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詩 10編  作者: 呪癒 黎蘭
5/15

No.5_寂しさに襲われる

1. 午後5時前の青空より

2. レモネードに蜂蜜はご入用ですか?

3. 18歳

4. 綺麗すぎるよ

5. 定義を教えて

6. ワイヤレスイヤホンとペットボトル

7. 保存方法

8. 夕焼けと曲がり角の2km手前

9. 洗濯機は回ってたよ

10. 世界で2番目

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午後5時前の青空より

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地が歪む、

開闢以来の歴史が朽ちる、

合奏が始まって、

日が沈む。

りんご飴を砕いていった雲、

這いずり回っていた蜘蛛、

風鈴になりたかった蝉、

典型的なアイロニーとジレンマに踊り狂う、

澱みのない世界、

それはきっと、つまらない。

見せかけの上澄みをみて綺麗だ、

と言った人がいるならば、

それは一瞬止まって、

魔法陣が発動する。

充電器のコードが足に纏わりついていた、

不快感を覚えながらも

気づかないふりをして、

1人、背を向けて、

ソファーの中で夢を見ていた。

私は、地球が溶けて

宇宙に馴染むのを待っているよ。


---------------------------------------

レモネードに蜂蜜はご入用ですか?

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御茶会で鳴る音はどれも煌びやかで、

踵がカツ、カツ、と踊りだす程。

ふんわりドレスの下にはクリノリンを秘めて、

私よりも目立とうとしていた。

時間が溶けゆく空間、

言い出してはいけないという空気。

猫は連れてきちゃいけないよって、

門番さんに言われた。


今日は2人だけの時間だね。

午後10時の甘い時間。

さあ、はじめましょうか。


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18歳

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6月末の夜の狭間は

やっぱり生ぬるくて、

裸体は生々しくて嫌いだと感じた。

8月半ばの夕方の紫は

ちゃんと熱くて、

貴方の体に触れていたいと思った。

絵を描いているときは自殺ができるよ、

無になってひたすら描いていたら、

終わったあとの虚しさに刺されてみて。

きっと痛くはないから。


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綺麗すぎるよ

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霧に包まれた森、

曇り空と曇った視界、

誰かと笑っていた夜、

線香花火の匂い、

深い青の海、

砂浜の感触、

横顔を描いたスケッチブック、

1.3cmの睫毛、


走馬灯ってきっと、こんな感じ。


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定義を教えて

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体温で沸騰する水が血だとしたら、

貴方の血は沸いてる?

海月ってどうなってるの?

来世は海月がいいよね。


誰1人覚えてくれてなくて、

消えるように居なくなって、

環境に溶ける。


私の幸せは私しか知らない。

だから私は幸せだよ。

だから貴方は、幸せだよ。


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ワイヤレスイヤホンとペットボトル

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ワイヤレスイヤホンは見えない糸と繋がっていて、

人は絡まっていることに気付けない。

糸は絡まり続け、ペットボトルになり、

人々を潤す。

人間は四捨五入したら何でできてる?

水じゃない?

ああ、どうりで。

ワイヤレスイヤホンって何色?

白でしょ。

へぇ、そうなの?


僕が君になる、君はそれを知ってる?

僕らが貴方になる、貴方はそれに気づいてる?


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保存方法

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夕暮れの境の雲に

砂糖をかけたら

綿飴になるように、

君を水飴でコーティングしたら

りんご飴になんないかな。

世界の赤くて深いところを知る前に、

今のまま、綺麗なままで、

保存できないかな。

あ、薬に漬けたら死んじゃうから、水あめね。


今の身体に金魚が流れて、

瞳に火の向日葵が咲く、

茸が揺れる、

気持ちが揺らぐ、

成長途中の手が重なる、

夏の日々よ、

このまま、溶け崩れろ。


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夕焼けと曲がり角の2km手前

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少女は夢を見る、

包まれて抱きしめられる夢を。

少年は夢を見た、

信じていた世界の夢を。

不安に殺されていた現実を無視して眠る、

その破片を飲み込んだ記憶は何処へ行く?

想像の果の次元の世界にあるような、

綺麗な描写なんてないんだよ。

電車に揺られる午後6時、

まだ明るかったときの詩。


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洗濯機は回ってたよ

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14の夏セーラー服がエモいのとおんなじで、

洗濯機の残り14分間もエモく感じる。

10月から11月にかけて、

木々の葉が色褪せて散る頃に

ピアノを弾いていたいと思った。

爪が当たって不快な音が生じる、

歪と音色に挟まれる。

旋律が回転して、貴方はびしょ濡れ、

あと12分で、脱水まで終わりそう?


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世界で2番目

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真っ黒に見える深い色の中、

恋に落ちたら彷徨うばかり。

出会った人間は数え切れないし、

目にした文字数も、

聞き取った振動も、

分からないし、分かれないけど、

傘を差し出して親友、

叶わないんだよ。

どす黒い液体が足元に纏わり付いてる。

そんな私と話してる。

そりゃそうだもんね、知らないもん、

それがなにか、知らないもんね。

美しく純粋な貴方は人間の鏡、

そんなのはもう、散々だよ。


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