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終章 金の未来 銀の過去

「ぅえ~酔っ払っちゃった~」



 ファミレスで潰れるほど酒を飲んでしまった忍を連れ帰り、そのままベッドに寝かせる。



「光輝く~ん……濡れちゃったからお風呂入んないとだめだよ~」

「わかってるよ」



 自力じゃ立てないほど酔っ払ってるのに俺を気にかける忍に毛布をかけ、風呂に入る。……疲れたな。明日も朝から撮影。その後他の配信者とコラボだったか……? その後ごはん食べに行くだろうし……忙しいな……。



「光輝様」

「うわぁっ!?」



 ゆっくりと湯船に浸かっていると、突然。何もしていないのに。同じ湯船からエージェントが出現した。



「俺斧入れてないんだけど……」

「あーあれ別に必要ないです。出たくなったら自分で出られます」


「10年目の真実!」

「それに雨も降っていましたから。見ていましたよ、光輝様と大樹様の1時間以上にも及ぶやり取り」



 ……見られてたのか、恥ずかしい。誰にも見られていないからこそ思いっきし言いたいこと言ってたんだけどな……。



「光輝様はあれでよかったのですか? 元はと言えば大樹様に勝つために始めた旅でしょう? 結果的に光輝様は明確には勝っていませんし、大樹様はそれなりに幸せな未来に辿り着きましたけど」



 ……そんなことか。だいたいエージェントは勝ち負けに否定的だったはずだろうに。



「いいんだよ俺が納得したんだから。大樹にこだわって今の幸せな生活が壊れる方が嫌だ。ていうか大樹は元から何をやっても上手くいくだろ。そこで嫉妬してもな。それに俺にはほら、世界で一番かわいい彼女がいるんだし。そういう意味では俺の勝ちだよ」



 何度も口にしたような言葉を疲れのままに吐き、一度伸びをする。すると湯気の向こうで、女神が微笑んだ。



「大人になりましたね、光輝様」



 ……何を言っているんだ、この友人は。



「俺は昔から大人だよ」

「ふふ、そうですね。光輝様はずっと大人でした」


「なんだよその言い方」

「いえいえ。まぁ子どもっぽいところも光輝様のいいとこですよ」


「俺のどこが子どもっぽいんだよ……。ちゃんと現実見えてるぞ。自分の限界とか」

「そういう理屈っぽいところですよ。全部感情で動いているくせに。おかげで人間の感情を学べたからいいんですけどね」


「ああそういえば人類滅ぼそうとしてたんだっけか……。今じゃ考えられないな」

「どうですかね。未来ではどうなってるかわかりませんよ」


「そりゃそうだ。だからみんな今を必死に生きてるんだろ。過去も未来も、自分でしか決められないんだから」

「そうですね。未来で私が人類を滅ぼさないよう、ちゃんと今を楽しませてくださいね」


「光輝くん大変! エージェントちゃんが人類滅ぼそうとしてる!」

「!?」



 エージェントと話をしていたところに、忍が現れた。ただし現代の忍でも、10年前の忍でもない。まだ若々しいけど、確かな年季を感じるその顔は……。



「あ、お風呂中にごめんね! 私10年後の38歳の忍! 一緒に未来に来て人類を救ってくれない!?」



 えーと……なんかわからないんだけど……。



「エージェントが……人類を滅ぼす……?」

「うん……新技術で歩けるようになったエージェントちゃんと光輝くんが2人で遊びに行ってたのを週刊誌に撮られて炎上して光輝くん病んじゃって……。腹を立てたエージェントちゃんが人類滅ぼしますって……」


「エージェント俺のこと好きすぎだろ!?」

「そ、そんなこと口にしないでください恥ずかしい!」



 はぁ……。なんか過去を変えようとするより今を必死に生きようみたいな話をするつもりだったんだけどな……。



「エージェント……さすがに俺たちのせいで人類が滅ぶのは嫌だし……タイムリープしようか……」

「で、ですね……」



 なんだか締まらないな……まったく。だから大人になってないなんて言われるんだ。



「では様式美として何かをする前には……やっておきましょうか」



 水面に立った女神が投げかける。あの質問を。



「あなたが落としたのは金の斧ですか? それとも銀の斧ですか?」



 俺の選択は――。




完璧人間の弟に彼女も未来も全て奪われた俺は、過去に戻って青春をやり直す。 完

 お読みいただきありがとうございました。これにて「完璧人間の弟に彼女も未来も全て奪われた俺は、過去に戻って青春をやり直す。』完結になります。


 いかにも続きがありそうなラストでしたが、ここで終了です。もしかしたら続編を書くかもしれませんが、あまりおもしろくはならなそうなので未来編はやらないです。ドタバタ日常は続いていくよというエンドです。


 タイムリープものは以前も書きましたが、以前とは別の大変さがありました。具体的には光輝くんの弱さですね。読者の方々にはストレスを与えてしまったかもしれませんが、個人的には光輝くんとうキャラは非常に気に入っていて書いていて楽しかったです。上手くいかなさが人間味あって好きでした。当初の目的からはずれましたが、光輝くんの物語を完結できたことは素直にうれしいです。それもここまで支えてくれた読者の方々のおかげです。本当にありがとうございました。


 さて、本作はここで完結になりますが、別の作品を書き始めていますので、読んでいただける方はどうぞこちらもお願いいたします。


常盤時雨が学園のアイドルなのは俺のおかげだということは誰も知らない

https://ncode.syosetu.com/n9741hy/


 他にも更新止まっている作品ありますので、ぼちぼち再開していくつもりです。もし別の作品で出会えましたらその際はよろしくお願いいたします。


 それではここまで読んでいただきありがとうございました! 完結まで辿り着けたのはここまで応援していただけたみなさまのおかげです! 感想やレビューもお待ちしています! 返信も少しずつですがしていくつもりです!


 また、おもしろかったと思っていただけましたらぜひ☆☆☆☆☆を押して評価やブックマークしていってください!


 それではまた別の作品でお会い致しましょう。ありがとうございました!!!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一気に読んだよ。 面白かったし、元気をもらえた。 ありがとう。
[一言] 完結おめでとうございます。
[良い点] 完結おめでとう御座います、お疲れ様でした。 最後のオチはタイムリープもののお約束なので(笑) [一言] 光輝も大樹も脆い面がある。 育て方とは別の部分で、あの両親に似たとこがあるんでしょう…
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