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詩 10編  作者: 呪癒 黎蘭
4/15

No.4_信じているから

1. 魅了

2. 序章

3. 舞い散れ火の芲、戀せよ友情。

4. 身分証明書

5. 手が届かない

6. ふと気づく

7. 殺してみたけど生き返った。

8. 将来の夢

9. 人はそれを何と呼ぶ?

10. 可愛くはない

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魅了

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貴方から青い光が放たれて、

私から紫色が流れ出た、

貫通したかはわからない、

心臓が音楽のリズムと共鳴していることを

その時に思い知った、

服が染まっていく、

すこしずつ、すこしずつ、確実に、

私の体に流れていたものが押し出されて、

青くなった、

服は青に抗って溶けてゆく、

肉は青に抗って解けてゆく、

骨は青に抗って崩れてゆく、

それでも私は染まり続け、

取り残されたのは私の私、

気付いたときには遅かった、

私は完全に染まりきっていた。


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序章

----------------


花々が踏み荒らされていくことを忘れて

貴女と2人、走っていた。

とにかく遠くへ、遠くへと逃げたかった。

道がないならつくればいいよ、

先導する貴女が叫んだ。

曇り空、折れた茎、泥々の靴、ぼさぼさの髪、

映画のようだった。

貴女の後をついていくだけだったから、

白いワンピースには汚れがなく、

私には傷がなかった。

何処かもどかしくて、後退りしたかった。

切り傷が白い肌に目立つ、

泥だらけの白いワンピースにかかる茶色が風で靡く、

ふんわり、貴女が香る。


もう、戻れない。


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舞い散れ火の芲、戀せよ友情。

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8月の河川敷、

2人だけの花火。

ライターと線香花火、

浴衣とスマホ。

持ち物はそれだけ。

深夜2時の夏、

2人だけで遠出。

普通と好き、

貴方と私、

期待していた。


いつかは朽ち果てる、

2人の思い出、関係。

進展は見込めない、

2人の思い、関係性。


花は枯れてゆくから美しいの。

だからこれも、美しい。

美しい、はず、だから、

美しいと、信じている。


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身分証明書

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2人の愛は2人の間でしか通用しなくて、

他人はそれを愛と呼んだり、

呼ばなかったり。

隠し立てるつもりはなくて、

1つ誤ちを犯しただけで。

小さな明かりの中で、

2人ベッドに沈んだだけ。


愛に年齢や性別は関係ないけど、

結ばれた鉄からは逃げられないんだね。


今日も一瞬空が濃くなって、

約300m先のコンビニまで手を繋ぐ、

2人組の逃避行。


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手が届かない

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生々しい他人事が1番ぼうっと聞いてられることに

少し安心していた。

自分の話もこう思われてるのかな。

自分へのご褒美にって、

お気に入りのブランドの財布と鞄を買って帰った。

やっぱりかわいかった。

私の1部しか知らないくせに、

知った気になっている君が大好きで仕方がなかった。

お気に入りのバンドの曲のプレイリストを

ワイヤレスイヤホンから聞く。

君がうたっていた鼻歌を思い出して悲しくなった。

ベッドの上で財布と鞄を広げて

曲が流れ続けるワイヤレスイヤホンを外して

スマホの前で泣いている私は

どれだけ馬鹿なの?


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ふと気付く

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なんでもないときに手紙を書く。

小さな事でも読んでほしくて。

丁寧に書くけど、私の字で書く。

私の癖を知ってほしくて。

書き終えた手紙に

お気に入りの香水を染み込ませたティッシュを

押して香りをつける。

私の匂いを覚えてほしくて。

そして、いざというときにその香水を使う。

思い出してほしくて。


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殺してみたけど生き返った。

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恋心を殺そうとした。自殺に追い込んだ。

どうせいつか君を忘れる。

だから、君は私にとってそれくらいの存在なんだ。

って、心の余裕に入り込もうとしていた。

無理だった。

忘れようとすればするほど

君がずっとちらつく。

あ、君はこれを頼むんだろうな。

この色、好きって言ってたな。

今頃に寝たかな。

このゲームやってそー。

どうでもいいことで君と話せていたことを

あたりまえだと思っていた。

いつの間にか君は私の体に住み着いて、

40%を占めていた。


君が私の記憶に擦り込まれて、

きっと死ぬ前に思い出す人々の中に、

君がいるんだろうなって。


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将来の夢

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貴方を人間として好きだった。

思考回路、言葉選び、才能、

雰囲気、身体のつくり、目線、

声、瞳、手、髪、涙。


何よりも、

貴方が綴る言葉、紡ぐ音楽が好きだった。

貴方の生きた記録を、今考えていることを、

知りたかったし、見たかった。


私からは手がとどかなかった。

私では遠く及ばなかった。

叶わなかった。そりゃあそうだ。

ずっと、心の底から願っていた。

才能に殺されろ。存在を拒まれて死ね。

貴方に、なりたかった。


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人はそれを何と呼ぶ?

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後ろから刺されて

無重力空間に閉じ込められた。

私から私を取り上げたら

私には何が残る?

幼い私の質問が流れた。

深い青、深い赤、黒を着た爪、

お気に入りの指輪、あなたの声、

私が消えるより先に記憶が滲みて

個性という色が化学反応により透明になった。

私だけが目視出来なかった、

でも私だけが操れた蝶が

ボロボロになっていくのを見た。

私だけが触れれなかった、

でも私だけが育てていた薔薇が、

茶色くなっていくのを感じた。

私に残ったのは、

私が変わり果てたのは、

無個性の人間だった。


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可愛くはない

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恋って響きは綺麗で可愛くて純粋で、

いかにも幸せな音がする。

でも、まっすぐ見なければいけないの。

両脇に泥沼、後ろに落とし穴、

前だけ見て、ただ1人を見つめ続ける。

これのどこが綺麗で可愛くて純粋?

確率なんて、可能性なんて考えちゃいけない。

期待なんて、夢なんて見ちゃいけない。

周りを見渡したら1人だった、なんてことあるよね。

経験は語る、貴方の中身を。

誰かは語る、自分に非はないことを。


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