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花散る音、空音の鈴  作者: 彩華
一章、入隊体験
8/8

はじめてのお休み

 この日、護花鈴に来てのはじめての休みだった。

 やっと一週間が終わった。


 午前中の座学といい、午後からの体力づくりといい、毎日はヘトヘトになった。

 体験をしているチームも毎日這うように寮に帰ってくるのがみえた。

 一部がお互いに辛さ自慢をしていたらしいが、途中からは同情泣きが始まったと智紀がー男子はあったと言っていた。

 こちらは・・・女の子らしかが次第に欠けだしているような気はしている。

 いっちゃえば、普通に下着姿で徘徊や、大食い競争、口調の悪さなどが見受けられるようになったということだ。

 注意するものもいない。

 女の子特有の悪口や友達関係、繋がりなどの悪い面も見え隠れしている。

 なんだかな〜と思うし、いつ自分も巻き込まれるか、わかったものでない。


 やはり、畑山 初音はよく名前がでた。

 それに伴い、石川 梢がでだした。

 二人は幼馴染の十七歳。気の強い初音に対して、梢はおっとりとした気弱な子のようだった。梢の失敗を初音がカバーするといった感じでなにかと、他の人と揉めたりしているらしい。


 智紀と待ち合わせし、千香と街を探索することに今日はしていた。

 始めてのお休みは、全員が待ちに待ったものであり同じように街に繰り出そうと考えるのは皆同じだった。

 街を歩けば見知った顔に合うのだから笑うしかない。


 私たちは今流行りのカフェに入った。


 メニューを見て驚いた。どれもが思っていたよりも高いのだ。まだ、給金も出てないのだから、財布の中身は乏しい。

 一番安いお茶を頼む。黄金持ちの千香はミルクシェキー、智紀はコーヒーだった。


「にげっ」


 来たコーヒーを一口飲み、智紀は舌をだした。

 田舎では聞いたことあっても飲んだことはない。なじめての飲み物は智紀には合わなかったようだ。


「これが美味しいと思えるようになるかな?」

「もっといいもの食べれるかしら?」


 不安だった。故郷が恋しい。

 おばあちゃんに会いたい。頭を撫でて欲しい。頑張ったねって言って欲しい。声が聞きたい。

 ホームシックだ。

 千香も智紀も同じことを思っだんだろう。三人で涙がでてきた。塩の味がした。

 


「泣いてる?」


 知っている声に顔をあげると、白髪の女性・・・確か、媛・・・だったっけ、その人がいた。


「みんなこの時期泣くのよね」


 前も思ったけど、淡々としている。

 この人幾つなんだろう?年齢不詳すぎて、掴めない。


「あなたは?」


 智紀の問いに彼女は返した。


「第一部隊一班副隊長の媛。ねぇ。あなた鈴持ってる?」


 第一という言葉に驚く前に、あたしが鈴を持っていることに気づいたことの方に驚いた。


「あ、あります・・・」


 そう言って、ポケットから鈴をだした。十年前にもらったならない鈴。おばあちゃんが、貰って以来、いつも身につけるように言ったので、手放したことはない。それに、コレはあたしにとって()()でもあるのだ。


「やっぱり。加護ありか・・・。それ、大事にしなさい。それは守護の鈴。悪いものが来たら知らせてくれる。守ってくれる鈴。その鈴を持つものは、護花鈴にくる子が多いけど、適性がない子が多い」

「適性がない・・・」


 どう言うこと?あたし適性がなしなわけ?


「思ってるのと少し違う。鈴を持つ子は憎しみや恨みがある子が多い。それではダメ。上を目指すなら、気をつけた方がいい・・・」


 媛さんは、そう言うと去っていった。


 なんだったんだろ?

 憎しみや恨み・・・か。

 確かにあたしは持っている。でも、知りたい。あの時あの人は言ったのだ。

『知りたければ、這い上がって来い』と言ったのだから。

 あたしは逃げない。

 そう決めたのだからー。



 あたしたちはゆっくりしてカフェを出た。

 支払いは媛さんがすましていた。

 いつのまにか・・・。

 と言うか、カフェの厨房の話が聞こえてきた・・・。


 初めの休みは護花鈴新隊員の食事は、司令官のつけ、または遭遇した先輩隊員の奢りになると・・・。


 それなら、もっといいものを食べるか飲むかすればよかった!なんて思ったのはあたしだけではないと思うー。

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