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花散る音、空音の鈴  作者: 彩華
一章、入隊体験
3/8

司令官

広場には既に沢山の人が集まっていた。

服装もさまざま。

着物姿に、書生姿、ハイカラなワンピースに、学生服姿と揃っていた。

自分らの田舎の制服姿が恥ずかしく思える。


三人で小さくなっていた。


そんな折に聞こえてくる声。



「何よ、コレ。真っ白な紙しか入ってないじゃない?!」


封筒開けたの?

開けるなって・・・。

何人か開けてる?

気になる・・・けど・・・。

二人に目配せる。二人も気にはなっているようではあった。


でも受付の軍人は言ったのだ。



「封筒はまだ、見ないでください。あとで、説明をしますので、よろしくお願いします。

 なお、これより皆様は護花鈴隊の一員になります。規律、規定違反等ありましたら、即刻除隊になりますので、お気をつけください」と。


ここに来るまでにもなんらかの仕掛けがあったのだ。

素直に従ったほうがいい。

見たい気持ちを押し込め、時間が来るのを待った。




10時。

丁度になった時、笛の音が鳴り響いた。

無造作にいた軍人たちが一斉に集まり、列をなした。


「静粛に。これより司令官の話がある」


重い声が辺りに響いた。

誰もがその場で立ち尽くすようにとまり、その時をまった。


壇上に一人の女性がカツカツと上がってくる。


紺色の軍服に、制帽。薄紅色の護花鈴の紋様が入っている。

制服は金の縁取りがされ、胸には勲章をいくつかつけ、腰元にはサーベルが吊られていた。

制帽から見える肩までの髪。

凛とした眼差しに赤い口元は不敵な笑みを浮かべていた。

綺麗なヒトだなぁと思った。



司令官って、女の人?


まだ、若い。あたしたちよりは年上だろうが、せいぜい30代だろうか。

司令官と言うことは、もとは第一部隊だったのか?


誰かが嘘だろと呟いているのが聞こえた。


司令官はニヒルな笑いを浮かべた。

ゾクっとする。

今までの人生の重みがまるで違う・・・。


「よく、ここまで来てくれた。感謝する。だが、人を見た目だけで判断するのはよくないな。

ここは実力主義だ。実力があるものは上へゆく事ができる。無いものは、死ぬ。

わたしは君たちに死んでは欲しくない。だからこそ厳しくする。


そうだった、自己紹介がまだだったな。

わたしは辰巳 朔夜(たつみ さくや)だ。名前の通り、この地を治める辰巳一族の傍系にあたる。

実力主義だと言ったのにと、思うやつもいるだろうが、ここはそう甘くない所ではない。

それをこれから実体験してもらう。

知っての通り、護花鈴には五つの部隊がある。第一部隊から第五部隊までだ。

役割などが全く違う。君たちはまだ自分に合う部隊はわからない。そのためそれぞれ一ヶ月・・・四週間、入団体験してもらう。それから部隊に配属となる。

早いものはその場で決まる事もあるし、全てを回ってと言う事もある。能力しだいだ。

だが、中には過酷だと言うものもいる。

無理はするな。

だが、頑張ってくれ。

君たちの力が必要だからだ。

わたしの話はこれまでだ。

詳しいことは次のものが説明する。       以上」


その言葉に周りにいた隊員たちが、ザッと姿勢を正し、敬礼したのだった。

圧巻というのだろう。


一瞬、雰囲気にのまれたのだった。


司令官はあたしたちを一瞥したのち去っていった。


自分もあそこまで行けるのだろうか?

かっこいい。

智紀も千香も興奮しているのがわかった。













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