軽い。この後には推しの新衣装発表も待っている。金策はあればあるほど良い。
「OK。じゃあ面接と行こうか。」
「は?勧誘したのそっちだしこういう時は面接免除って相場があるんだが!?」
「会員制のバーみたいなもので中に入れるだけで勧誘は面接を受けれる権利を与えるだけなんだよね。」
ガッデム!! やはりこいつマッドの部類じゃねえか!!クソッどうする?書店である以上面接で聞かれるのは十中八九本のことだろう。本はそれなりに読むがフィクション専門だ。技術書や哲学本などは専門外。論述なんか論外だ。どうする!?
考えろ!うなれ俺の脳内CPU!!
「じゃあついて来てください。」
Oh my god!何にもわからん。でも可能性としてはフィクションしか質問されない可能性もある、希望を捨てるな!!
俺は、地下の体育館ほどの空間に連れてこられた。
「ここで、紬さんから実戦形式で一本取ってもらいます。」
マッドがもう一人いた。
To be continued.
今回は月光書店と若月の「我修羅也」について。
月光書店。
少し広めの敷地を持つ一階建ての書店。蔵書は有名どころから「アルゼンチンモリゴキブリの生態とその調理法」というどう考えたって誰もいらない本まで売っている。店番の少女が美しくまたお淑やかな性格のため人気が高く、そのためか客足は途絶えない。
我修羅也
若月が日ごろから刀に憧れゲームで刀を振っていたことから、弾丸を防ぐ、ではなく斬るという発想にいたりそれを実現するための能力。能力とは何かは次で語られるので少々お待ちを。具体的な内容としては、「斬れる武器の熟練度を達人並みにする」というもの。主からすれば普通以下のしょぼい能力だそうです。なぜ能力発現時に刀が生成されたかというと手元に刃物がないと何の役にも立たない能力だから。なぜ刀なのかは若月の思い入れが深かったからです。