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異世界で銃を構えながらティーチ&ビルド【塹壕戦の猛者は転生先で育成に励みます】  作者: 稲村某(@inamurabow)
三章

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⑰選ばれし者



 「矢を降ろしなさい、その者達は敵では有りません」


 エルフ達の矢を下げさせたのは、以前に会い銃での戦い方を教授したレイビリートだった。


 「守りの森が貴方達を招いたならば、我々はその意を尊重します。客人としてもてなしますが宜しいでしょうか」

 「ありがとうございます、しかし私達は長居するつもりはありません。この先に銃を拡散する秘匿地があり、そこを殲滅する為に向かっている途中なのです」


 リチャード達は多目的車両を砦の前に停め、レイビリートの案内に従い歩きつつアンが来訪までの流れをかいつまんで話す。


 「……ヒラリエの廃城跡? ああ、そうでしたか……では、我々もその討伐に参加しても宜しいでしょうか」

 「それは構いませんが、我々は貴女のように調和と安息を尊ぶ種族には、余りにも過酷な修羅の道を歩みます。耐えられますか?」

 「……それでも私は皆さんと共に、行かねばなりません。それともう一人従者を連れていきますが、出来る限り精査して人選に及びますのでご安心ください」


 レイビリートはそう返答し、支度を済ませたら直ぐに出発しましょうと告げ、客人の待機所として使っている家屋を指差して一行に待つよう言い残して立ち去った。



 「……でもよー、あの()()()()の人選ったって、どんなもんだかねぇ?」


 思わぬ寄り道にミリオは当初戸惑ったが、それがエルフ達のさとだと知って複雑だった。そのせいでついそんな言葉を口にするが、それも無理は無い。


 (……そうかもしれないけど、リチャードさんとアンさんが決めた事だし……それに、綺麗な人ばかりだから、ミリオも嬉しいんでしょ……?)

 「ばっ、馬鹿な事言うなよっ!? 俺は別にそんなじゃないし……それよりも、エルフってどっちかって言うとその……華奢で近寄り難いし……」

 (……それじゃ、私は華奢じゃないって事……?)

 「違うって!! あーもう、ややこしいなぁ!!」


 ミリオとモルフの会話を聞きながら、リチャードはつい笑みが溢れる。二人の間柄は本人同士がそれなりに意識し合いつつ、でも不器用でそれなりに見ていてほっこりしてしまう。だが、エルフ達の話題となるとほっこりとはしていられないのだ。


 アンはどうやら少人数のエルフを同行させ、更なる戦闘戦術の教授と関係性の良好化を目論んでいるようである。だが、それは彼等の性格と気質と同様に難題に思えるのだが。


 「……だってよ、ホブコブリンだったか? あの連中を蹴散らした時のお姉ちゃん達の反応見ただろ? まるで狂戦士バーサーカーでも見たみたいな面して青くなってたじゃんか」

 (……まあ、確かにそうでしたが……でも、レイビリートさんは気丈に振る舞ってました)

 「まぁなぁ……でもよ? そりゃあ族長の娘って立場もあるだろうし、みんなああだって訳じゃなかっただろ」

 (……確かにそうですが……でも、中には豪胆な方もいらっしゃるかもしれませんよ)


 ミリオの言葉にモルフがそう返し、二人は難しい顔になる。彼等の心配はリチャードも理解していたが、かといって自分が選定に口を挟める訳でも無い。今はとにかく、候補が揃うのを待つしかないのだ。



 「……お待たせ致しました。此方こちらの選定に時間をかけてしまい申し訳ありませんでした……」

 「いえ、それは問題有りません。それで、首尾は」

 「……協議した結果、我々から出せる人員は……私と後、一人だけなんです」

 「そうですか……それは致し方無いでしょう。ですから、余り気を遣わずに」


 リチャード達の前に姿を見せたレイビリートはそう告げて詫びるが、アンは彼女にそう言って留める。だが、レイビリートは後ろを振り返り何か言いたげな素振りをみせる。


 「……はい、それはありがたいのですが……実はその、同行する者の事なんですが……」

 「それは我々が口を差し挟むような事ではありませんし、ご心配には及びません」


 アンがそう取り成すと、レイビリートはホッとした表情になるが、続く言葉は妙に歯切れが悪い。


 「ええ、ありがとうございます。でも、その……」

 「……もうっ!! レイ姉様、そんなに畏まらなくていいよ! 自分でちゃんと挨拶するからっ!!」


 と、口ごもる彼女の背後から飛び出してリチャード達の前に姿を現したのは、やたらと元気で活発なエルフのイメージとは掛け離れた背丈の小さい娘だった。その姿はレイビリートと同じ長いブーツと薄手で動き易い半ズボンの出で立ちで変わりは無いが、体型はエルフを縦に縮めて横のボリュームを増強させたようで繊細さの欠片も無い。


 「はじめましてっ! 私はニーシェ、エルフの守りの森でちょっと前からお世話になってるハーフエルフですっ!! あのでも師匠は今居なくて私だけ留守番してなって言われてるんですが、皆さん凄く戦うのが上手だってレイ姉様から聞いて! 厚かましいって思ったけど是非お供させてくださいっ!!」


 「……ええ、宜しくお願いします」


 ニーシェと名乗る娘が一気呵成に捲し立て、その言葉の勢いと圧力に流石のアンもやや引き気味である。


 「……ニーシェの言う通り、我々氏族からもっと増員を出すべきなのですが、何分にも前回の同伴者が次々と病にかかりまして……」


 リチャードは彼女の説明を聞き、あーそうなのかと納得する。結局、レイビリート以外のエルフはリチャード達と敵対するつもりは無いが、かといってニーシェのように同行する事には消極的なのだろう。


 「いえ、それでも心強いです。エルフの郷の選定に異論は……」

 「わわっ! お噂はかねがね伝え聞いてます! あなたがリチャードさんですよねっ!? とーってもすごーくっお強いんですって? それであれでなかなか……えーっと、何だっけ……」

 「ニーシェ、その位にしておきなさい……」

 「ふぁ~いっ、わっかりましたぁ~っ!」


 見かねたレイビリートに釘を刺され、ニーシェは口を閉ざすが直前まで元気一杯。そんな彼女にリチャードは、


 「ん~、まぁ……真っ直ぐな感じでいいんじゃないか?」


 と、頬をひきつらせつつ呟くのが精一杯だった。

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