里子ちゃんで〜す
なかなか進まない内容ですみません。
初めの段階で・・・隊の仕組みやこれから出てくる敵について、しっかり書いておきたいので、どうしてもゆっくり進行になっています。もう少しすれば色々と動き始めると思いますので、もうしばらくお付き合いください。
次に壇上に上がったのは、二人の女性。
臙脂色の隊服は同じだが、一人は、ヒダ付きのミニスカート、もう一人はタイトスカート。
ミニスカートの女性は可愛いしく、ふたつに結んだ髪型。
タイトスカートの女性はショートヘアだった。
女性が多いのかな?
「は〜い。第五部隊、救護隊こと<治療班>部隊長でありま〜す、里子ちゃんで〜す」
「第四部隊、治安維持隊こと<守護班>部隊長の保津です」
「私たちが今から説明しま〜す。でも〜、そのま・え・に〜」
二つ結いの里子隊長が右手をあげると、周りから悲鳴が上がった。
見ると、何人かの手元にある封筒が燃えているようだった。
「今、封筒が燃えてる人は、速やかに退場してくださ〜い」
怖いほどの笑みを湛えていた。
可愛い言い方の割に後ろに鬼が見えた気がした。
「なんだ?」
「あなた方は封筒を開けました。命令違反とし、この場にはいりません。即刻、除隊処分の手続きをしてください」
「なんでだ?」
「そうよ、なんでよ?折角、護花鈴隊に入れたのに、除隊なんて、ありえないわ」
あの人・・・、封筒の中を見て騒いでた人。
「なんで?だって〜、封筒の中見たでしょ〜」
「それが何?なんも書いてないただの紙じゃないの?」
「命令違反になります」
「えっ?」
「受付でいいました。見ないでください。後で説明すると」
「でも、命令違反だなんて、開けただけだろ?」
「こうもいいましたよ〜『これより皆様は護花鈴隊の一員です。規律、規定違反等がありましたら、即刻除隊になりますので、お気をつけてください』って。
つまりぃ、命令違反も該当で〜す」
「ちょっとじゃない!」
「あのね〜、そのちょっとが命取りなんだよ〜。そりゃ〜さ、自分で考えて行動しないといけないよ〜。でも〜、ここは軍だよ〜。命令違反した時にその理由、正論ですって言える?」
「・・・」
「見たかったから見ました。それは理由にはなりません。それは軍では身勝手な行為でしかならない。そんなものはここには必要ありません」
「はいっ」
一人の女の子が手を上げた。
「なに〜?」
「畑山 初音といいます。正論な理由であれば答えても構いませんか?」
「いいよ〜」
「では・・・。封筒が風に飛ばされて、そこの川に落ちました。それで、仕方なく中身を取り出しました。コレが証拠です」
しっかり濡れた封筒をみせた。
と言うより、破れてる?
濡れた紙はもろいよね。
「破れてる・・・」
「取り出した時に・・・」
「受付にだせば〜替えてくれたよ〜」
「すみません、司令官話がある少し前のことで、行く事ができませんでした」
ハキハキした子だな。
少し苦手かも・・・。
「そうですね、それならば仕方ありません。そのイレギュラーならば不問にします。ただし、お友達を庇うのはよくないです。本人がきちんと言ってくださいね」
保津隊長は目を細め彼女と、その横の女の子をひやりと見た。
畑山さんは少し俯いた。
えっ?あの子、友達を庇ったの?
と言うか、知ってる?
見てた?
試してたの?
ゾッとして、智紀と千香を見た。
二人も青ざめていた。
「実はわたしも・・・」
「俺も・・・」
彼女の発言を皮切りに何人もの手が上がる。
えぇっ、あの発言を聞いてなお、手を上げるなんて図太い神経、あれを聞いたら事実以外言えないよ。
あたしなら無理。
余程の理由がない限り、無理。
「二番煎じは、いらな〜い」
里子隊長、目が笑ってませんっ。
怖いですっ。
「ちゃんとしたこと〜?じゃなきゃいらない。・・・即刻出て行きなさい!」
ビリビリと空気を震わせた。
手を上げたものたちは、力をなくして、その場に跪いたのだった。
かわいそうに・・・とは思えなかった。
気を取り直したように、おっとりした口調の説明が始まった。
「じゃあ〜、説明するね。
保津ちゃんがいるから〜、気づいてると思うけど〜、ここには百人以上いま〜す。一部隊で全員見るのは流石に〜、難しいので〜合同でしま〜す。それでも多いから〜・・・」
「A.B.C.Dの四チームに分けます。また、その中でも一グループ、2〜3人の10グループを作ります。一週間目に第四にAチームが第五にBチーム。二週目に第四にCチーム、第五にDチームというふうに入ります。三週目なA.Bが逆転して入り、四週目も同じように変わっていきます。それについては紙に書いているので参考にしてください」
「あと〜、体験入団に入ってないチームは実技と座学になってるから、ちゃんと受けてね〜」
嘘、座学まであるの?
実技って・・・。
苦手なのに・・・。
「一部隊付き、四週間だから、四ヶ月かかるからね〜」
うそ?四ヶ月?
二ヶ月でなく、四ヶ月?!
ローテーションで入るからそうなるのね。
「コレに耐えなきゃ〜、上はもっと過酷だからね〜」
里子隊長は可愛く、うふふっと笑うだけだった。